前回、池田偉人化工作の一例として、"池田”名を冠した「青島池田桜花小学校」の作られ方について検証したが、今回は「インド創価池田女子大学」について考察する。
このインド創価池田女子大も、創価学会によると「創価教育と池田SGI会長の哲学への共感から、世界各国に牧口初代会長、SGI会長の名を冠した教育機関が設立されている(2009/10/16付聖教・学会創立80周年記念特集記事)」例の一つに数えられている。このレトリック(修辞法)だと、同女子大が創価と無関係な第三者によって、創価の関与が一切ない形で創設、運営されているかのように見える。しかし、青島池田桜花小学校の茶番例もある。同女子大の創設の由来についても素直に額面通り受け取ることはできない。
というわけで、実事求是してみることにした。
インド創価池田女子大の誕生由来について、池田氏は次のように説明している。
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聖教新聞を読んだ方から、「この『創価』と『池田』の両方の名前を冠した大学は、どのようにして創立された大学ですか」という質問が寄せられたので、簡潔に説明させていただく。
この大学は、私ではなく、インドの教育者であり詩人であるセトゥ・クマナン博士らによって、チェンナイ(旧マドラス)の地に創立された。
8月13日は、この創価池田女子大学が、2000年に開学した記念の日である。
クマナン博士は、幼稚園から高校までの一貫教育校「セトゥ・バスカラ学園」の理事長も務められている。
博士は1996年、ここ群馬で開かれた「世界詩人会議」に参加されている。
これが、博士と創価教育の理念との出あいのきっかけになった。
クマナン博士は、私の「母」の詩に深い共感を寄せてくださり、創価教育を実践する女性教育の最高学府をインドに設立することを決意された。そして、実現されたのである。
開学にあたり、博士から光栄にも、私に「名誉創立者」、妻に「名誉学長」に就任をと強い要請をいただき、謹んでお受けした次第である。
(2004.8.19関東会・東京会 合同研修会での名誉会長のスピーチより)
http://www.3colorflags.net/sintyaku3/200408193.txt
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もうひとつ、クマナン"博士”自身による説明。インド創価池田女子大創立の翌年に池田氏との対談で語られたものだ。聖教新聞の訳編によるものゆえ、読み取りには注意が必要であるが、とりあえず第一次資料として引用提示しておく。
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(中見出し)なぜ「創価」と「池田」の名を?
SGI会長:クマナン議長が創価学園で行ったスピーチは、出席した同窓生たちに深い感動を与えました(16日)。
「なぜ、インドに『創価池田女子大学』を創立されたのか、もっと詳しくお聞きしたい!」――そうした声も数多く寄せられました。
クマナン議長:じつは10年ほど前、セトゥ・バスカラ学園が設立された時、「将来、女子大学をつくろう」と考えていました。
ある時、池田先生の「母」という詩に巡り合いました。そして、先生の詩を毎日、学園で読み合うようになりました。
その後、詩人のモハン博士(インド最高裁元判事)とともに(群馬での世界詩人会議で)来日した際、私に笑顔で話しかけてくれた方が、創価学会のメンバーでした。先生の詩心の世界について、いろいろ語り合いました。
私も詩人、先生も詩人――そう思っておりましたが、創価大学に案内されてショックを受けました。"先生は、ただの詩人ではなく、教育者であり、大学まで創立しておられたのだ!″
と。
それで、学園の新校舎を「池田博士校舎」と名づけることにしたのです。
私のいるチェンナイでは、おおぜいのSGIのメンバーが活動していました。そこで「ソウカ」が「価値創造」の意味だと知り、SGIが仏法を基調とした団体であることを知りました。池田先生が詩人、教育者であるばかりか、仏法指導者であることも知りました。
SGI会長:温かいご理解、感謝します。
議長:続いて、国際学生新聞「イ二ヤ・イケダ(優しい池田先生)」を始めました。
それでも「これだけでは、わが師匠・池田先生のために十分ではない」 と思ったんです。さらに「池田博士学園」を始めました。身寄りのない子どもたちが学ぶ学園です。
そして、女子大学の設立に取り組みました。
その大学に、我らの師匠、池田先生の名前を付けることは、深く心に期しておりました。
また私は、創価学会の活動を見ていて、人が困難にぶつかれば、すぐに駆けつけ、ともに乗り越えていく姿に感銘を受けました。それで、「池田」と「創価」と両方の名前を冠しようと決めました。池田先生も快く承諾してくださいました。
このようにして「創価池田女子大学」は誕生したのです。〈同大学は国立マドラス大学に所属するカレッジ〉
(聖教新聞2001/9/20 『SGI会長 インド「創価池田女子大学」一行と語らい』より)http://www.3colorflags.net/sintyaku/20010920.txt
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上記のほか、同大の設立由来に言及した記事は無数にある(よほど自慢らいしい)。
要するに、池田氏の詩に感銘を受けたクマナン氏が池田創価思想に傾倒し、池田氏を生涯の師匠と定め、ついには"池田&創価”を冠した大学まで創ってしまった、ということらしい。真実なら、なかなかの"師弟美談”である。
しかし、世の常として、当事者によって語られる美談には、その裏に何か不都合な真実が隠されていることがままある。特に池田氏を主人公とする美談は殊更注意が必要だ。
で、インド創価池田女子大学に関して私が立てた検証テーマは以下の3つ。
(1)「池田-クマナン師弟美談」はどこまで真実なのか。
(2)インド創価池田女子大学の陰の創立者は誰か。
(3)インド創価池田女子大学の運営に池田創価は全く関与していないのか。
時系列で並べると上の順番になるのだが、論証の都合上、(3)~(1)へと逆順に話を進めていく。
●池田夫妻がインド創価池田女子大学の経営に参画
創価学会側は、インド創価池田女子大と池田創価の間にはスピリチュアルな師弟関係があるのみで、経済的、組織的な繋がりは一切ないかのように装っている。しかし私の調べたところ、両者は密接に繋がっている。もちろんここでいう「繋がり」とは、池田や創価の名前をもらったとか、創価教育を謳っているとか、日本の創大と姉妹校関係にあるといった抽象的な「繋がり」のことではない。池田創価が同大学の経営に当事者として深く関わっている、という意味だ。
その証拠を示す。
下記リストは、同女子大のオフィシャルサイトで公開されている大学の役員組織のリストである。
池田夫妻およびインドSGI代表Ouchi氏が役員としてしっかり名を連ねていることが分かる。
[( )内は蛍の参考訳。学会関係者には★をつけ、赤字にした。]
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ADVISORY BOARD(諮問委員会)
★Dr. Akash K.Ouchi(アカシュ・K・オウチ博士)
Representative in India, Soka Gakkai International, New Delhi.(インドSGI代表)
・Dr. N. Radhakrishnan(ラダクリシュナン博士)
Chairman, Indian Council of Gandhian Studies, NewDelhi.(ガンジー研究評議会議長)
・Dr. S. Lakshmi(S・ラクシュミー博士)
Former Vice –Chancellor, Mother Teresa Women’s University, Kodaikanal.
(マザーテレサ女子大・前副学長)
・Justice S. Mohan(ジャスティス・S・モハン)
Former Judge, Supreme Court.(元最高裁判事)
(以下2名略)
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MANAGING BOARD(経営役員会)
★Dr. Daisaku Ikeda(池田大作博士)
Honorary Founder(名誉創立者)
★Mrs. Kaneko Ikeda(池田香峯子女史)
Honorary Principal(名誉学長)
・ Mr. Sethu Bhaskaran(セトゥ・バスカラン氏)
Founder(創立者)
・Dr. Sethu Kumanan(セトゥ・クマナン博士)
Chairman(議長)
・Mrs. Kogilam Kumanan(コギラム・クマナン女史(クマナン夫人)) http://www.facebook.com/kogilam.kumanan
Secretary(秘書)
・Dr.P.Ranjithakani(P・ランジタカニ博士)
Advisor(アドバイザー)
・ Mr. Rajiv M.Takahashi(ラジブ・M・タカハシ氏 SGI関係者?)
Educational Advisor(教育アドバイザー)
・Dr. Rani Christhu Dhas
Principal(学長)
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COLLEGE GOVERNING BODY(大学理事会)
・Dr. Sethu Kumanan (セトゥ・クマナン博士)
Chairman(議長)
・Mrs. Kogilam Kumanan(クマナン夫人)
Secretary(秘書)
以下6名略
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(インド創価池田女子大学オフィシャルサイトより)
http://www.sokaikedacollege.in/advisory_board.html
リスト中、 Mr. Rajiv M.Takahashi(ラジブ・M・タカハシ)
の名があるが、下記2箇所のサイトの写真等から推測するに、彼もSGI関係者と思われる。
https://picasaweb.google.com/102444401585515661022/FourVirtues_2#5163765173136197810
http://www.facebook.com/indtaka
池田夫妻が名を連ねるMANAGING BOARDは「経営役員会」と訳したが、他の訳し方もあるかも知れない(企業ならば「取締役会」と訳される)。
いずれにしても実質的経営陣の一員として池田夫妻が加わっていることは明らかだ。もし彼らが名ばかりの名誉役員であるなら"honorary~(名誉なんたら) "の但し書きがつき、正規メンバーの後に書かれるものだが、そういう但し書きもなく、しかも池田夫妻、SGI最高幹部ともに序列のトップに記されている。つまり上記リストは、創価から3人(あるいは4人)もの人間がインド創価池田女子大経営陣に現役として名を連ね、中心的役割を担っていることを示すものである。
学会メディアは同大について、「池田先生の詩を読んで感銘を受けたクマナン議長が、自ら創立した女子大学に池田&創価の名をつけ、さらに池田氏に名誉創立者、夫人に名誉学長になってもらうよう強く要請した」という“美談”を喧伝するのみで、池田夫妻やインドSGI最高幹部が同大経営に関与しているという現実は学会員に一切明かしていない。そんな泥臭い現実を晒してしまうと、創価が語る“池田―クマナンのピュアな師弟愛”との整合性がとれなくなるからだろう。
インド創価池田女子大の経営に池田夫妻およびSGI最高幹部が関わっている以上、同大は池田創価と無関係な第三者機関ではもちろんない。他の創価ファミリー企業同様、完全な身内機関であるといえる。ということは、同大が池田氏に与えた「マハトマ(偉大なる魂)賞」も、“カネコ・イケダ図書館”の命名も、同大の職員・学生すべてが「イケディアン」宣言したというのも、身内が身内を(あるいは自分で自分を)讃えている図であり、鼻白む茶番劇であったということだ。それを非創価の第三者が客観的に池田氏を絶賛しているかのように喧伝する学会の詐術体質は、もはや病的というほかない。
インド創価池田女子大の陰の創立者は誰か
さて、池田夫妻らが経営に関与していることは分かった。しかし私の最大の関心は、検証テーマ(2)の「インド創価池田女子大学の陰の創立者は誰か」という点にある。
以下、考察、検証していくが、そのための予備段階として、ある相関関係を整理、説明しておかなければならない。
というのは、創価の隠蔽体質が災いしているのか、インドの池田女子大に関する創価側の説明が端折りすぎていて、相関関係が分かりにくかったり、誤解されやすいものになっているからだ。
何のことかと言うと、インド創価池田女子大の(表向きの)創立者と、(表向きの)経営母体のことだ。
創価の説明では同女子大の創立者はクマナン氏ということになっているが、これは正確ではない。前掲リストに“ Mr. Sethu Bhaskaran/Founder”とある通り、公式にはセトゥ・バスカラン氏が創立者である。(バスカラン氏はクマナン氏の義父(クマナン夫人の父親))。
そして、同女子大の(表向きの)経営母体は、セトゥ・バリアンマル教育財団であり、バスカラン氏はそこの会長でもある。(*1)
前掲の池田氏やクマナン氏のスピーチに出てくるセトゥ・バスカラ学園も、セトゥ・バリアンマル教育財団が創設・経営している学校だ(*2)。
つまりインド創価池田女子大、バスカラ学園ともに、創立者はセトゥ・バリアンマル教育財団会長のバスカラン氏であり、その娘婿であるクマナン氏が理事長(女子大では何故か議長と呼ばる)として両校を運営している---これが“公式に”表明されている相関関係である。
ところが、池田創価は公式な創立者であるバスカラン氏を差し置いて、ナンバー2のクマナン氏を「創立者」扱いしているのだ。これはバスカラン氏にとっては失礼極まりない話なのだが、これは一体どういうわけか。
と、ここまで書いて、記事の文字数制限に達した。続きは次稿で。
続編をUPするまでの場つなぎとして、一つ興味深い画像を「予告キャッチ」として掲載しておく。
下記画像は2011年のインド創価池田女子大の航空写真である。(クリックで拡大)
そして、下記は同女子大が開学したという2000年8月から4ヶ月経った後(2000/12)の同地の航空写真である。
つまり、インド創価池田女子大は学舎もないまま“開学”したことになるのだが・・・・・・・
[論拠資料出自]
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(*1)Soka Ikeda College of Arts & Science for Women is yet another educational institution run by the Sethu Valiammal Educational Trust.
(創価池田文理女子大学(=インド創価池田女子大)はセトゥ・バリアンマル教育財団が運営するもう一つの教育機構である)
http://sethubhaskara.in/campus.html
(*2)Sethu Bhaskara Matriculation Higher Secondary School run by the Sethu Valliammal Educational Trust.(中略)Mr.Sethu Bhaskaran is the founder of the School
(セトゥ・バスカラ学園はセトゥ・バリアンマル教育財団が運営している、(中略)セトゥ・バスカラン氏は同学園の創立者である)
http://sethubhaskara.in/about.html