東京大学の木宮正史教授(58)=写真=は韓国大法院(最高裁判所)が強制徴用賠償命令を下したことについて、「今回の事態を契機に、日本国内に『韓国は反日国家だ』という認識が拡散する可能性が高い」と診断した。木宮教授は自身の研究室でのインタビューで、「韓国政府は1965年の日韓基本合意の精神に合わせて悪影響を最小限に抑えられる知恵を迅速に見つけなくてはならない」と語った。53年前の韓日基本合意については「今になって『交渉はもっとうまくやるべきだった』と朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領を非難するのは、当時の韓国を過大評価したものだ」という見方を明らかにした。
-大法院判決をどのように見るか。
「日本の司法府は政府の決定を尊重する司法消極主義に基づいている。政府の行為を統治行為として認め、尊重する。しかし、韓国は司法積極主義だ。個人的には韓国の司法府が両国関係にどのような影響を与えるのかを慎重に考えるべきだったと思う」
-日本はこの問題をどれくらい深刻に考えているのか。
「韓国人は今回の判決が対日関係の一部分に過ぎないと考えている。これがどれだけ深刻なのかきちんと認識できていない。だが、日本は違う。両国関係の根本が揺らぎ、すべてがかかっている重大な危機だと見ることができる」
-慰安婦問題と比較してどれほど深刻なのか。
「韓国が慰安婦合意を覆すことについては、『それでも韓国の立場を理解すべき余地はある』と見る人もいなくはなかった。しかし、『1965年体制』の否定は次元が違う問題だ。これは日韓関係の基盤を覆すものだ」