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【プロ野球】

さらば新井…ラストは遊ゴロ 涙なく「最後まで真剣勝負。感謝しかない」

2018年11月4日 紙面から

ファンにあいさつし、ベンチに戻る新井(黒田淳一撮影)

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◇日本シリーズ<第6戦> ソフトバンク2-0広島

 広島の新井貴浩内野手(41)が日本シリーズを最後に現役生活に別れを告げた。

 全力疾走を貫いた。2点を追う8回先頭、代打で登場して遊ゴロ。日本一の夢は散ったが、涙はない。セレモニーを終えて、みんなへ、感謝の思いを言葉にした。

 「日本一には届かなかったけど、みんなの頑張り、必死さはすごく伝わってきた。感謝しかない。お世話になった方、かわいい後輩たち、何よりたくさん応援してくれた人にありがとうございます」

 プロ20年間を振り返ると「苦しいこと、悔しいことばっかり」。山本浩二監督に初めて4番を任され、FA移籍した阪神では金本引退後の4番に座り、容赦ない批判にもさらされた。ファンレターには「頼むからカープに帰ってくれ」。応援をボイコットされたことも。どん底から救ってくれたのもファンだ。打席へ向かう時、手を合わせて祈ってくれる人が見えた。「その人たちのために頑張ろう」。心の支えとなった。

 「若いうちは苦労は買ってでもって言うだろ。今はいい思い出。苦しい思いをすればするほど、他人の気持ちが分かるようになる」

 幼少期から三国志の劉備がお気に入り。負けると知って弔い合戦へ向かう姿に心を打たれたという。「情というか心の部分」。だから「結果が全て」という言葉を嫌う。実績よりも「思いやり、相手へのリスペクト、謙虚な気持ち」。それを20年の現役生活で痛感した。

 最後は幸せだった。最高の仲間とグラウンドに立って、憧れのユニホームを脱げる。

 「こういう選手ってなかなかいない。3連覇してユニホームを脱がせてもらえて。本当にありがとうっていう気持ちしかない。最後まで真剣勝負できて感謝しかない」

 第2の人生は「ファミリータイム」と表現する。「来年楽しみやな。やっとゆっくりできるからな。ノンプレッシャーで」。まずは北陸の日本海側を旅しておいしいものを堪能するつもりだ。自転車を候補に新しい趣味も探す。もちろん息子の野球の応援も。

 

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