「反日の実態」が参照している海外のサイトを見ても、"James Lett"なる大学教授は一度も登場しません。本当の作者名もちゃんと書いてあります。

この2人、ジョナサン・バンキンとジョン・ウェイレンはアメリカのジャーナリストで、主に陰謀論を取材しています。

[検証2_2]「論文」というのも「反日の実態」の誇張で、実際は陰謀論の紹介コラム

このコラム、実は翌年に出版されてるんですよね。

Conspiracies = 陰謀。
タイトルは出版社の腕の見せ所ですが、あくまで直訳すれば「史上最大の60の陰謀 - 歴史上かつてないミステリー、隠蔽、秘密結社」かな。

[検証2_3]原文が「反日の実態」によって勝手に改ざんされている

「反日の実態」では

Asahara’s own father is Korean.
(麻原の実父は朝鮮人だ)

※翻訳は筆者が挿入

とされていますが、リンク先の原文は

One weekly reported that Asahara's own father is Korean.
(ある週刊誌は「麻原の実父が朝鮮人である」と報じた)

※翻訳は筆者が挿入

[検証2_4]結局20年前のデマを海外経由で蒸し返しただけ

この「ある週刊誌」とは、具体的には1995年5月の「週刊現代」を指しています。
ここからはWikipediaにも載ってる話なのでザッと説明しますが、結論から言えば麻原彰晃の父も祖父も日本人です。

(1)麻原の祖父は熊本の警官で、日韓併合の時代に朝鮮半島に赴任し警察署長に。ここで麻原の父が誕生。
(2)戦後、麻原の祖父と父は故郷の熊本に戻り、父は成人して畳職人に。ここで麻原本人が誕生。

で、「週刊現代」には(2)の部分だけしか載っていなかったため父親が朝鮮人だという噂が流れ...というのが、まさに冒頭で述べた「20年前の話」です。

まぁ、「週刊文春」や「オウム真理教大辞典」、高山文彦の「麻原彰晃の誕生」などで改めて(1)と(2)の両方が記述されるまでにタイムラグがあったため(それぞれ2000年・2003年・2006年)、この1995年の陰謀論コラムの記述自体には間違いはないのですが。

間違いはないっていうか、そもそもが「陰謀論の紹介」なので、何ていうかその。

まとめ

ネトウヨさんに「英文読めや」というのも酷なので、海外のサイトに載ってた文章が実は陰謀論の紹介コラムで、しかも出版されていることに気付かないのは仕方ないでしょう。
ただし、「反日の実態」の該当部分を編集した人間が、

・"James Lett"なる「アメリカの大学教授(人類社会学者)」が書いた「論文」だと捏造。
・原文を改ざんして「週刊誌報道の引用」ではなく「教授本人の断定」だと捏造。

この2つを行ったことは間違いないですね。何のためにこんなことやったんでしょか。

おまけ

もっと言えば、この洋書は和訳されて1998年に出版されているので、一度読まれてはいかがでしょう。

「エイリアン死体解剖フィルムを検証」「UFOによる集団心理操作」「レーガン大統領暗殺指令を出したのはブッシュ」「エイズは国防総省が生み出した生物兵器」など、とっても楽しそうなテーマを扱っているようなので、そういうのが好きな人には向いてるのでは。
¥1だし。

関連まとめ

〜ツイッターの反応〜

ちょうどこの前、麻原彰晃は朝鮮人で江川さんがそう言ったってクソリプが来たんだよね。もっと丁寧に反論すべきだったかな…。 [検証用資料]「麻原彰晃の親は朝鮮人」という捏造 - NAVER まとめ matome.naver.jp/odai/214574780…

[検証用資料]「麻原彰晃の親は朝鮮人」という捏造 - NAVERまとめ 小坪慎也市議《現在は古参となっている保守活動家たちが、 かつて新参であった頃、入門の教科書として愛するサイト。 私もその一人だ。》 これが「ネットDE真実」か matome.naver.jp/odai/214574780…

日本人の汚点は全て朝鮮人の仕業というおめでたいネトウヨ脳 こうして彼らの言う美しい日本が形成されていく [検証用資料]「麻原彰晃の親は朝鮮人」という捏造 - NAVER まとめ matome.naver.jp/odai/214574780…