内戦下のシリアで拘束され、10月に3年4カ月ぶりに解放されたジャーナリストの安田純平さん(44)の会見詳報は以下の通り。
司会 これから安田純平さんの記者会見を行いたいと思います。この記者会見をこちらで開く経緯について最初に説明します。8月7日に安田純平さんを救う会がたち上げられまして、その日に奥さんの深結さんがこの場で記者会見をされました。その際に日本記者クラブ側から、ご主人が無事帰国されましたら同じように記者会見を体力が回復された頃にお願いしたいと申し述べておりました。その要望に安田さんが応えてくれまして、体力は現在回復しつつあるこのタイミングで安田さん本人から皆さんに記者会見して説明されたいということがございまして、本日、このタイミングでの記者会見となりました。
まず最初に安田さんは3年4カ月ぶりにシリアで拘束され、日本に戻ることができたと。お手元には拘束から解放までの経緯について安田さんの記憶に基づいたメモが配布されています。このメモは皆さんの中でご覧いただいた上で安田さんから自分自身が経てきた体験と帰国した現在の心境を含めて、30~40分安田さんから説明会見を聞いて、その後質疑応答に入らせていただきます。それではよろしくお願いします。
可能な限り説明、私の責任
◆安田純平と申します。よろしくお願いします。本日は貴重なお時間をさいていただきましてありがとうございます。今回、私の解放に向けてご尽力いただいた皆さん、ご心配された皆さんに、おわびしますとともに、深く感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
私自身の行動によって日本政府が当事者にされてしまったという点について、大変申し訳ないと思っております。何が起こったか、可能な限り説明することが私の責任だと思っております。この場をお借りしまして、拘束から解放までの経緯について説明させていただきます。よろしくお願いします。(着席)
まず今回の取材の目的についてお話し致します。2015年5月末に日本を出ましてトルコに入りまして、取材を進めるうちに、シリアの反政府組織である自由シリア軍からイスラム国(IS)に関する資料を入手しまして、それまで表に出ていなかった資料であろうと、イスラム国に人質になったフランス人であるとか、アルカイダ系組織であったヌスラ戦線の人質になったスウェーデン人の映像であるとかが入っていたので、信ぴょう性が高いだろうと考え、その関連の取材をしていました。
イスラム国の資料については、戦闘員のリストであるとか、それぞれの家族構成によって給料が違うとか、それぞれの月の予算表とか、そういったイスラム国が単なるならず者というよりは、きっちりとして国家のような組織を構成していると一端が見えましたので、これについてはさらに取材したいと考えていました。
反政府側地域にはどんな可能性があるのか見たかった
◆それから2015年の5月ごろ、当時イスラム国が非常に注目されていた中で、それ以外の反政府側の組織がイスラム国に対抗するという意味でそれぞれいがみ合っていた各組織が一つの同盟と言いますか、協力関係を組むことをし始めて、背後にいる協力者、支援者、国であるとか組織であるところからも同意が出た、ということで同盟関係を組むことになりまして、シリア北部のイドリブ県を中心とした反政府側の地域が一定の安定を見せ始めた頃で、イドリブ市など主要都市を政府側から奪い取りまして勢力を伸ばし始めていた時期であった。イスラム国が非常に注目される中で非常に凶悪な組織であると言われていた。一方では、アサド政権については空爆などによって多くの死傷者を出していた、イスラム国に問題があるのかアサド政権なのか、単純な話なのかというと、おそらくそうではないだろうという中で、イドリブを中心としていた反政府側の地域には、どんな可能性があるのか見たいと思っていました。