【首都スポ】[大学サッカー]専大インカレに導く岩魚キック 名前に込められた父の思い2018年11月2日 紙面から
第92回関東大学サッカー1部リーグ(東京中日スポーツ後援)は残り4試合となった。優勝争いはもちろんのこと、全日本大学選手権(インカレ)への出場をかけた戦いや2部降格を回避するためのバトルも、ここから激しさをさらに増していく。後半戦に入って勝利がない専大は現在の10位からインカレ参戦を目指す。J2甲府への来季加入が内定している主将DF小林岩魚(4年・甲府U-18)に聞いた。 (取材・構成、関孝伸) -小林選手は左利きの左サイドバックで、非常に良質のクロスボールを上げます 小林「キックのクオリティーにはこだわっています。自分の一番の武器ですし、人には負けたくありません」 -キックの良さは練習のたまものですか 「中学の頃から、人よりもキックを練習しているつもりです。何回も何回も蹴るというよりは、一本一本に集中して、質にこだわって練習してきました。特に大学に入ってからは、グラウンドを使える時間が限られていて、自主練もそんなにできない中で、一本に集中して蹴ることをさらに大事にするようになりました。それが良かったのかなと思います」 -ゴール前にクロスボールを送り込む上で心がけていることは何ですか 「高さがある選手が今のチーム(の前線)にはあまりいません。高いボールで“ドンピシャヘッド”というのはなかなか難しいので、できるだけスピードがあるボールをキーパーとディフェンスの間を横切るような感じで入れることを意識しています」 -今季は最上級生として活躍が期待されたわけですが、リーグ戦が始まって早々にケガをしてしまいました。自慢の鋭いクロスボールをシーズンを通して十分に披露できているとは言えません 「2節が終わった後の練習試合で左足首を傷めて、リーグの前半戦は試合にあまり出られませんでした(11試合のうち8試合欠場)。キャプテンとして、ピッチに立てないのは本当に情けなかったです。ただ、チームに対して外から何ができるのかとか、そういった部分を見つめ直す、いい機会にはなりました」 -小林選手が不在の間はチームメートたちが踏ん張ってくれました。その結果、3位で後半戦へと折り返しました 「試合の中で、前半は耐えて後半に勝負をかけるという戦い方がうまくできて、勝ち点を拾っていきました」
-前半戦終了後の中断期間中には、総理大臣杯全日本大学トーナメントに出場し、準々決勝まで勝ち進みました 「もうちょっと上に行きたかったな、もうちょっと戦えたなというのが正直な感想です。個人的には、2回戦の桃山学院大戦で3アシストしたこともあって、手応えをかなり感じた大会になりました」 -そして、リーグ戦が再開しましたが、ここまで7試合を消化して3分け4敗と、後半戦に入ってから白星に恵まれません。現在は10位まで順位を落としています 「勝ち続けて優勝争いに踏みとどまりたかったんですけど…。ただ、前半戦と比べて、内容がそんなに劣っているわけではありません。もったいないゲームをして、勝ち点を落としてしまっているのが現状です。自分のプレーとしては、アシストができています(7試合で2アシスト)し、調子は悪くありません。ただ、守備の部分でチームにもうちょっと貢献したいです」 -守備は小林選手にとっての課題です 「サイドバックを本格的に始めたのが去年で、それまでは攻撃の選手でした。だいぶ良くなってきてはいますけど、まだまだの守備だと思っています。勉強中です」 -下位ですが、現状で7位までに与えられる、インカレ出場権を獲得するチャンスは十分にあります。7位とは勝ち点4差で、残りは4試合です 「厳しい状況ではありますけど、目の前の試合にこだわって、ひたむきにやっていくしかありません。チームが前向きになれるように、キャプテンとして、練習から働きかけています。勝利が早く欲しいです。今は個人の数字とかは重要ではなくて、たとえば、自分がアシストをしなくても、チームが勝てば、それでいいです。後がないですし、死ぬ気で戦います。4年生にとっては最後の最後なので、これまでの感謝の気持ちをプレーで表現していきたいです。すべてを出し切ります」 -卒業後はプロの世界に進みます 「左足のキックに関しては、プロでもやれる手応えを持っています。そこを磨くと同時に、すべての面でレベルアップして、1年目の最初から試合に絡んでいきたいと考えています。(加入が内定している)甲府は自分にとって地元のクラブです。中学高校と(下部組織で)育ててもらったので、愛着があります。そのクラブで結果をしっかりと残して、町の人たちから愛される選手になりたいと思います」 ◆小林アラカルト◆名前 渓流釣りを好む、父によって名づけられた。どんな環境でも生きていく強い魚である、ヤマトイワナにちなんでの命名。しかし、自身は釣り好きではない。小さい頃、父に連れられて釣りに幾度か出かけたものの、釣果なしで、興味を持てなかった。「おもしろくありませんでした」 ◆時間がタップリ 卒業に必要な単位をすでに取り切った。そのため、今はフリーの時間がたくさんある。週に2回ほど筋トレに通うほか、映画を見たり、昼寝をしたり、ポケモンのゲームに没頭したりと、有意義に過ごしている。 <小林岩魚(こばやし・いわな)> 1996(平成8)年10月17日生まれの22歳。甲府市出身。178センチ、73キロ。同市立羽黒小2年のときにUスポーツクラブでサッカーを始めた。中学高校時代は甲府の下部組織でプレーし、中3時と高1時に年代別日本代表のメンバーに選出された。専大では3年時の昨季から主力となり、今季は主将。来季からの甲府加入が内定している。関東B・北信越大学選抜。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。
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