【スポーツ】[大学野球]法大、12季ぶりV 早大に並ぶ45度目 慶大負けてロッカーで歓喜2018年10月30日 紙面から
◇東京六大学野球法大が2012年秋以来12季ぶり45度目の優勝を決めた。3連覇を目指した慶大は、勝てば優勝決定だった早大戦を4-5で逆転負けし、46年ぶりの偉業をあと1歩のところで逃した。リーグトップのチーム打率で優勝した法大は、11月9日から始まる明治神宮大会で秋の日本一に挑む。秋季リーグ戦は全日程が終了。早大の小島和哉投手(4年・浦和学院)が1・73で最優秀防御率に輝き、明大の渡辺佳明内野手(4年・横浜)が打率4割2分で首位打者を獲得した。 法大はロッカールームで、一つ一つアウトを数えながら早慶戦の行方を見守った。12季ぶりの優勝が決まると、ロッカールームに帽子が乱れ飛んだ。青木久典監督(45)は涙を流していた。雄たけびを上げた中山翔太内野手(4年・履正社)=ヤクルトからドラフト2位指名=は「優勝して絶対に神宮大会に出るんだという気持ちだった。本当にうれしい」と満面の笑みだった。 人事を尽くして天命を待った。判定が覆って、青木監督らが猛抗議した慶大3回戦。延長12回、サヨナラ負けを喫して自力優勝は消えた。チームはいっそう気を引き締めた。残り4試合を勝って慶大にプレッシャーをかけようを合言葉に、4連勝フィニッシュした。 チームを支えたのはスタメンに3割打者が5人いる強力打線。中心には六大学きっての筋肉を誇る中山がいた。「夏に身につけた技をお見せしたい」とリーグ戦前から自信をのぞかせていた。開幕カードからいきなり2本塁打。打率は2割台後半だったが、長打で勝利に貢献。左手1本のバッティング練習で磨いたスイングが生きた。 高校時代から全国を経験したメンバーをそろえながら、6年も優勝から遠ざかった。自信を持って臨んだ今春も5位。「あれで鼻っ柱を折られた選手たちの目の色が変わった」と青木監督。自身も選手とともにグラウンドで汗を流し、ハッパを掛けた。45回目のリーグ優勝は、皮肉にもアシストしてくれた早大に並んだ。念願の出場権を手にした神宮大会で、日本一を目指す。 (広瀬美咲)
◆早大5-4慶大 慶大3連覇ならずあと1イニング、あと2アウトが遠かった。慶大は、3試合連続完投などでリーグ戦終盤を支えてきた高橋佑が力尽きた。1点リードの9回に二塁打などで無死一、三塁とされて降板し、代わった菊地が1死から逆転を許した。今季6勝でベストナイン投手の高橋佑は「大事な試合に勝てなければ意味がない。ベストナインより勝ちたかった」と肩を落とした。 46年ぶりの3連覇を逃し3位に終わった大久保監督は「高橋佑ひとりで、ここまで来たようなもの。ほかの投手と比べても高橋佑の方がいいと思った」と、中1日で序盤からピンチの連続ながら力投した3年生左腕をかばった。うなだれる選手たちを見て「勝たせてやりたかった。3連覇にトライしてここまで来た学生は素晴らしかった」とたたえた。 ◆早大、高橋監督へ有終星早大は、今季限りで勇退する高橋監督の最後の試合に逆転勝ちし、春に続いて慶大から勝ち点をもぎとった。9回に加藤の中犠飛で追いつき岸本が中前へ決勝打。右足首を痛めて先発を回避したエース小島は「連投させたくなかったけど(先発は)1年の西垣に任せました」と言い、6回から2イニングを無失点で抑え、逆転を呼び込んだ。有終の美を飾ってもらった高橋監督は「いい試合だった」と何度も繰り返して神宮を後にした。
◆早大・小島、明大・渡辺佳 プロでもタイ獲るともに現役最多の通算22勝の早大・小島が最優秀防御率、通算95安打の明大・渡辺佳が首位打者にそれぞれ輝いた。ロッテから3位指名の小島は「周りが支えてくれたおかげ。高橋監督の最後の試合を勝てて良かった」と喜んだ。楽天6位指名の渡辺佳は「取りたかったタイトル。次のステージのプロでも取りたい」と目を輝かせた。
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