【プロ野球】タカ連勝、上村目覚めた先制2ラン2018年11月1日 紙面から
◇日本シリーズ<第4戦> ソフトバンク4-1広島SMBC日本シリーズ2018は31日、ヤフオクドームで第4戦が行われ、ソフトバンク(パ2位)が広島(セ優勝)に4-1で勝ち、対戦成績を2勝1敗1分けとした。3回に上林の2ランで先制。1点を返された4回にデスパイネの2試合連続本塁打となるソロ、6回には長谷川勇の適時打でそれぞれ1点。広島は鈴木の今シリーズ3本目となるソロの1点に終わった。 球場にいる誰もが、スタンドインを確信する完璧弾だった。0-0の3回2死一塁。ソフトバンクの上林が広島・野村のカットボールを捉えた。右翼席中段への先制2ランは、自身にとって日本シリーズ初アーチ。「最高の結果になった、最高。楽勝で入ると思った」と笑顔を見せた。 7回には右翼ポール付近に大ファウル。リプレー検証に至る微妙な打球だった。「入ったと思ったんですけどね。また打てるように頑張ります」。状態が上向きであることを証明する一打に前をむいた。 クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで10打点を記録したバットも、日本シリーズでは第1戦が6打数無安打4三振で、第2戦は体調不良でスタメン落ちした。本塁打直前までの打率は屈辱の8分3厘。それでも内川の言葉が心の支えとなった。「シリーズはどれだけ打ったかより、どこで打ったかが大事だぞ」。自主トレで師事する師匠の教えの通り、申し分のない場面で打ってみせた。 激しいレギュラー争いを勝ち抜いて、頂上決戦での一撃にたどり着いた。広島でのシリーズ開幕戦前夜。内川に連れられ幕内琴奨菊、嘉風らとの食事会に同席した。席上では「一体どうやって重圧に打ち勝つのか」と大関の経験もある琴奨菊に問われたという。 上林は恐縮しながらも「重圧に勝つというより、このチームでは試合に出るために(激しい競争に)勝たないといけない。そこに勝つだけで精いっぱいでした」と言い切った。柳田や中村晃に長谷川勇のほか、2軍にも上をうかがう実力者がひしめく。その中を勝ち抜いてきた自信には揺るぎないものがある。だからこそ大舞台の重圧にも負けることはない。この試合を見守った琴奨菊にも、最高の結果で言葉の裏付けを示してみせた。 1敗1分けの敵地から福岡に戻り2連勝。「王手をかけて、広島に重圧をかけられるよう頑張る」。2年連続の日本一への道は、上林のバットが切り開く。 (山田孝人)
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