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辻調理師専門学校、鳥取県・鶴岡市・志摩市の3地域と連携し「食の教育研究プロジェクト」を始動、各地域で持続可能な食文化産業の振興を目指す

2017.05.12 19:14 更新

 辻調理師専門学校は、日本の食文化産業の発展、およびその担い手の育成に尽力するべく、鳥取県・鶴岡市(山形県)・志摩市(三重県)の3地域と協定書を交わし、「食の教育研究プロジェクト」を始動する。5月12日に行われた「食の教育研究プロジェクト」3地域提携発表会では、辻調理師専門学校の辻芳樹校長がプロジェクトの主旨や概要について説明した他、今回提携する鳥取県、鶴岡市、志摩市の各地域におけるプロジェクトの取り組みが紹介された。また、鳥取県の平井伸治知事が発表会に駆けつけ、鳥取県と辻調理師専門学校による連携協定調印式が執り行われた。

 「現在、日本では政府をはじめ都道府県や市町村の各地域で、食に関連する様々な取り組みが進められている。この取り組みを活発化させるために、クールジャパン、インバウンド、地方創生といったテーマで積極的な議論が行われており、その中で、消費者に対する最終的な付加価値を提供する専門職として、料理人の活躍に期待が高まっている」と、辻調理師専門学校の辻芳樹校長が挨拶。「一方、海外では、ガストロノミーやサステナビリティ、ウェルネスをテーマに、料理人にオピニオンリーダーとしての役割を与えた教育や研究が活発化している。例えば、トップシェフたちが最先端の研究やアクションリサーチに参加するなど、教育研究機関と一緒になった社会活動へと広がっている。日本は、こうした動きにやや遅れをとっているのが現状である」と、海外に比べて日本は、地域や教育研究機関と料理人との連携が進んでいないと指摘する。

 「そこで今回、鳥取県、鶴岡市、志摩市の3地域と食文化産業の振興に関する連携協定を締結し、『食の教育研究プロジェクト』を展開することで、地域および教育研究機関と料理人との連携モデルを構築していく」と、「食の教育研究プロジェクト」を立ち上げる主旨を説明。「当校は、東京・大阪・フランスに拠点を持ち、これまでに14万人の卒業生を送り出してきた。この卒業生が中心となり、地域社会との連携を行うことで、日本の食文化産業が抱えている様々な課題を解決していけると自負している」と、辻調理師専門学校の料理人がオピニオンリーダーとなって、各地域と連携した教育研究活動や持続可能な食文化産業を推進していくという。「今回のプロジェクトは、実践しながら理論化していくアクションリサーチであり、将来的には、国内だけでなく国際社会が直面する課題を解決する連携モデルにもなりえると考えている」と、海外との地域連携も視野にプロジェクトを展開していくと意気込んだ。

 続いて、「食の教育研究プロジェクト」に参画する、鳥取県、鶴岡市、志摩市の3地域が、それぞれの取り組みについて紹介した。鳥取県 食のみやこ推進課の塗師木太一課長は、「鳥取県では、カニや梨、鳥取和牛、ジビエなど豊かな食材に恵まれ、“食のみやこ鳥取県”をキーワードに県政を進めている。今回のプロジェクトでは、辻調理師専門学校との連携によって、鳥取県産食材の活用をはじめ“食のみやこ鳥取県”を推進し、美食の産業を創出していく」と、鳥取県の豊かな食材を生かし、新たな食産業の創出を目指す考えを示した。「具体的には、鳥取県のジビエのブランド化に向けて、ストーリーの作成や料理人への普及、ジビエ活用に関する共同研究に取り組んでいく。また、県外レストランにおける鳥取県産食材の活用拡大を図るとともに、鳥取県出身の辻調理師専門学校卒業生のネットワークを構築し、同校卒業生のUターン・Iターンのモデルを構築していく」と、鳥取県の食産業の発展だけでなく地方創生にもつながることに期待を寄せていた。

 鶴岡市の榎本政規市長は、「鶴岡市は、2014年12月1日に、ユネスコが提唱する『ユネスコ食文化創造都市』に日本で初めて認定された。この背景には、昨年4月に日本遺産に認定された出羽三山や、日本の穀倉地帯である庄内平野、そして日本海へと至る変化に富んだ地形の中で、豊富な海の幸、山の幸に恵まれていることが挙げられる」と、世界に認められた食文化創造都市なのだと胸を張る。「今回、この認定から2年半を迎え、新たな挑戦として、『食の教育研究プロジェクト』に参画する。プロジェクトでは、鶴岡市の農家が世代を超えて継承してきた50種類もの在来作物の保存と未来への伝承、また、鶴岡特有の食文化の研究による学びのプログラム構築などに取り組んでいく。これにより、世界中から食文化を学ぶ人々が集い、交流し、新しい価値を共有する拠点となることを目指す」と、鶴岡市が誇る食文化を世界に向けて発信していくと述べていた。

 志摩市の竹内千尋市長は、「志摩市は、“真珠と海女の故郷”として知られ、自然と調和しながら豊かな食材を育んできた。とくに海女漁は、約3000年の歴史があり、昨年には国の重要無形民俗文化財に指定された。自然環境に配慮しつつ、持続可能なサステナビリティを体現する漁業であることから、海外からも注目を集めている」と、海女漁を中心に豊富な海の幸が志摩市の魅力であると訴える。「一方で、志摩市の人口は、この10年で1万人ほど減少しており、地方創生が大きな課題となっていた。そこで今回、辻調理師専門学校との連携によって、食を通じた質の高い観光関連産業の実践に取り組んでいく。そして、志摩市ならではの食材や伝統的な食文化を生かした地方創生を積極的に推進していく」と、「食の教育研究プロジェクト」を機に食産業と観光関連産業を融合させ、人口減少に歯止めをかけたい考えだ。

 ここで、鳥取県の平井伸治知事が会場に駆けつけ、鳥取県と辻調理師専門学校の連携協定調印式が行われた。協定書への調印を終え、挨拶した平井知事は、「辻調理師専門学校が提唱するガストロノミーの理念に深く共感している。辻調理師専門学校は、日本の料理人における最高峰の学府であり、世界とも結びつきながら、美食の世界を追求している。鳥取県は豊富な食材を有しているが、その食材を生かすためには料理人の役割が非常に重要であると感じている」と、今回の連携協定が、鳥取県の食文化産業の振興にとって大きな力になることを強調した。

 「この協定に基づき、ジビエなどの食材を加工して調理する技術研究、優れた料理人の育成、県内食材の全国への普及拡大などに取り組むことで、単なる食材がおいしい料理になり、人々の豊かな食生活につながっていくと確信している。さらに、プロジェクトに参画する各地域とも連携し、日本の食文化の豊かさを、改めて世界に訴えていきたい」と、「食の教育研究プロジェクト」の活動を通じて、食文化の重要性を国内のみならず世界の人々に伝えていきたいと話していた。【PR】

辻調理師専門学校=http://www.tsuji.ac.jp/college/chorishi/
鳥取県 公式ホームページ=http://www.pref.tottori.lg.jp/
鶴岡市 公式ホームページ=https://www.city.tsuruoka.lg.jp/
志摩市 公式ホームページ=https://www.city.shima.mie.jp/