suzu@kick diary

とあるキックボクサーの九転び十一起きな物語が現在、進行中です。

焼肉ナイト

仲の良いメンバーで焼肉を食べに行ってきた。
一人はミュージシャンとして、休日はライブ活動でギターをかっこよくかき鳴らし、もう一人は編集者として土日関係なく時間に追われて仕事をしている。

そのため、「今度呑みにいこうよ」とか「すごい店みつけた」と声をかけてから集まるまでに時間を要してしまい、なかなかすぐにみんなで集まってということができない。
各自が忙しいスケジュールを縫って時間を作ってくれるので、その分じゃあこの日に決行しようとなったら、気持ちが自然と弾んでくる。

今でも予定をこうやってあわせて集まれることは実にうれしいものだ。
何食べようとかこれ好きかなとか、何時くらいから始めようか、早い時間からでもいいなとか、思いをめぐらしてはお店をスマホで検索したりしてみる。

このメンバーはそれぞれのバックグラウンドだったり、持っている世界観だったりがものの見事に違いすぎていて、なんでこの面子なんだろうと不思議に思うこともある。
それでも付き合いは長く、僕が試合のときは会場に駆けつけてくれるし、ライブハウスでライブがあったら聴きに行き、記事の編集が大変なときは僕も記事作りを手伝ったりする。

集まる場所もさまざまで、時にはゴールデン街を開拓してみたいといって梯子してみたり、ある時にはプチ旅行気分で遠方にあるお店のオーガニックなカレーに舌鼓をうってみたり、またある時には老舗のおでん屋さんで粋な時間を過ごしてみたりだ。

そして今回は焼肉とあいなった。
お店は人気店ということもあり、1ヶ月前から予約を取っていたくらいだ。
向かう道中、お肉をたらふく食べられるぞという最大級の嬉しさに気分は上々であった。

以前その店に行ったことのある僕は、お店では絶対、これとコレと是は食べないとダメだよと、自信をもってお奨めを伝授した。
本当に間違いないからと。

お店に入って、お客さんで埋め尽くされた賑やかな店内に期待は最高潮。
さっそくお肉を注文。
頭に特上という名のついた肉もえいやと注文をした。
肉が届き、僕等の眼は厚みのあるきれいな肉に釘付けとなった。
おお、見るからに美味しそうではないか。
みんな無邪気な子どものように目が輝く。
美味しいものを前にしたら人間誰もがみな同じだ。
一人一個トングを持っていざスタンバイ。
ここに来る前に、焼肉に行くなら身体を動かして空腹にさせてから行こうとなって、ボーリングでエネルギーを使い切ってきたので、みんな一様に飢えているのだ。

肉を焼き始めて、「うわっー」「美味しいね」「たまらないっ」そんな言葉とともに、ひたすら限りのある時間を肉に集中した。
焼肉というリングの上ではもう遠慮はいらない。
「それ焼けてないよ」という声に「いや焼けてるよ」と肉を先に掴み「それ食べてない」には「ここは早い者勝ち~」と手数をゆるめず攻めていく(笑)
そうやって食べて飲んで笑ってとしていたら、あっという間にラストオーダーとなってしまった。

お店を出て、駅に向かう途中のコンビニでアイスを買って、食後のデザートにした。
みんなで最後にアイスをこうして食べて帰るのはいつものこと。
それはつまり、今日もとうとう終わる時がやってきたということだ。
アイスを食べ終えると、楽しい時間と引き換えに今日が終わってしまうという寂しさが、急に募っていく。

駅に着いて「じゃあね、次またどっか行こうよ」と違う電車に乗った友達にいつものように手を振って別れた。
見送る真夜中のホームで、さっき食べたアイスの冷たさが今ごろになってぶるっと身体を震わせた。
あ、そうだ、次は鍋もいいかもなと思いながら、僕も程なくしてホームにやってきた電車に乗り込んだ
次会う時はもっと寒くなっているだろう。

明日は休み、気持ちよく、ぐっすり眠れそうだ。
今日を最高の形で終わらせよう。