短編小説   作:重複
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休日には・マーレ

マーレは最古図書館(アッシュールバニパル)に来ていた。

 

「ありがとうございました。とても面白かったです」

 

礼を言って、借りていた本を返却する。

 

「それで・・・・・・」

 

マーレは口ごもる。

デミウルゴスの言っていた言葉を思い出していた。

 

「あの・・・・・・子供の作り方が載っている本ってありますか?」

 

ナザリックの役に立つ事は、とても大事なことだ。

普段仕事が無ければ、わざわざ寒くした部屋でずっと羽毛布団に包まっていたいマーレでも、その思いは変わらない。

 

ナザリックが元の世界(ユグドラシル)から移動した日に、デミウルゴスの提案した「ナザリックの戦力増強」。

それにわざわざ自分(マーレ)に言ったという事は、おそらく自分が一番適任だということなのだろう。

 

アインズの許可なく行動に移すような真似はしないが、言われてから勉強するより、先に知っておいた方が効率がいいことは確かだ。

 

デミウルゴスは「その時が来たら教えてあげよう」と言ってくれたが、彼は今ナザリックの中で忙しい者たちの上位にいる。

そんな者の手を煩わせるような真似は、マーレでも躊躇してしまう事だ。

 

それにナザリックの内部は、至高の御方の厳密な計算の上に成り立ち、完璧なバランスを保っている。

 

だからこそ、第六階層で住む者の数を増やす時は、バランスを崩さない自給自足のできる者に限っている。

あるいはダグザの大釜で誤魔化せる範疇で行う。

 

だが、今はナザリックの外に活動範囲を広げている。

それに、コキュートスから聞いた話によると、アインズはいろいろな種族の子供を集めて一緒に育てる構想を持っているらしい。

 

ナザリック内に新たに子供を作ることはできないが、外に作るなら問題ないだろう。

子供がどのくらいの期間で作れるのかは知らないが、種族によって違いがあることくらいは知っている。

それこそ同じ人間種でも、人間と森妖精(エルフ)では、成長速度がかなり異なることも知っているので、やはり知らない事は先に調べておくべきだろう。

 

基本的に、マーレは与えられた仕事はきちんとこなすタイプだ。

自分からあれこれと発案する性格ではないが、与えられた仕事を完遂する為の努力は厭わない性質だ。

 

デミウルゴスの王国での計画「ゲヘナ」の時も、わからない事は率先して質問し、自分のミスで計画に支障が出ないかの確認と、デミウルゴスを信用していない訳では無く、自分の考えが及ばない事があると思った時は、随時確認を取る慎重さがある。

 

デミウルゴスに任せれば大丈夫、ではなく、自分の心配の解消の為にも、わからない事をそのままにしない積極性があった。

 

そして今回も、自分の疑問を解消しておくことにしたのだ。

 

 

子供という定義が、自分くらいの年齢も含むなら、自分の子供が自分と同じ位に成長するには、七十年以上の年月が必要となる。

 

もちろん、それが計算済みなのであれば、マーレはそれに従うだけだ。

 

だが、すぐに子供が入り用となる場合は、寿命が短い種族の方がすぐに自分位の外見に成長するだろう。

 

「どんな種族が必要になるんだろう」

 

最初にデミウルゴスの言っていた種族を思い出す。

 

『人間や闇妖精(ダークエルフ)、森妖精(エルフ)などの近親種がいたら捕まえてくるから、どうだね?』

 

デミウルゴスの言っていた種族が、基本的に自分(闇妖精)と子供が作れる種族なのだろう。

 

そういった種族を捕まえておいた方がいいのだろうか。

先ほども考えた通り、デミウルゴスは忙しい。

 

デミウルゴスがいろいろ考えても、手が足りない事もあるのかもしれない。

 

なにより、あの時の話の流れでは、アインズの許可がなければ特に優先するべき案件とはならないようだった。

 

「どうしようかな」

 

少しくらい自分も協力(行動)した方がいいのだろうか。

 

デミウルゴスの言った種族を、何人か捕まえておくのもいいかもしれない。

 

現在ナザリックで使用しておらず、この先も使用の予定の無い、いなくなっても問題のない存在。

例えば、最初にシャルティアが捕まえようとしていた、盗賊などの犯罪者やそれらに襲われていなくなった者などであれば、かまわないのではないだろうか。

 

捕まえておいて、不要となったら餓食狐蟲王の巣としてしまえばいいだろう。

 

このナザリックで働くことになった森妖精(エルフ)の三人は使えない。

アインズから下賜されたものなのだから。

 

同じく餓食狐蟲王の巣となっている、ナザリックに侵入したワーカーとかいう半森妖精(ハーフエルフ)の女も使えない。

あれの処遇はアインズが決めた事だ。

それを覆す事など、許される事ではない。

 

当然、アインズの支配地となった、エ・ランテルの住人も不可だ。

 

アインズの持ち物に手をつけるなど、不敬以外の何物でもない行為だ。

 

故に捕まえるなら――

 

 

「……う」

 

かすかな呻き声をあげて、女は目を覚ました。

 

「ここは」

 

起き上がり見回してみると、まるで見たことの無い風景が広がっていた。

 

小さな村ていどの広さの中に、小さな家がいくつか並んでいる。

 

畑が点在し、煙が上っている事から、誰かが住んでいるのだろう。

 

村の周りは首が痛くなるほど見上げる高さの塀に囲まれ、その塀にはびっしりと蔦などの植物が根を張り、青々とした葉を茂らせ揺れている。

 

塀のそこここに実が生り、収穫を待っているようだ。

 

その葉を掴み、引いてみる。

 

しっかりと根を張っているらしく、剥がれ落ちる気配は無い。

 

これなら登れるかもしれない。

 

しかし――

 

「ひい!!」

 

悲鳴を上げて仰け反る。

 

掴んだ蔦を中心に、無数の虫が顔を覗かせたのだ。

 

それは見たことのある虫だ。

そして、見たくなかった虫だった。

 

ゴキブリである。

 

蔦の隙間。

葉の間から、大量のゴキブリが顔を覗かせ、触覚を揺らしながら自分を見つめている。

 

その光景に、後退る。

 

硬直して未だに蔦を掴んでいた手を離し塀から離れると、ゴキブリ達は号令でもかけられたかのように一斉に葉陰の中に引っ込んだ。

 

「なに、これ」

 

呆然と呟いた。

 

「あら、新しい人ね」

 

ふいに背後から声がかけられた。

 

振り返ると人間の女だった。

まだ若く、十代後半だろうか。

服装も村や町で見かけるような物で、これといった特徴は無い。

自分のような半森妖精(ハーフエルフ)ではない。

 

そして違和感を覚えた。

 

耳に触れる。

 

そして一気に記憶が押し寄せてきた。

 

ここに来る前、自分は盗賊に襲われ、耳を切り落とせば奴隷として扱える、といういい加減な発言によって、長かった耳を半ばで切り落とされ、傷口を焼かれたのだ。

 

その耳が治っている。

 

「どうして」

 

あれは夢だったとでもいうのか。

 

それとも、今の自分の状態が夢なのか。

 

「大丈夫?」

 

気遣わしげに女が尋ねてくる。

 

「わからない」

 

本当にわからない。

 

どうして自分はここにいるのか。

他の仲間はどうなったのか。

どうして自分の耳や他の怪我なども治っているのか。

 

 

現在マーレは、エ・ランテルの近くにアインズの命令で地下墳墓を作っている。

 

それと同時に少し離れた場所に穴を掘り、さらにその周りを塀で囲って、その中で生き物を飼うことにしたのだ。

 

これはなにより、アインズの言葉が大きい。

 

「きちんと食事をとること」

「きちんと休みをとること」

 

 

そして――

 

 

「休日の楽しみを見つけること」

 

この言葉により、第九階層のレジャー施設などを利用する者もいる。

 

デミウルゴスなどは、出先でアインズに使ってもらえそうな椅子などの家具を、現地で調達した材料で作っているらしい。

 

マーレも最古図書館を利用して本を借りて読んでいる。

 

外に出ている今も、休み時間にちょっとやってみたいことをやってみることにしたのだ。

 

 

村というほどの規模もないこの集落には、女だけが住んでいた。

数は六人。

新しく増えた女(ハーフエルフ)を入れれば、七人となる。

 

年の頃は、下は十代半ばから上は三十ほどと幅広い。

 

森で行き倒れた、薬草摘みの女。

盗賊に捕らえられていたという女。

村が飢え、口減らしとして枯れ井戸に放り込まれたという女。

 

彼女達に共通するのは、「王国民である」事と「いつの間にかここに居た」という事である。

 

 

 

女達は半森妖精(ハーフエルフ)に自己紹介を終えると、いそいそと集落の中心の空き地に積み上げられた物を吟味し始める。

 

「ねえ見て。これ仕立て直せば、まだ着られるんじゃない?」

「新しいのがきたことだし、前の家具はばらして薪にしましょう」

 

 

「よいしょ」

 

討伐された盗賊の塒。

あるいは廃村。

森の中での行き倒れ。

 

そういった場所に廃棄されていた装備や家財、衣類や日用品をマーレは無造作にイベントリーへ放り込んでいった。

 

近隣の巡回の者に頼んで運んでおいてもらった物だ。

 

一応、壊れている物を集めてもらっている。

修復(リペア)で直してしまえばいいからだ。

 

虫籠に必要と思われる物から、どうでもよさそうな物まで、片っ端から集めていく。

マーレには要不要の区別が付かないからだ。

 

マーレに必要な物はいつも用意され、いつでも使えるようにされていたし、ナザリックに無い物など無いに等しかったからだ。

 

だから人間の持ち物を集めて「虫籠」に入れておくのだ。

 

休みの日の早朝に植物を操って、虫籠として使っている穴の真ん中へ降ろしておく。

 

そうすれば、中の人間が勝手に使い始めるのだ。

 

植物の成長を促す魔法もかけて、中の生き物(人間)が飢えないほどの実りを保つ。

そして治癒魔法を穴全体にかけておく。

ちょっとした事で、生き物は簡単に死んでしまうからだ。

定期的な世話が必要だということは、ドライアードやトレントで学んだことだ。

 

 

「おい、誰かいるのか?!」

 

野太い男の声が塀の向こう側から聞こえた。

 

「ええ、いるわ」

「中にいるわ。出られないの」

 

次々に女達が、外にいるであろう男に声をかける。

 

「貴方は一人なの?」

 

「そうだ。道に迷ってここに来た。おまえ達は?」

「……出られないの」

「……入ってこれるかしら」

「わかった。ちょっと待て」

 

男の声が遠ざかる。

 

中に入る為に、ロープでも用意しているのかもしれない。

 

「これで私たち、ここから出ることが出来るのね」

 

安堵の声をもらす。

 

「いいえ、無理よ」

「え?」

 

ばさりとロープが投げ込まれた。

 

男は内心ほくそ笑んでいた。

 

森で迷ってしまい厄介な事になったと思ったが、なかなかめぐり合わせが良いようだ。

下にいるのは女ばかり。

助け出せばなにかしらの「お返し」を期待できるはずだ。

 

男は自分にとって都合のいい考えをめぐらせていた。

 

女達は塀からというより、垂れ下がったロープから離れていく。

 

そして男が塀の上から降り始め、塀の中ほどに来た。

 

ぶつり

 

あっさりした音が響き、男が悲鳴と共に落下してくる。

 

ぐしゃり

 

いびつな音がする。

 

生きてはいるだろう。

呻き声がするのだから。

しかし、あの高さから落ちたのでは、かなりの大怪我を負っているはずだ。

 

さらに――

 

「ぎゃあああああああああああ!!!!」

 

蔦の間から、無数のゴキブリが這いだし、男に群がっていく。

 

のたうち回る男はしばらくすると、動かなくなった。

 

思ったほどの出血は無い。

 

ほとんどの体液は、ゴキブリの腹に収まったのだろう。

 

そのまま、男の体の体積が減っていく。

 

それを半森妖精(ハーフエルフ)の女は、目を背けることも出来ずに見ていた。

 

見てしまった。

 

胃から凄まじい勢いで逆流してくる物がある。

 

彼女はそれを押さえきれずに、その場に這いつくばって吐き出した。

 

「げええ、げえ、げほ、げ……」

 

えづく声が止まらない。

吐き出す物が無くなっても、痙攣する胃に力が入らず、立ち上がることも出来ない。

 

他の女達は、男が落ちてくる前から後ろを向き、耳を押さえて一切振り向こうとはしなかった。

 

それを見て、彼女は確信した。

 

「知っていたの」

 

「ええ」

 

躊躇うことなく肯定の返事が返る。

 

「ここから出る事は出来ないわ」

「男が入る事も出来ない。入ってきたら、今みたいに虫に喰い殺される」

「女だったら、殺されないんだけど」

「どうして……」

「わからないわ。私も気付いたらここにいたの」

「私もよ」

「私も」

「私はここに逃げ込んだの」

 

「ここは……なんなの?」

 

「わからないわ」

「ただ、女が集められているって事だけ」

「男は入れば、今みたいに殺されてしまうの」

 

「それがわかっていて、中に入るように言ったの?!」

 

「そうよ」

「だって」

「あの虫たちも、お腹が一杯なら私たちを食べたりしないでしょ?」

「あの虫たちが、男を襲って食べてしまう事はわかっているわ。でも女を『絶対に食べない』という保証はないでしょ?」

 

「そんな……」

 

「こんな所だけれど、住めば都よ。必要な物はいつの間にか置かれているし」

「病気や怪我も、いつの間にか治っているのよね」

 

「そんなの、家畜なんじゃ……」

 

「村での暮らしとそんなに変わらないわ。むしろ、人にもモンスターにも襲われる危険が無いだけ安心よ」

「男の人に暴力を振るわれる事も無いしね」

 

「そんなのいつまで続くかもわからないのに……」

 

「ここにいればいいだけよ」

「私はここに来て、続きが出来たわ。私ね、病気だったの。神官にも治せなくて、それ以上の治癒魔法も受けられなくて。他の人に移るからって、村を追い出されたの。だからここに来られなかったら、私は今生きていないわ」

 

 

もうだめだ。

 

女はそう思った。

 

なんとかしなければ、今年の冬は越えられない。

あらゆるものが不足しているのだ。

 

食料しかり、人手しかり。

なによりも希望がない。

将来への展望がまるでない状況に、明日を迎えられるのかさえ不安だ。

 

だから活路を求めて、森にわけいった。

どんなに危険でも、食料になりそうな植物や、売れそうな薬草が手に入ればと。

 

結果は無惨なものだ。

 

しかし、このまま帰れば、こんどこそ自分は口減らしと即金の為に、売られてしまうだろう。

 

そんなのは嫌だ。

 

そんな生を甘受したくはなかった。

だからといって、このまま森で野垂れ死ぬのもいやだ。

でもこんな所で死ぬなら、売られた方が両親はともかく、まだ成人していない弟は助かるのかもしれない、とも考える。

 

どちらにしても、もう動けない状態だ。

 

朝に食べた半分の堅いパンと、水と大して変わらない具も味も乏しいスープを食べたきりなのだから。

 

ああ、死ぬんだな。

死にたくないな。

でも、あんな生き方もしたくない。

 

自分で選べる未来は、どれもこれも(生も死も)嫌なことしかない。

 

そして意識を失った。

 

もう目覚めないと思っていた。

 

 

誰にも言えない。

 

そう思った。

 

盗賊に襲われ、旅の連れはみんな殺された。

女の自分が生かされたのは、ただの性欲処理のためでしかない。

 

ずっと閉じこめられて、毎日が地獄で、生きるのが辛くて、でも死ぬのは怖くて。

 

ここにいつのまにか居て、誰も自分の事を知らない。

 

ここなら生きていけると思った。

 

どんな生活も、あそこに比べればましだと思えたから。

 

 

夜中に人が入って来た。

 

入れたのは母だ。

 

ろくな労働力にならない自分(女)を捨てる為に。

 

枯れて使わなくなった井戸。

 

いつもは蓋がされていたそこに放り込まれた。

 

運良く足から着地したおかげで、両足の骨が折れたが、命は助かった。

 

助からない方がよかった。

 

頭から落ちていれば、頭が潰れるなり首の骨を折るなりして、死ねただろう。

 

そうすればーー

 

そうすれば、井戸の中にある大量の知り合いの死体を見る事もなかった。

 

村はずれに住んでいたおじいさん。

病気になって、町に治療に行くといっていた向かいの男の子。

夫を亡くして寝込んでいた、別の村から引っ越してきた奥さん。

小さな、どう見ても生まれたばかりの赤ん坊。

戦争から帰ってきたけれど、ずっとぶつぶつ呟いてばかりで家から出てこなくなった村長の息子。

 

働けない者、役に立たない者、それらの死体。

 

そこ(枯れ井戸)は廃棄場(姥捨て山)だった。

 

 

人間がやはり多く集まるようだ。

人間主体の国が近いせいもあるだろうが、廃棄されやすい種族でもあるのだろう。

 

集団から追い出されたり、追い回されているのは、たいてい人間の女だ。

 

森妖精(エルフ)そのものはいなかったし、闇妖精(ダークエルフ)にいたっては、一人も見つけられなかった。

 

問題にならないように廃棄物扱いの人間を選んで集めているせいか、やはり見栄えも質も良くないようだ。

 

 

「いずれマーレにも、良い相手を選んでやらなくてはな」

 

機嫌良くそう語るアインズに、マーレは問いかける。

 

「あの、ぼ、ぼくの(繁殖)相手は、アインズ様が選んでくださるのですか?」

「うん? そうだな。マーレが自分で(結婚)相手を見つけたいのなら、その相手で構わないぞ。これはマーレが自分で見つけられなかった時の話だからな。焦る事はないのだぞ」

「は、はい!」

 

最終的な判断(相手選び)は、アインズが決めてくれる。

これに勝る安心はない。

 

つまり――

 

「そっか。あれ、もういらないんだ」

 

 

パターン①

 

「すみません、恐怖公。これの処分をお願いしてもいいですか。」

 

 

パターン②

 

「使わない事になったので、餓食狐蟲王の巣に使ってください」

 

 

パターン③

 

「勝手に飼っていたって知られたら、怒られちゃうかな」

 

 

「ここは」

 

女達は唖然とした。

 

自分達は高い塀に囲まれた村の中にいたはずだ。

それが着の身着のままの格好で地面に倒れ付していたのだ。

 

「どういうこと?」

 

「ひいい!!」

 

突然響いた悲鳴の先を見ると、そこには――

 

「きゃあああああああ!!」

 

 

森は人間の領域ではない。

 

 

パターン④

 

ずんっ

 

凄まじい地響きが、その地に響いた。

 

「え?」

 

その小さな集落を取り巻く高い塀は、きれいに内側へ畳み込まれるように倒壊した。

 

土埃がおさまった跡には、きれいに均された地面だけが残った。

 

「責任をもって、きちんと処分することが大事。うん、これでよし」

 

パターン⑤

 

「ど、どうかな、お姉ちゃん。あの人間が子供を産める魔獣って、いないかな」

「あんたねえ、あんな弱っちいのの相手なんて、あたしの魔獣が可哀想でしょ」

「・・・・・・やっぱり」

 

人間に近い、例えば猿のような魔獣に使ってもらえないかと思ったのだが、やはり駄目だったようだ。

 

「せめて男なら、ハムスケの相手の試しに使えたのに」

「そ、そうだよね。やっぱり・・・・・・いらないよね」

 

自分から見ても、拾った物(ごみ)だ。

姉の魔獣達にそんな苦行を強いるのは、至高の御方に仕える仲間として考えが足りなかったかもしれないと反省する。

 

「……しょーがないなあ、ユリに聞いてみてあげるから、しばらくそのまま飼ってなさい」

「う、うん、わかった」

「でも、どうしても駄目だったら、きちんと処分するのよ?」

「う、うん」

「特にちゃんと全部無駄なく使いきること。それが捕まえた者の最低限の責任なんだからね」

「うん。デミウルゴスさんにも使い方を相談するつもりだから、大丈夫だよ」

「デミウルゴスに。なら大丈夫だね」

 

 




イベントリー
特典小説「王の使者」
プレイヤーには及ばないが、NPCも武具一式どころでない容量のイベントリーを持っている。
(更に課金プレイヤーは、課金していないプレイヤーより容量が大きい)

10巻にて
エ・ランテルにはアウラもマーレも来るらしい。

アウラ「あたしがぶっ殺してこようか?」10巻
マーレ「マーレ辺りは危険」丸山くがねちゃん






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