2018年10月31日 09:22
すべての点で変わった「iPad Pro」
まずは注目度も高いであろう、iPad Proから見ていこう。
今回のiPad Proは、アップルも言う通り、2015年に発表されて以来の大きなリニューアルといえる。まず、iPhoneと同じように顔認証機能である「Face ID」が導入されたため、2010年の初代iPad以来搭載されてきたホームボタンがなくなり、ベゼルが四辺とも細くなった。その関係で、10.5インチモデルは11インチにディスプレイが大型化したのにサイズが維持され、12.9インチモデルは同じディスプレイサイズでありながらボディが小型化した。厚みはともに5.9mmになった。コネクターはLightningからUSB-Cになり、ヘッドホンジャックはなくなっている。
やはり薄さのインパクトは大きいのか、持ってみると既存モデルよりも数字以上に軽く感じる。カラーはスペースグレイとシルバーの2機種。従来、ベゼルの色は、「スペースグレイは黒、シルバーなどはホワイト」と別れていたのだが、今回からどちらのモデルも黒に統一されている。おそらくは、Face IDを組み込む関係だろう。
長時間使うことはできなかったのでスペック的な部分は判断しづらいが、Face IDによるスムーズな起動は、iPhoneでもそうであったように快適だ。iPhoneと違うのは、iPad Proが縦向きであろうが横向きであろうが、Face IDがきちんと働くことだ。これは、横向きで使うことが多いiPadには必須の機能といえる。
そして、やはり大きな進化だと感じたのは、Apple Pencilが第2世代になり、大幅に改良されたことだ。本体の一辺にあるマグネットが内蔵された部分は充電コネクタを兼ねており、そこにApple Pencilを「くっつける」ことで、充電とペアリングが行われる。そのため、第2世代Apple Pencilは一辺だけが平らで、転がらないようになっている。充電コネクターはないので、キャップもない。
内部にはセンサーが組み込まれ、ペンをもった時の人差し指の「ダブルタップ」を認識する。iOSの側では、「メモ」アプリでの「ペンと消しゴムの切替」「前に使ったツールへ戻る」などに使えて、設定の切替によって選べる。この機能の使い方は、アプリデベロッパー側で自由に設定が可能で、ペイントアプリ「Procreate」の新iPad Pro対応版では、ダブルタップを「機能呼び出し」に使えるようになっていた。
Smart Keyboardは、背面のカバーを兼ねる「Smart Keyboard Folio」になった。専用の「Smart Connector」で本体と接続され、バッテリー充電やペアリングが不要なことは、旧iPad Pro用のSmart Keyboardと変わりない。短時間タイプした印象では、タッチも若干良い方に改善されたようだ。ハンズオンでテストできたのはUSキーボードだったが、日本向けにはJISキーボードも出荷される。
Smart Keyboardは傾きを変えられないのが欠点だったが、Smart Keyboard Folioは2段階だけだが、傾きの調整が可能になっている。
一方、コネクタの位置が変わったこと、背面をカバーするために本体のサイズに合わせて作られていることから、「10.5インチや9.7インチのiPad Proに、12.9インチ用のキーの大きなSmart Keyboardを合わせて使う」という裏技は使えなくなっている。
USB-Cになったことで、4Kディスプレイやカメラなどと直接接続が可能になった他、iPhoneの充電までできるようになっている。従来のLightingでは、データ転送速度や給電能力にも限界があり、「カメラをつないでデータをやりとりする」だけで、別途電源供給が必要になったりした。だが今回は、そういうことはない、という。どれだけの周辺機器がつながるかは、その場では確認できなかったので、レビューなどの機会に色々試してみたい、と思っている。
待望の「MacBook Air」と「Mac mini」がリニューアル
Macの方は、発表会では主に2つの製品がフィーチャーされた。
一つ目は「MacBook Air」。MacBookやMacBook Proはリニューアルされてきたが、MacBook「Air」としては久々の新モデルだ。
一番の特徴は「Retinaディスプレイになったこと」。これは待ち望んだ人も多いのではないだろうか。ディスプレイ変更に伴いベゼルも細くなり、結果的に、ボディも小柄になった。だが、少し丸みを帯びたクサビのような形状に変わりはなく、「ああ、MacBook Airだな」と誰もがすぐにわかる形状である。パフォーマンスなどをチェックしないとなんとも言えない部分があるが、MacBook Airの最新版を待ち望んでいた人には待望の製品であろう。
2番目の特徴は「カラーが増えた」こと。スペースグレイ・シルバー・ゴールドという、MacBookと同じ配色になっている。この点からも、新MacBook Airが「13.3インチでリニューアルしたMacBook」である、という印象も強く感じる。
そして、3つ目の特徴が「指紋認証機能であるTouch IDの搭載」。MacBook Proに続いての搭載だが、MacBook ProがOLEDのディスプレイ兼用UIである「Touch Bar」とのセットでの導入であったのに対し、MacBook Airは右上端の部分にTouch IDのみが搭載されている。
インターフェイスは、本体左側にThunderbolt 3が2つ。これは電源を兼ねている。そして、反対側にはヘッドホン端子が存在する。
もう一つの目玉、Mac miniも展示されていた。こちらは4年も更新されていなかったので、パワーは相当上がった。グラフィックや音楽など、「色々な機器との連携」で使うことがアピールされている印象が強かった。スペースグレイのボディもなかなか精悍だ。小さいデスクトップとしてのMacを待ち望んでいた人には、これも待望の製品といえるだろう。