北海道地震を受け、「苫小牧で地鳴りがしている」「大地震がくる」というデマが広がり、避難者が相次いだ。同市は「全く根拠がない」と注意を呼びかけている。
苫小牧市によると、広がっているのは「地鳴り・地響きがなっているので数時間後に大きい地震がくる」「地震計が異常数値を示しているので大きな地震がくる」という情報だ。
この情報は9月8日朝からSNS上で広がりを見せていたが、電話やLINE、直接のコミュニケーションを通じても伝わっていたとみられる。
「市の幹部」「自衛隊」「海上保安庁」「消防」など、いずれも震災において救助救援活動に当たっている組織が枕詞についていることが多かったという。
具体的な時間とともに、沿岸部ゆえか、「津波がくる」という情報も合わせて広がっていたようだ。
市では当初はデマを黙認していたが、夕方になって電話が相次ぐようになった。
市危機管理室の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に「発災当初にあった断水デマが落ち着いたなか、8日になって一気にこのデマが拡散しました」と話す。
市役所への電話は3時間で40件を超え、最終的に100件近くに。さらに、すでに人が減っていた避難所に、再び多くの人が集まったという。
「苫小牧市では停電もほぼ復旧し、避難者も5〜60人までに減っていたのですが、夜になって250人以上に膨れ上がった。これ以上は看過できないと判断し、カウンター情報を発信しました」
「特に若い世代の多い新興住宅街の避難所で人が増えていました。余震に警戒することは必要ですが、不安を煽る情報の広がりは防がないといけない」
市では、ホームページ上で9日午後9時から「全て根拠のないものですので、冷静な行動をお願いいたします」と呼びかけをはじめた。Facebook、防災メールでも同様の発信をしたという。
北海道地震では、発生当初から「本震が8日にくる」というデマが拡散していた。
「地鳴り」に関しては、「苫小牧はデマだったが、厚真町では聞こえる」などという情報も広がっているようだ。
そもそもピンポイントで地震の発生時刻を予知できる技術は、いまの日本には存在しない。「○○時に地震が起きる」という話は、いずれもデマだ。
ただ、気象庁は「1週間程度は最大震度6強の地震に注意」「地震発生後2〜3日ほどは、規模の大きな地震が発生することが多くある」として、厳重な注意を呼びかけている。
災害時はデマが広がりやすい。ただ、今回はこうした「善意」ともとれるデマの拡散が目立っている。
地震発生当初から「断水が起きる」というデマ情報はSNSで大きく拡散していた。そのため、札幌市水道局や帯広市、小樽市などが注意を呼びかけていた。
そのほかにも、「NTTの方からの情報」として「4時間で携帯が使えなくなる」といったもの、「自衛隊情報」として、「午後8時に大きな揺れが予想されている」というものも広がっていた。
多くは「拡散してください」などと呼びかけるものが多く、SNSだけではなく、実社会まで広がりを見せていたとみられる。
熊本地震では、「ライオンが逃げた」という愉快犯的なデマが広がり、逮捕者も出た。
そうしたものに限らず、善意であれ、根拠のない情報は被災者の不安を煽る。
その多くは「〜から聞いた」という伝聞であるということが、「デマ」を見分ける一つの手段にもなる。
災害時だからこそ、自治体やマスメディアなどの公式ソースを直接確認し、不用意に情報を拡散をしないことが大切だ。
Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.
Got a confidential tip? Submit it here.