僕が「師匠」と呼んでいるコピーライターと出会ったのは、人生で2社目に入社した制作会社。
弟子としてつかせてもらっていた5年間でさまざまなことを学ばせていただきましたが、41歳になった今も、この人がいなかったら、今の自分はない! と、心から思っています。そう思える人と20代で出会えたのは、本当に幸せなことです。
今日、今とてもお世話になっている「70seeds」の岡山さんとの打ち合わせがあり、人形町のオフィスから、岡山さんのオフィスがある門前仲町まで散歩がてら歩いていったのですが、その途中、隅田川沿いを歩いているとき、師匠に言われた“あるフレーズ”を思い出しました(よくふたりで、隅田川沿いを歩いていたのです…)。
「オーバースペックじゃないか? 自己満足じゃないか? って、自分に聞いてみな」
どんなときに、このフレーズを言われたのか?
僕はコピーライターをやっているとき、いわゆるラフ(=おおまかな下書き)と呼ばれるものを、「イラストレーター」というソフトできれいにつくっていたのです。そのほうが見栄えがいいし、「見やすいね!」「きれいだね!」と褒めてもらえたりするから。
でも師匠は、「そんなのは、手書きで十分。やりすぎ! 時間の無駄! オーバースペック!」と一刀両断。ちなみに、師匠がイラストレーターを使えなかったわけではなく、問題なく使えましたが、いつも“ササッと”手書きでラフを書いていました。
師匠が言いたかったのは、ラフは社内のメンバー(ディレクターやデザイナー)や、仕事をくれる広告代理店の担当者とイメージを共有するためのもの。「しっかりと考え方や意図が共有できれば、それでいい。“手書きで伝わるものを”、わざわざ必要以上にデザインをするのは、時間の無駄でしかない。オーバースペックだ」と。
本当にそのとおりなのです。
僕は必要以上にラフの精度を高めるという、やらなくていいことをやって、時間をロスしていたのです…。目的はきれいなラフをつくることではない。メンバーに考え方や意図を共有することなのです。それから僕は、仕事をしているとき、オーバースペックになっていないか? 自己満足になっていないか? を、自分自身に問いかけるようになりました。これだけで仕事の生産性はグッと上がるものです。
日々企画書や資料を作成している人は多いと思いますが、大切なのは、伝わること。もちろん、人の心を動かすためにデザインは不可欠ですが、オーバースペックになっていたり、自己満足の領域になってしまうと、逆に生産性は落ちるものです。改めて見直してみましょう。
では、最後にクイズです。
僕は師匠に、「イラストレーターでラフをつくられると、デザイナーも困るんだよ!」と、怒られたりもしました。さて、なぜデザイナーさんは困るのでしょうか? 身近にデザイナーがいる人は、ぜひ聞いてみてください。わからない方は、ツイッターのDM等で僕にお問い合わせください。
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