新MacBook AirのCPUはインテルCore m系の未発表モデル。GPU名「UHD 617」が鍵
処理速度的にはAir後継というより12インチと同クラス
本日アップルが発表した新MacBook Airですが、隠れた技術的注目点の一つが、搭載されるCPUの仕様です。公式発表では「第8世代Core iなれどデュアルコア」というヒントは出されていましたが、注文ページのグラフィックス(内蔵GPU)モデル名からは、いわゆる"Core m系"CPUである点が判別できるため。
つまり、処理速度的な位置づけとしては、「MacBook Airの後継というよりは、12インチMacBookの後継に近い」立ち位置となります。とくに事前のウワサ(4コア版のTDP 15W版CPU)と比べると、処理速度が遅めとなるため、ある意味で注意が必要です。
新Airに搭載されているCPUは、実はインテル側でも未発表となるモデル。ですが、現状でアップル側が公開している2つの条件――「第8世代Core i5/i7でCPU部が2コア」「内蔵GPUがインテルUHDグラフィックス617」――に合ったものを探すと、必然的にCore m系(または『Yプロセッサ』)と呼ばれるモデルが確定します。
これはつまり「TDP(消費電力と発熱の目安となる値。CPUの性能の大枠を決めます)が5Wで、性能面では一般的なモバイルノートPCが搭載するTDP 15W版CPUよりは不利となる」ことを意味します。
比較のために、他のMacBookシリーズに搭載されるCPUのTDPを見ると、従来のMacBook Airでは15W。15Wという枠で最高性能となると、MacBook Pro 13インチ(Touch Bar搭載)の4コア版CPUも該当します。
では、新Airの枠となるTDP 5Wでは? となると、MacBook(12インチ)が4.5W。この枠は第8世代になって4.5Wから5Wに上昇したため、つまり「TDPの観点から搭載CPUを分けると、新AirはMacBookと同じ枠に入る」ことになります。
とくにわかりやすいのが、冒頭でも紹介したGPUのモデル名。詳細は省きますが、現状では「TDP 15W版では620以上で、610番台はTDP 5W版」という不文律があります。そこでPCヘビーユーザーの間では「TDPがわかりにくいCPUだった場合、まずはGPUのモデル名を調べろ」というノウハウがあるのです。
ということで、これらの条件から新AirのCPUを絞り込むと、必然的にCore m系であることが確定する......という理由です。
Gallery: MacBook Air (2018)実機ギャラリー | 31 Photos
冒頭でも紹介したように、登場前のウワサでは(既存のAirがTDP 15W版CPUだったため)「新AirはMacBookよりかなりCPUが速い、ともすれば4コア版か」と目されていました。しかし蓋を開けてみれば、上述のようにTDPが同枠で、CPUコア数や動作クロックも比較的近くなるため、処理速度的にも相応に近いものと思われます。
結果的に「MacBookより大きくて若干重いけれど、その分速くて安い」という事前のウワサとはかなり味付けが異なるため、そうしたウワサを元に考えていた場合、注意が必要となります(もちろん、旧Airよりは相応に高速なはずですが)。
そして当然、TDPが低いという点は、大きなメリットもあります。それは発熱と消費電力が低いこと。新Airのバッテリー駆動時間の長さなどには、TDPの低さが大きく貢献しているのです。
さらに冷却に関しても、内部を紹介する公式動画では冷却用ファンが見当たらないことから、12インチMacBookと同じファンレスの可能性もあります(もしファンが搭載されていても、かなり静かなはすです)。
なお新AirのCPUモデル名ですが、種々のウワサを総合すると、『Core i5-8210Y』と呼ばれているモデルがほぼ確定と言って良いほどの確度で当てはまります。
新型Macがインテルの未発表CPUを搭載するのは今回が初めてではありませんが、これらのCPUがどのタイミングでインテルから発表されるか、という点も、隠れた注目ポイントとなりそうです。