どうも、切り分けちゃうぞおじさんです。
先日、こんな記事を読みました。
これ、ざっと読んだ感じ、なんか妙に話が散らかっているような気がしまして、問題を切り分けたいという衝動に駆られました。
そもそも、皆さん微妙に「想定している格ゲーのシーン」も違えば「初心者の定義」も「越えなくてはいけないハードルの高さ」もそれぞれ違ったものを想定しているように見えて、そこが割と大きなギャップになっているんじゃないかなーと思われます。それらの問題は、勿論無関係ではないにせよ、埼玉と茨城と栃木くらいには離れた問題なので、面倒がらずに別々に考えた方がいいのではないかと思いました。
恐らくこの問題は、少なくとも次のようなテーマ立てに切り分ける必要があります。
1.格ゲーにおいて、「遊ぶ為に最低限覚えなくてはいけないライン」とはどこなのか
2.では、「勝つ為に最低限覚えなくてはいけないライン」とはどこなのか、誰に勝てなくてはいけないのか
3.「勝てないとつまらない」のラインはどこなのか
4.格ゲーにおいて、初心者が楽しむ為のインフラは存在するのか、そのインフラはどんなものか
5.今現在、格ゲーは初心者が楽しめるようになっているか
順番にいきましょう。
1.格ゲーにおいて、「遊ぶ為に最低限覚えなくてはいけないライン」とはどこなのか
まずここです。「基礎を覚えては?」の「基礎」の部分で、いきなり皆さん想定しているところがすれ違いまくっているように思ったのです。
元発言の方は、この「最低限の基礎」について、「レバーで移動、後ろでガード、キャラはこんなのがいる」と発言されているので、恐らく次のようなものを想定されているように思いました。
・移動の方法
・上下ガードの入力方法
・(恐らく)攻撃の方法
・各キャラのコマンド技等
なるほど、これは確かに「基本的な操作方法」に類するものであって、これに対して「敷居が高い」とか「初心者お断り」とか言われてしまうとちょっと困ってしまいそうです。どんなゲームでも操作方法はありますし、最低限プレイする為に覚えなくてはいけないラインというものはあります。
勿論操作するボタンの数、操作方法の多寡などはあるでしょうが、特別それに関して、格ゲーが飛びぬけて難しいということはないでしょう。世の中、それより操作が難しいゲームはジャンル問わず山ほどあります。バトルコマンダーとか。
「遊ぶ為に越えなくてはならない最低限のライン」を「基本的な操作方法」と考えるなら、格ゲーに批判すべき点は特にない、とまでは私も考えます。
ただ、「勝てなくてつまらない」という話と結びつけてみると。上記、「操作方法」を覚えただけのラインだと、多分ちょっとまだ足りません。つまり、操作方法を覚えただけだと勝てない。棒立ちに近いCPUになら勝てるでしょうが、対人対戦で戦うのはかなり難しいでしょう。
ここで、次のテーマが出てきます。
2.では、「勝つ為に最低限覚えなくてはいけないライン」とはどこなのか、誰に勝てなくてはいけないのか
これも結構難しい話なんですけど。じゃあ「勝つ為」にはどこまでやらないといけないのか、って話ですよね。
これ、「どのレベルを見るか」って話によって、どこまでやらないといけないのかって全然変わってくるんです。これは格ゲーに限りませんが、「勝つ為のテクニック」というものは物凄く奥が深くって、つきつめていけばどこまでもつきつめることが出来ます。しかもそれは、タイトルによっても変わってきます。
・そのゲーム固有のシステムの学習(ダストアタックとか、超必とか)
・自キャラの強い行動、強い攻撃の学習
・そのゲームのシステムを利用した効率の良い攻撃テクニックの学習(コンボとか特殊攻撃とか)
・ゲーム上の駆け引きの考え方
・キャラごとの立ち回りの特徴、強い行動の学習
・キャラごとの立ち回りへの対策
・キャラごとの立ち回りの特徴、強い行動の学習
・キャラごとの立ち回りへの対策
・コマンド入力の精度上げ
・相手プレイヤーの癖、特徴、それに対する対策
・相手プレイヤーの癖、特徴、それに対する対策
上記はほんの一部分なんですが。勿論、初心者同士やCPU相手に勝ち負けをするなら、下の方までいく必要は全然ありません。せいぜい「自分が使ってるこのキャラは大体こうやってると強い」くらいまで覚えれば十分勝負することができるでしょうし、それを「難しい」と考えるかどうかはその人次第、タイトル次第でしょう。一般的に、易しいレベルのCPU相手に勝ち負けをするまでのラインは、そこまで高くないゲームが多いような気がします。
一方、例えばゲーセンでの対戦とか、ある程度「知らない人たち」と対戦することを考えるなら、もうちょっと駒を先に進める必要があります。今現在トップクラスで活躍しているような人たちは、それこそ上記の更にずっと先まで突き詰めているでしょう。
つまり、「楽しむ為に、誰に勝ちたいのか」「楽しめないというのは、誰に勝てないと楽しめないのか」ということを考える必要があるんです。
ここで次の問題が出てきます。
3.「勝てないとつまらない」のラインはどこなのか
これ、結構難しい話だと思うんですよね。その人によっても、その格ゲーによっても、環境によっても変わってきます。例えばの話、「簡単なCPUに勝てたとして、それで楽しいのか?」という話です。
大体において、今「全然勝てなくってつまらない」という言葉を聞く時は、それは「ある程度慣れたプレイヤー同士の対人戦」を指していることが多いように思います。ここにかなり重要な断絶があります。
つまり、タイトルによって変わってくるとはいえ、「中級者相手の対人戦」を割と多くの人がイメージしているようで、そこにたどり着くまでの道ってのは確かにかなり長いんですよ。「中級者」というなら、少なくともそのゲーム固有のシステムは大体利用しているでしょうし、基礎的なコンボは大体抑えているでしょう。そこにたどり着くまでの学習のハードルが高いかという話をすれば、「そりゃまあ全くの初心者さんにとっては高いのでは」という話になると思います。
ここで、テーマはインフラの話題になります。つまり、「中級者といきなりぶつかるようなインフラかどうか」という話ですね。いきなり「中級者相手の対人戦」を強いられるような環境であれば、そりゃ初心者には優しくないでしょう。一方、達成感を感じつつ、少しずつ中級者に近づいていけるようなインフラがあれば、堂々と「格ゲーは初心者お断りじゃない!」と言えるような気がします。
この話題に入っている人の発言を見ていると、皆さん結構「ひと昔前のゲーセン」をイメージされている方が多いように思うんですね。例えば
・初心者が練習していてもすぐ乱入される
・上級者が初心者狩りをする
・上級者が初心者狩りをする
というようなことをおっしゃっている方は、格ゲー全盛期からその後の時代、格ゲーが「対戦台」とワンセットだった時代を想定して語られているような気がするんです。恐らく、最近あまり格ゲーをプレイされていない方が多いのではないでしょうか?
その点については、次の議論をすることができます。
4.格ゲーにおいて、初心者が楽しむ為のインフラは存在するのか、そのインフラはどんなものか
つまり、「初心者が初心者同士戦えるインフラはあるか」「初心者が勝ち負け出来るインフラはあるか」という話ですよね。これ、タイトルによっても当然変わってくると思うんですが。
これについては、「ゲーセンの対戦台は、既に格ゲーのメインシーンとはいえない」ということは指摘しておいてもいいのではないかと思っていまして。今現在、既に多くの格ゲータイトルが「通信対戦、及びそのインフラ」を整備していまして、対人戦が一番盛り上がっているシーンは多分そちらです。
対戦相手を選べなかったゲーセンの対戦台であればともかく、マッチングシステムがある程度ちゃんと機能しているタイトルであれば、「初心者同士」が楽しむ環境というのは存立可能ですし、実際今現在、結構な数のタイトルがそれを機能させている、ないし機能させるように頑張っているように思えます。勿論、乱入なしのモードというのも遊べますし、練習も出来ますし、トレーニングモードも大体のタイトルが備えています。
とはいえ、勿論問題がない訳ではないのです。
5.今現在、格ゲーは初心者が楽しめるようになっているか
ここに至って、話は「現在の環境」の話になります。これは正直、議論が多岐に渡って、ここで結論が出せるような内容にはなりません。
・格ゲー個別のマッチングシステムはきちんと動作しているか?
・通信対戦に、「初心者」は存在するか?
・「初心者」が達成感を感じられるようなインフラは存在するか?あるいは機能しているか?
・通信対戦に、「初心者」は存在するか?
・「初心者」が達成感を感じられるようなインフラは存在するか?あるいは機能しているか?
・中級者、上級者以上ばかりがクローズアップされていないか?
これ、勿論タイトル次第なんですよ。ただ、今現在の格ゲーが「初心者も楽しめるようなシステム」になっているかというと、それは難しいケースも多いように思います。
つまり、「マッチングシステムで、ちゃんと初心者同士当たれるとは限らない」し、「そもそも初心者同士が当たる為には、初心者が通信環境に存在しないといけない」。例えば、マッチングに問題があって中級者や上級者と当てられてしまってボコボコに、みたいな話は今でも聞きますし、ランク騙りの上級者が初心者狩りをしている、みたいなケースもよく聞く話です。
また、「初心者にとっての達成感」というものも重要な話であるように思います。これも、タイトルごと色んな工夫をされていますが、やはり「ちょっとずつ上手くなることによって細かく達成感を味わえる」って重要な話だと思うんですよ。その一方で、中級者、上級者のシーンばかりがクローズアップされることによって、そのゲーム自体が初心者への敷居を高くしてしまう、という問題もあるかも知れません。
上記で、多くの人が「中級者相手の対人戦をイメージしている」というのも、ある意味「そのゲームのイメージ自体が中級者同士の対戦を核としている」ということに他なりませんよね。「初心者もたくさんいるよ!」というクローズアップって結構大事なんじゃないかと思うんです。
ただ、上記のような議論をざーーーっと下敷きにした上で、一つ確実に言えることとして、
「格ゲーは、10年前よりは遥かに初心者に優しいゲームになっている」
ということは言えるんじゃないかと思います。対戦台じゃなくても対人が十分遊べるようになった、ってことだけでも滅茶苦茶でかいと思いますよ。少なくとも、かつてあったような「対戦台での問答無用の初心者狩り」みたいなものは、今、殆ど起こらなくなっていると言っていいんじゃないでしょうか。
もっと前は「基板でもない限り、ゲーセンにいかないと遊べません」というのが格ゲーだったわけで。初心者が入りやすくなったかどうか、という話で言えば、「昔よりは遥かに入りやすくなっている」と言えると思うんですよ。
しんざきもまあ、格ゲープレイヤーの端くれではありまして、ギルティとかスト5とか、下手ですがちょこちょこやります。格ゲーってやっぱ非常に面白いので、今まで敬遠していた人たちも、出来ることなら楽しめるようになって欲しいなーと思う次第ではあるんです。
格ゲー業界がより一層盛り上がることを願って止みません。
今日書きたいことはそれくらいです。