年の初めに考えたい、心楽しく負担感のない庶民の寄付ライフ

(ペイレスイメージズ/アフロ)

数多くの社会問題を解決する動き、災害に立ち向かう動きを支えるためには、日本に寄付文化を根付かせることが必要です。

自分の暮らしもラクではないからこそ切実さが分かるけれども、だからこそ、寄付できる余裕がふんだんにあるわけではないのが庶民です。

一年の計は元旦にあり。

元旦に、2017年一年間の寄付を考えましょう。

寄付のお願い・要請には、「傾向と対策」がある

誰かが、あるいは何らかの活動や団体が寄付を必要とする状況は、ときおり天災や政治状況の激変などの形で突然降ってきますが、通常は例年、いつごろ何にどの程度の寄付が求められるか、概ね「読める」ものです。

毎年の年中行事や季節のめぐり方は、去年と今年で大きく変わるわけではありません。

ハロウィンのような新しい年中行事の定着はあり、「異常気象」がもはや当たり前となっている現在はあります。

しかし、春の次に冬は来ません。7月8月の盆踊りがハロウィンに取って代わられることもないでしょう。

そこから、自動的に見えてくる「傾向と対策」があります。

歌って踊れる、寄付の「傾向と対策」

1979年の古い歌で恐縮ですが、「日本全国酒飲み音頭」(歌詞タイムへのリンク)の替え歌を作ってみました。

寄付ができる 寄付ができる 寄付ができるぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

1月はどこかで大雪かも

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

2月は小6が制服を買うぞ

寄付ができる出来るぞ 寄付ができるぞ

3月は卒業進学新生活だぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

4月は教科書代とゴールデンウイーク前

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

5月はとりあえず何もないけど

寄付はできるできるぞ 寄付はできるぞ

6月は梅雨時で大雨あるかも

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

7月は学校の夏休みだぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

8月は引き続き夏休みだぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

9月は台風がやってくるかも

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

10月も台風がやってくるかも

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

11月はとりあえず何もないけど

寄付はできるできるぞ 寄付はできるぞ

12月は年末年始がやってくるぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

寄付ができる 寄付ができる 寄付ができるぞ

寄付ができるできるぞ 寄付ができるぞ

寄付の「傾向と対策」を、さらに細かく見てみる

前掲の替え歌の「傾向と対策」は、さらに、原因によって分類することができます。

年間の自然現象によるもの

1月はどこかで大雪かも

6月は梅雨時で大雨あるかも

9月は台風がやってくるかも

10月も台風がやってくるかも

地域によっては他にもありえますが、風土・気候による不可避のアクシデントが起こる可能性が高く、アクシデントを避ける手段を持たず被害からの立ち直りが困難を極めることになりやすい低所得層・貧困層の支援が必要になる点が共通しています。

オススメの寄付先は、ふだんから、その地域で直接支援を行っている団体です。最も必要としている人に、すぐ必要なお金やモノが渡る可能性が高いからです。また直接支援を行っている人を支えるためにも役立ちます。

出身地である・住んだことがある・特別な思い出があるなど、ふだんから関心を持っている地域に対し、どういう団体が何をやっているのかにも少しだけアンテナを向けて情報収集しておくと、ここぞという時に役に立つ寄付をピンポイントで行えます。

学校などの年間スケジュールによるもの

2月は小6が制服を買うぞ

3月は卒業進学新生活だぞ

4月は教科書代とゴールデンウイーク前

7月は学校の夏休みだぞ

8月は引き続き夏休みだぞ

新年度の直前、新年度の始まりは、子どもを持つ親にとって多大な出費が必要になる可能性の高い時期です。

ゴールデンウイークは、家族旅行に行くクラスメートを羨ましく眺めているしかない子どもたちのためにイベントやキャンプが企画されたりします。

また夏休みは、学校給食がないため、貧困状態にある子どもの欠食が深刻な問題となります。

替え歌には含めませんでしたが、クリスマスにも、「お祝いの食膳やプレゼントを子どもたちに贈りたい」というニーズがあります。

寄付は、活動の詳細を知っている支援団体・NPO・支援者個人・当事者団体に対して行うことが可能です。

ふだんの活動の様子を知らないとしても、お金は間違いなく何らかの役に立ちます。

ただ、「子どもと子育て世帯のために」という名目は、たいへん寄付を集めやすいため、貧困ビジネス的な団体に貴重な寄付を渡さないように注意が必要です。

そのためにはやはり、ふだんの活動の様子や「中の人」に対して、日常的に関心を向けて情報収集することが必要です。

ほんの少しだけの関心を週に一度・月に二度程度でも向ければ、それもない状態よりは確実な寄付が行えます。

気候と役所の都合によるもの

12月は年末年始がやってくるぞ

年末年始は、厳寒の中で路上生活を送っている人、ネットカフェなどから仕事と収入がないため路上に押し出されてしまう人、年末で住まいつきの職を失ってネットカフェなどに宿泊している人の問題が最も深刻です。

年末年始の休暇中は役所の窓口も閉まっているため、生活困窮についての相談も、生活保護の申請もできません。

支援団体は毎年、「年越し」「越年」といったタイトルで寄付を募っています。

ふだんの活動や過去の活動実績に信頼をおける団体に寄付すれば、最も厳しい状況にある人々のために役立てられます。

何もない月も

5月はとりあえず何もないけど

11月はとりあえず何もないけど

5月と11月は、「毎年必ずある」というタイプのイベントはありません。

この月には「寄付をしない」「その分は年末や年度末直前の寄付に回す」「寄付できる分をプールしておいて突然の震災などの際の寄付に充てる」など、さまざまな選択が可能です。

とりあえず、月500円でも予算化を

1ヶ月あたり500円の寄付予算を組んでおけば、1年で6000円になります。

6000円の寄付を一度に行えば、かなり大きな力になります。

あるいは「年に3回」と決めておき、その6000円を3000円・2000円・1000円と分割して寄付するのであっても、用途・目的によっては、充分に有効な寄付となります。

貧者の一灯は、どう頑張っても貧者の一灯にしかなりません。

「月に500円でもしんどい、出したくない、自分が使いたい」なら、50円でも100円でも200円でも充分です。

月々の金額が少ないなりに、受け取る側に役立ち、万が一にもかえって負担をかけることにならない寄付の方法は、必ず見つけられます。

そのためにも、まずは少額でも予算化を。

心楽しく、負担にならない寄付ライフを!

寄付のお願いを見てから寄付を考えると、どうしても「こっちだって余裕がないのに」と被害を受けているような感情が湧き上がったり、結果として寄付しないとしても「スルーしてごめんね」と罪悪感のような気持ちを抱いたりすることになりがちです。

でも、寄付のお願いの多くは、突然、降ってくるものではありません。かなり「読める」ものであり「傾向と対策」が存在するものです。

自分の生活、自分の気持に過剰な負担をかけることなく寄付して「ああ、ここに寄付してよかった」と思える幸せと、寄付された側の具体的なメリットと感謝は、かなりの場合、無理なく両立します。

寄付先は、自分の好みと判断で選んでよいのです。寄付を求める相手すべてに寄付することは、庶民にはできません。

そもそも、寄付だけで活動を継続させることは、多くの団体・個人にとって、至難の業です。

逆に言えば、寄付が届かなくても何とかなる活動でなければ継続は難しいのです。そのような活動を成り立たせる社会は、結局のところ、徴税と分配の見直し・強化によってしか実現できません。

一庶民にできるのは、自分が知ることの出来る範囲の寄付先を選び、出来る範囲の寄付を行い、「寄付してよかった」と感じ、あるいは「こんなとこ寄付しなきゃよかった」と幻滅し、自分の次のささやかな寄付につなぐことです。

寄付のお願いは、見ることが気持ちの負担になるようだったら、いっそ見なければよいのです。あなたが受ける気持ちの負担は、寄付という金品の形になるのでなければ、寄付を必要とする相手に何らかのメリットをもたらすことはありません。ならば最初から見ず、自分の精神的エネルギーの消耗を防ぎ、笑顔で過ごしたり、楽しくさまざまな社会活動をしたり生産活動をすることの方が、長期的に相手の役に立ちます。

心楽しく負担感なく無理なく、ささやかな寄付ライフ。

ぼちぼち長年続ければ、いつか社会の大きな力になります。