「ワインと外交」と日本ワイン








国際会議やサミットなどの饗宴の際に

振舞われる食事やワインが外交的に

意味を持つことは、あまり知られて

いないかもしれませんけど…



最近の日本での饗宴では日本ワインが

使われるようになってきています。



ってことで饗宴と日本ワインについて

考えてみたいと思います!?





「饗宴外交」ってコトバ???

なんとなーく意味の

想像はつくものの、

聞きなれない言葉ですよね?



とある本によると

「ワインと外交」…2007年発行引用

国際政治における饗宴は、

単なる食事ではなく、

政治的シグナルや

メッセージが込められている

外交の道具になり得ます。



これを表す言葉が饗宴外交と

いうことだと思いますが、

辞書に載っていませんでした

この本の造語なんだと思います。



饗宴と言われると、

そういったものに縁がない私には、

一流シェフによる料理と

高級ワインが振舞われる華やかな

パーティーという、

恥ずかしいほどベタなイメージしか

湧いてきませんけど…

皆さんは?どんなイメージ?



しかし実際の饗宴は、

それだけではありません。



会場の格式、招待客の数、

提供される料理の品数や食材、

ワインの銘柄やルーツなどを

注意深く観察すると、

ホスト国がゲスト国を

どのように見ているのかが

見えてくるのです。



ワインで言うと、

ゲストに対するおもてなし度が

高い饗宴では、

次のようなワインが選ばれるようです。



高級なワイン(銘柄、ヴィンテージ)
ゲスト国にゆかりのあるワイン
食事との相性が良いワイン
まあそうだろうという感じですかね?



例えば、移民の多いアメリカの

ホワイトハウスの饗宴では、

ゲスト国からの移民が米国内で

造ったワインを振る舞うことが

流儀となっているそうです。



小泉元首相が退任前最後に訪米した際、

当時のブッシュ大統領夫妻は、

ナパヴァレーの日本人女性が

嫁いだワイナリーのワインで

元首相をもてなしました。



細かなリサーチと配慮でゲストへの

敬意を表していることが窺えます。



これは良い例ですが、

敢えて格の低いワインを

選ぶような場合もあるわけです。





「ワインと外交」本の中では、

日本ワインは一切登場しません。

ただし、前書きでは

次のように述べていいました。



日本でも近い将来、

今はフランスワインが

出されている饗宴で、

日本のワインが出されるように

なると予測しており

これがこの後に、現実となりました。



第二次、安倍政権以降、

官邸による外国の賓客に

対する食事会は

「和食に日本ワイン」と

決まっているそうです。



こんな感じで…

和食の世界遺産登録やTPP交渉に伴い、

日本の農産物の輸出を促進するための

PRが狙いです。



それ以前からも、ワインに詳しい

外交官などの声によって、

外務省では在外公館における

食事会で日本ワインを

使うようになっていました。





伊勢志摩サミットは

オール日本ワイン!!



過去に日本が開催地となった

主要国首脳会談(サミット)でも、

日本ワインが振舞われています。



初登場したのは、

2000年の九州・沖縄サミット





栃木県のココ・ファーム・ワイナリーの

スパークリングワイン「NOVO」が使われ、

話題になりました。





続く2008年の洞爺湖サミットでは

より多くの日本ワインが使われ、

直近2016年の伊勢志摩サミットでは、

食事会で提供されたすべての

ワインが日本産となりました。





外交の道具としての役割はさておき、

日本ワインが饗宴で使われることの

意義には、国内向けと海外向け、

2つの側面があると考えます。




1.国内での販促になる





誰もが知る外国の首脳をもてなした

ワインとなれば、良い宣伝になります。



例えば、酒屋さんで買うワインを

迷っているとき、陳列棚のPOPに





「伊勢志摩サミットで振る舞われたワイン!」

とか?


「〇〇大統領も飲んだワイン!!」などと

書かれている日本ワインがあったら、

ちょっと興味がわきませんか?



生産者やぶどうの品種のことが

よくわからなくても、

「そんな重要な場に選ばれたのには、

それなりの理由がある」と

人は想像します。

予算内であれば購入に至るでしょう?



行動経済学では、このように

直感的な意思決定のプロセスを

ヒューリスティック(heuristic)といい、

マーケティング戦略にも応用されています。




2.海外へのPRになる


海外では、そもそも日本で

ワインが生産されていることが

あまり知られていません。



政府が饗宴で日本ワインを使う背景には、

日本の農産物の輸出促進のための

PRという狙いもあります。



G7の参加国といえば、

フランスやイタリアをはじめとして

世界有数のワイン産地を抱える面々です。



それらの国に和食と日本ワインの

マリアージュを紹介することは、

大きな意味を持ちます。



といっても、自国の首相がサミットで

どんなワインを飲んだのかなど

一般の人はほとんど気にしませんし、

マスコミがいちいち報道するとも思えません。



海外へのPRという意味では、

効果は限定的ではないかと思います。






今回は、『ワインと外交』という

本を紹介しつつ、日本ワインが饗宴に

使われることの意義を考えてみました。



海外へのPR効果は

限定的とは書きましたが、

日本ワインが饗宴で

使われるようになってから

まだほんの十数年です。





今後外交の道具として和食と

共にどんどん活用されて、

海外での認知度向上にも

貢献していくことを期待しつつ


今後は積極的にLAMPでも

「和・洋」へだたりなく

料理をご提供し、それに合う

ワインをセレクトさせて頂きます。

簡単に言ってしまえばウチの店は

敷居の低い、気軽なワイン居酒屋って

ところでしょうかね?👍(笑)