労働者派遣事業の許可基準の改正案にパブコメを送ってみた(本日2015年9月17日締切)

収入とやりがいと喜びと誇りの伴う労働を、すべての人に。(写真:アフロ)

2015年9月15日開示、本日9月17日締切、9月30日という慌ただしいスケジュール(わざと?)となっている

労働者派遣事業の許可基準の改正案に関する意見募集要領について

に対し、さきほど、パブコメを送付しました。

全文を公開いたしますので、本法案が気になっている皆様、当事者の皆様、ご参照のうえ、どうぞお一人でも多く、ご自分の声をお届けください。

コピペは歓迎いたしますが、できれば出典URLをお書きください。

URLを引用しての「同意見です」+一言、も歓迎いたします。

送付先メールアドレスは

haken-ukeoi@mhlw.go.jp

( 厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課 派遣・請負雇用管理係)

です。

厚生労働省に送付した私のパブコメ

タイトル:

労働者派遣事業の許可基準の改正案に関する意見(みわよしこ)

本文:

厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

派遣・請負雇用管理係御中

はじめまして。

当方、「みわよしこ」名義でライターとして活動しております。

現在は著述業のみで生計を立てることができておりますが、過去、長年にわたり、半導体業界やICT業界で研究者・技術者として就労しておりました。

偽装請負や多重派遣、非正規雇用の立場に起因する多様なハラスメントに辛酸を舐めた経験もございます。

この経験より、このたびの改正案に対し、意見を申し上げたくメールさしあげます次第です。

1. 違法派遣は多くのトラブルや問題の源なので、違法とされてきた経緯があります。合法化すべきではありません。

2. 安倍首相は「正社員化促進が進む」と再三主張されていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか? もしも本当にそのご意思があるのでしがら、まず正社員化促進のために確実に機能する枠組みを作ってから、なおかつ必要であれば、その後に派遣法改正のご検討をされるべきです。

3. .正社員を減らして派遣社員を増やすことによって日本の人件費を低めるのが、昨今の一連の労働法関連法案改正の目的なのではないでしょうか? そうであれば、額に汗して真面目に就労しても、安定した暮らしを営むに至れず、結婚できず、子どもを産み育てることができず、結果として将来の日本の国力を低下させるのではないでしょうか? 今回の改正にあたっては、いくばくかの配慮をどのように講じようとも、派遣で一生働き続けるしかない人が増えるのは目に見えています。そうすれば、今後5年-10年で年金その他の財源の担い手も減ります。稼働年齢層の生活保護への需要も増えます。「それが良い」とお考えなのでしょうか? 困窮する人々への社会保障を削減し続けるのであれば、社会不安にもつながります。

4. 派遣労働者の「キャリアアップ」は、「ふつうの人」「『ふつう』より条件の悪い人」にとっては不可能に近いものです。派遣労働者の多数を締めるのは、生まれ・育ち・学歴などに恵まれた人々ではありません。ICT系を中心に、高収入派遣労働者も若干はいます。しかし「正社員より稼げるから」という理由で非正規雇用を選べるのは、才能と環境などに恵まれた極めて少数の方々です。「ふつうの人」「『ふつう』より条件の悪い人」が大きな困難なく、一生をつつがなく生き、暮らし、働けるようにすることこそ国の責務です。

5. 派遣労働は「働き方の選択肢を増やす」と喧伝されてきました。しかし、ほぼ男女雇用均等法第一世代にあたる私は、均等法と抱き合せに成立した派遣法(1986年)と対象業務の原則自由化(1999年)で起こったことを身近に熟知しています。働き方の選択肢が増加するのは、バブルによる極度の人手不足など特殊事情下のみでのことであり、それ以外のほとんどの時期において、増えたのは雇用する側にとっての「働かせ方の選択肢」「労働ダンピングの自由」のみでした。

以上が、改正案そのものに関する当方の意見です。

なお、1963年生まれの私自身は、「正社員」としての長期雇用モデル自体が、1980年代には実質的に破綻していたと考えております。

概ね20歳から、今後の高齢者福祉を考えれば概ね70歳までの約半世紀にわたって、一人の人間に充分に成果を挙げられる仕事を用意し、仕事をしていただき稼ぎを分配しつづけることは、どのような業界のどのような企業にとっても、既に不可能に近い困難事なのではないかと考えております。「会社の寿命は30年」と言われはじめたのは、1980年代後半のことでした。現在はさらに短くなっているのではないでしょうか。

公務員、あるいは医師・医療系の職種に就いても、安心できるわけではありません。私の友人知人には、公務員・医師・医療従事者が数多くおりますが、その多くが今後に戦々恐々としております。職を失わないまでも、労働条件の悪化は避けられず、過労によって健康を損ねたり過労死する可能性も低くありまません。

このような「恵まれている」と思われる職種の人々でさえ、「勉強を続け、腕を磨き、精進し続けたら生涯安泰だろう」とは思えないのが現在です。

「一人の人間を40-50年にわたって雇用し続ける」ということ自体に無理があるとすれば、業種職種と関係なく、誰もが不安になり、不幸になりやすくなるものではないでしょうか。

このところの一連の労働関連法改正は、現在のところ、派遣労働者など不安定就労の方々が主対象ではありますが、次は、追い詰められる派遣労働の方々を見ている正社員にも、不安が拡大するのではないでしょうか。

とはいえ、長期安定雇用そのものに困難が生じているという事実はあります。多くの人々に対して長期安定雇用を提供できない現状がある以上、「正社員化の促進」という非現実的な施策を取るのではなく、「正社員」という形態をなくすのが筋ではないかと私は考えております。

ただし、重要なのは範囲と内容です。

正社員という身分を現場のワーカーから経営陣まで、いっせいにすべて消滅させ、さらに経営陣には、責任に見合うだけの具体的な「責任」を負っていただきましょう。1990年代に漏れ聞いた話ですが、半導体テスタで世界をリードしていた米国のある企業では、部長クラスで報酬の20%、役員クラスで報酬の100%が自社株で支払われていたそうです。この企業は技術力も社員のモラルも極めて高く、高付加価値路線で成功していました。その後、私は半導体業界を離れたため、この企業の現状は存じません。しかしこの事例から、「『上』により重い具体的な責任を」という人事体系は、作ろうと思えば作ることができるものであり、効果も絶大なのであると学びました。

日本では、「社畜」という言葉がネガティブな意味合いで使用され、会社からはじき出されないために無意味な「忠誠心」を要請され発揮させられることが、長く常態化していました。「正社員」という身分をなくしてしまえば、このような、企業業績との関係の薄い努力で消耗することなく、生き生きとやりがいをもって仕事が出来るようになる方々が増える可能性もあります。企業活動のパフォーマンスも上がるでしょう。さらに、人件費は固定費でなくなるため、企業も利益を生みだしやすくなります。

そして高いパフォーマンスや利益を挙げられるようになった個人や企業から、パフォーマンスに見合うだけの徴税を行い、社会保障を充実させてはいかがでしょうか? 今、好調であっても、明日どうなるか分からないのは、個人も企業も同じです。もしも明日職を失い、あるいは企業が倒産することとなっても、社会保障が充実していれば、

「社会保障を利用して心配なく食いつなぎながら、次のキャリア展開のために、自ら主体的に学び、自らの能力を開花させる」

という試みが可能になります。そこに人材派遣企業や人材教育を行う企業を関与させる必要は、ありません。日本には既に、数多くの教育機関があり、個人コーチも一般的になりました。用途の制約を最低限にした教育バウチャーを配布すれば、それで済む話です。

もしも以上のことがらが実現されれば、景気の浮き沈みはつきものとはいえ、失業したとしても明るい表情の失業者、会社を倒産させることになったとしても明るく再起を目指す経営者が増えることでしょう。

かつて日本には、「包丁一本サラシに巻いて」店から店へと渡り歩く料理人といった労働スタイルが数多くの職種に見られました。このような働き方が、あらゆる職種に拡大すること自体は、悪ではないと思います。

しかし、その「自由」の恩恵は、普通の人々・条件の悪い人々にこそ、より多く及ぶべきです。

そのためにも、まず安心できる社会保障の枠組みを整備する必要があります。

ついで、「上」に行くほど責任を具体的に重く問われるという形態を法的に整備したうえで、「正社員」を撤廃。もちろん、ここで官公庁や役所を「聖域」にすべきではありません。

雇用形態の変革を行う施策には、本当はそれだけの準備と覚悟が必要なはずです。

時すでに遅すぎるのかもしれませんが、熟慮の上での準備と覚悟を、お願い申し上げたく存じます。

以上をご深考のうえ、重ねてのご熟慮とご再考をお願い申し上げます。

氏名 (本名)

住所 (実住所)

年齢 51

職業 個人事業主・著述業

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