2015年9月16日 SEALDs記者会見@日本外国特派員協会(FCCJ) メモ
(写真:アフロ)
限りある国家予算から国防・軍事支出が増えれば、社会保障費は圧迫されます。
万一戦争となれば、影響は兵站(後方支援)も含めて戦闘に参加していると考えられる人々にとどまらず、非戦闘員とされる人々にも貧困・疾病・障害を生み出します。
戦闘員となれない障害者等に対しては、さらに苛酷な扱いが行われます。過去の戦争において行われた障害者抹殺の事実は、ここ数年で広く知られるようになりました。第二次世界大戦中の日本では、精神障害者が病院内で餓死させられた事実もあります。
国防・軍備・あるいは戦争と社会保障は、表裏一体の問題です。
私が主に報道・研究している生活保護制度も、戦前の日本が長く続けてきた戦争によって生まれた面を持っています。
貧困・戦争に直接よるものを含む疾病や障害などに苦しむ人々を「救済せよ」というGHQ指令から生活保護法旧法(1946年)が生まれ、ついで新法(1950年)へと発展しました。
(蛇足ですが、憲法第25条第1項の「健康で文化的な最低限度の生活」は日本オリジナルで、マッカーサー草案にはありません)
この観点から、2015年9月16日に日本外国特派員境界(FCCJ)で開催されたSEALDS記者会見のメモを、急遽公開します。
国民あっての社会? 国民・社会あっての国? 国あっての国民であり社会保障? という議論は尽きませんけれども、まずは今日、どのような会見が行われ、多数の外国からの特派員たちがどのような関心を持ったのかを知っていただきたいと思います。
(後期:Togetterまとめ「【2015/9/16】SEALDs日本外国特派員協会での記者会見」を参考に、会場で再生された動画を追加しました(2015年9月17日)
会見概要
2015年9月16日 13:00-14:00予定(実際の終了は14:10ごろ)
参加者 150人程度 カンファレンスルーム(満席で80人くらい?)が満席。立ち見、椅子だけ用意してもらって座っている方も多数。
TVクルー 大型カメラを使用していたグループが20ほど
会見者 奥田愛基さん、本間信和さん、芝田万奈さん(SEALDsメンバー)

発表内容
芝田万奈さん
SEALDsについて。正式名称は「自由と民主主義のための学生緊急行動」。
関西と東京をベースに。沖縄、東海等にも。
たくさんの若い人、若い学生たちが参加。
(以上、英語で)

奥田愛基さん
今回の問題は、単純に安保法制だけの問題ではなく、憲法をないがしろに法律を作ること。
昨日の公聴会でも言ったが、法の支配ではなく、「法律の支配」と安倍首相が言っている。
安全保障上の問題もあるが、立憲主義の方がより大きな問題。
12の法案をまとめて審議しているので、それぞれの議論できない。
立憲主義の根幹、憲法の性質が理解できるなら、この安保法制には反対せざるを得ない。

各地で行動。全体で300人近い。
一応、これまでの活動、YouTubeにも上げている。動画を見てほしい。
(2015年6月-8月の活動の動画、夜間のデモ、学習会?(岸首相退陣について)、柴田さん? のスピーチ、憲法学者の発言、「30年後、100年戦争したかったと祝いたい」というスピーチ、デモ、女子学生の語りとスピーチ、デモ、男子学生のスピーチ、坂本龍一さんのスピーチ、昼間のデモ、「安倍やめろ」が風船で浮かんでいる8/30のデモ)
5/3から活動開始。最初はデモは数百人程度のこと多かった。今、10万人。
「デモがあるから集まっている」ということではなく、政権のおかしさ、法案のおかしさが、これだけたくさんの人の怒りに火をつけているんだと思う。
カウンターとして、安保法案に反対する理由を述べたい。
さきほどから言っているように、憲法上の問題。
後方支援にしても(いくつか挙げられたがメモ間に合わず)、現行の憲法に明らかに違反している。
最高裁元判事の方も、昨日の公聴会で発言。ある程度法学の訓練を受けた人の90%は、明らかにこれは違憲と考えると。
「国連憲章に書いてあるから日本の権利」という意見も。でも憲法学者の数%。
国連憲章に違反してなくても日本国憲法に違反。小学生にも分かる話。
条文上の問題。武力行使、第1要件は明文化。第2、第3は明文化されてない。
主語が「自衛官」。現場の自衛官が判断して武器も使用するということ。
けれども現実、自衛官が一人でイージス艦に立ち向かうわけはない。
そこだけ見ても、この法案、条文のレベルで欠陥あると言わざるを得ない。
法文を追っていくと、他にも問題が見えてくる。
それもこれも、憲法改正せずにこういう無理な法案を作っているから。
実際にはありえないシチュエーションが法案化されている。
また政策レベルにおいても、「軍事力をこれ以上上げない」と安倍首相はおっしゃっている。
しかし兵站にも乗り出すと、相対的に自国防衛は手薄になるだろう。
いろんな方が会見で話していることなので、これ以上詳しくは離さない。
明確に憲法違反。単純に、海外で武力行使できるようになるということよりも、問題が深い。
まさに、「ブレーキのない車」状態で、武力行使をしていいのかという危惧がある。
もう少し、SEALDsとして、日本で何が起こっているかを語りたい。
自分たち独自に、新聞・TV等をから、抗議活動の数を調べた。
この数ヶ月間、全国で2000件。130万人が参加。
先日の国会前、10万人以上。
今年5月以後、全国22ヶ所以上で、10~20代が中心の動き。8/22段階。
現在、この倍以上になっている。
もう一つの特徴は、彼らは自分たちで告知のフライヤーなどを作っている。
「若者はスマホをいじってばっかりで、外に目が向かず、ゲームばかり」と批判されている。
でもスマホやパソコンが普及したので、こういうデザインが簡単にできるように。
また、僕たちがデザインしたものをインターネットで公開したり、コンビニプリントで全国で印刷できるようにもなっている。
なので、今、全国各地で同じようなデザインのプラカードを使っている。
それがなぜ出来ているか。
社会活動のインフラは、ネットプリントなのではないかと、最近思っている。
(会場・ちょっと笑)
こういう人達は、若者の多数派ではないのかもしれない。
でも、若者が、路上に出ていって、見える形で声をあげはじめた。
おかしいなと思っている人達はたくさんいたと思うが、声を上げ始めた。
そのカルチャーが、少しずつ出てきているのかと。
今年の7月に作った動画("Tell me what democracy looks like” というコールと字幕で始まる。Youtubeから)。ちょっと見てほしい。
台湾や香港の学生たちくらい出来ているかどうか分からない。
でも出来ることを自分たちの出来る範囲でやっている。
革命を起こそうとか考えてない。
普通に大学に行って、毎日の状況の中で出来ることをする。
時間が来ているので、このくらいで締める。
今日の夜には委員会で採決され、明日本会議で採決される流れの中で、デモがまったく珍しいものでなくなった。
日本の社会と文化の中で、デモ、路上で声をあげる動き、政治と無関係ではなく、政治に影響を与える動きになった。
もう一つ。自分たちが呼びかけているから来てくれているのではなく、自分たちの関知しないところで、全国で動きが起こっている。主体的な動きが起こり始めていることが重要だと思う。
この法案の結末がどうなろうが、主体的に動き始めた人は、もう止まらないと思う。
ありがとうございました。
(会場、大拍手)

記者・特派員たちからの質疑
13:33開始
今後と他世代との協働について
Q(外国の方)
すばらしい決断を支持したい。
今後は? 上の世代との協働は?
A(奥田さん)
今後どう続いていくかということ。大学生の夏休みだけの活動ではないことを強調したい。
抗議に来ている方々、年齢さまざま。70代の方も。
私たちは(年代では)その1/6。
日本各地で、世代を超えて、地域を超えて、多くの人々が声をあげている。
このつながりは、そのまま選挙にも影響を与えると思う。
世代を超え、ある程度は支持政党や政治思想も超えて、ある一点に目標をかかげて、協働することは可能。
毎週、ほぼ、すべてとは言わないが、主要野党の政党から参加していただいている。
選挙に影響を与えることもできると思う。
現在では「賛成議員を落選させよう」が合言葉のようになっている。
この後も、今までと違う形の活動が続いていくと思う。
安保法案を「合憲」とする意見とその根拠に対しては?
Q(フリー・藤田裕行氏)
合憲の立場からすると、立憲主義に反してない。そういう見方もある。
議会制民主主義だから、議会で多数取ればいい。自民党だけではなく、5党が賛成している。このことは認めなくてはならない。
奥田さんにとって残念ながら、この法案通ると思う。
この後どうするのか。
A(奥田さん)
さきほど話したとおり、日本の憲法学者の90%以上が違憲だと言っている。
元最高裁判事も。
まともに法律読める方なら、これらの法案は違憲。そういう議論がされている。
昨日の公聴会でも、政府は言っていた。基本的な論理が変わっていないから合憲と。
でも基本的な論理が変わっていないなら、合憲ではない。
論理が変わっているというのが、正しい日本語ではないかと思う。
また世論調査を見れば明らかなように、日本国民の多く、この法案に納得してない。
平均して考えれば、2-3割が賛成、6-7割が反対。
また前回の選挙のとき、菅官房長官がおっしゃっていたように、集団的自衛権は論点になってない。
議会制民主主義は大事。でもそれを支えているのは法的根拠。憲法を大事にしてほしい。
また自民党の総得票数、全国比例でも20%弱。
なのでぜひ、自分も議会制民主主義が大事だと思うので、選挙には行って欲しいと思う。
この法案はそれでも、議会制民主主義の中で、通ってしまうだろう。
しかし、議会制民主主義の中で多数派だから何でもしていいのかどうかは、よく考えてほしい。
現政府の方々「国民は理解しているとはいえないが、通さなくてはならないから通す」。
それに対して言えることは
「本当にそれでいいのでしょうか? 絶対に、次の選挙に影響する。今日の強行採決はありえないと思う」
と声をあげる。
政治政党化の予定は?
Q(オーストラリアの新聞社)
政党を作る気はないのか。
菅直人のような人とは話をしないのか。
そういう運動とコネクトしないのか。
A(奥田さん? 本間さん?)
スペインの状況を見て羨ましいとは思う。
でも政治政党を作るつもりはない。
今その状況ではないし、日本では違う方法が政治に影響を与えうると思う。
選択肢としてはあると思うが、2011年以後、多数の政治政党が現れている。
それよりも社会の中で、政治に影響を与えるためにやるべきことがあると思う。
まずは、政治に関心を持つ人が、もっともっと増えるべきだと思う。
若者が右傾化していると言われている中で、何ができる?
Q(フランスTV局)
18歳選挙権。
若者の右傾化。18歳までの生徒たちは?
A(本間さん)
日本の18歳選挙権の影響。
日本の若者が右傾化しているという言説もある。
大学の友人たちから「デモに行くのは怖い」という意見も。
でも友人たち、この3ヶ月で変わってきた。世論を変えている実感。もっと政治に関わっていこうという意識の変化も。
デモ、高校生が制服で来ていたりも。右傾化といわれるほど若者、右傾化してない。言いづらいけど気にしている若者もいるのでは。
学校、高等教育段階、上から知識を注入されるのではなく、自分で考える、議論する。それを学校教育に取り入れることが大事なのではないかと個人的に思っている。

Q(フリー・「ひろぶちますひこ」? 氏)
映像を見てても、TVを見てても、反対している人達はエモーショナルランゲージばかり。(数秒聞き取れず。論理や理性がないという話もあったような)戦争と平和を語るために欠かせない人物。一人はエモーショナルランゲージを使った1920年代のリーダー。これはあなたたちにとって誰なのか。(みわ注:ヒトラーと言いたいのか?)
A(奥田さん)
すみません。何の話なんですか?
(まだ話したがる、ひろぶち氏、制止されマイクを取り上げられる)
中傷・批判・非難の声に、どう答える?
Q(不明・外国の方)
(写真撮ってて質問聞こえてなかった)
A(奥田さん)
さきほども意見の違う方からの質問。
ネット上では、「SEALDsは在日がやっている」とか、個人情報での攻撃。髪型、顔。関係ないところで言ってくる人達がたくさんいる。
そういうカルチャーにおびえて、
「こういう発言をすると不利益があるのでは」
と、政治参加、発言、日本ではしにくかったと思う。
そういうところで負けてきたところも、たくさんあると思う。
いったい、どちらの方が感情的な発言なのかと考えてしまうが、そういうものに負けないカルチャーを作らなくてはならないと思う。
ここ数ヶ月の「デモ」の背景は? 何が起こっているのか?
Q(NYCの月刊誌)
日本の大学生、議論、ディベートを好まない。政治や政治的issuesに。
でもこの安保でカルチャーが変わっている。
A(奥田さん)
「言っていい」と思えたのは、憲法など根幹が問題になっているからだと思う。
政治家、学者、われわれ一般市民、同じ土俵で議論ができる。
そういうことが起こっていると思う。
では大学内でどういう雰囲気か。
大学内で見つけられても、こういう活動をしている大学生とはわからないと思う(笑)
普通に遊んで、友達と話して、その中に政治のことも少し入っている。そういう感じかと思う。
海外の若年層の動きからの影響は?
(14時ちょうど)
Q(TBS)
奥田さん、香港や台湾の学生運動について言及された。
日本の学生、長い間、世界一従順で政治に無関心といわれていた。
アラブの春、ニューヨークでのOccupy Wall Street、台湾での動きにインスパイアされたということは?
A(奥田さん)
影響は受けたと思う。Occupy Wall Street のコールもデモで使っている。
それらの動き、インターネット、SNSでリアルタイムで見ていた。
台湾、香港、「デモクラシー」がイシューとしてあった。
互いに留学という形での交流も。
留学生と、アジアのデモクラシーどうあるべきかで話し合ったことも。
影響は受けていると思う。
今後の日本国民への影響は? アジアの学生の見方は?
司会
もう何点か。短く質問、短く答えを。
Q(シンガポールのプレス)
この法案が通ったら、あなたたちにどういう影響が?
中国・韓国の学生がこの法案どう見てるか、聞いたことあるか?
A(奥田さん)
法案。責任主体が自衛官。
自衛官が紛争地域に派遣されたときにリスクが高まるとは言える。
安保法案、政府の解釈によって憲法が変えられるという前例ができる。
今後、憲法が軽んじられる風潮が出来る。大きな問題だと思う。
これは具体的な状況を想定するのは難しいが、憲法軽視は、どのような国家にとっても危険だと思う。
A(本間さん)
対中国脅威論。中国の学生には「このまま戦争になるのか」と危機感を持っている人も。
また、日本国内のヘイトスピーチがあるなかで、他国の脅威を煽ること、生活レベルの危機も、と彼らは語っていた。
14時08分 閉会挨拶
(大拍手)
私から一言
私は日本国憲法9条を支持していますが、「国防はいらない」とは思っていません。
自衛隊は違憲ですが、国防の面から「必要悪」であることは認めざるを得ないと考えてきました。
ただ、国防よりも外交、国防のためにもより外交、と思います。今の国防予算の20%でも外交に回してくれれば、と考えています。
私は、戦争で死にたくありません。
でも私は、自分自身が戦場に行かないとしても、戦争に殺されるリスクが高い障害者です。
日本が戦場になればもちろんのこと。天災でも、障害者の死亡率は、概ね健常者の2倍程度以上になります(災害の内容による)。
戦争の準備あるいは戦争そのものに、国費が必要になったら?
私は、自分自身がいつまで生き、暮らし、職業を含む人生を発展させていけるのだろうかと、悲観的になってしまいます。
私は「人あっての社会、社会あっての国家」と思っています。
「国家や、国家の意を受けた社会や、国家の意を受けた社会の人々に、殺されるかも」
と怖れながら生きたくありません。
武力行使が行われる事態が発生する状況下で、健常者よりも先に殺される障害者として、私は自分が生きつづけるために、家族とともに平和に暮らしていくために、そのために必要な社会保障を得続けられることを願いつつ、このメモを急遽公開させていただきます。