今朝もさらりと、キンキン少女声で戦後の混乱について語られます。
本作の歴史認識がポンコツすぎる上に、そのナレーション内容も「傲慢」でありまして。
少女の声で
「闇市では悪い人もいたんです!」
って簡単に言うのはどうかと思います。
当時の日本人がどれほどの苦しみで日々の生活をしのぎ、時には悪に手を染めねばならなかったのか。そういう事情を一切無視してアナタ方は何様のつもりなのでしょう。
毎朝『仁義なき戦い』を見返したくなります。
生きるために、闇市で悪に染まってしまった特攻帰りの青年。その波乱の生き様が『仁義なき戦い』で描かれております。
単なるヤクザ映画じゃないんですよ。重厚で切実な背景に支えられているからこそ、あれだけヒットしたのです(amazonプライムでどうぞ)。
ついでに言いますと、この当時、悪事に手を染めてしまうことは必要悪でもありました。
戦中は、国民一丸となって「頑張れ!」と団結できましたが、戦中は
「鬼畜米英!」
と叫び憎んでいた相手の米兵が、街中をジープで走り回っておりました。
違法スレスレのことにでも手を出さねば、生きていけない人もいる。
そんな中、奮闘する人々もいました。
今朝、再放送していた『べっぴんさん』の潔の拘束からは、そういう切迫感が伝わって来ました。
この『べっぴんさん』は僅か2年前の作品です。
何度も言いますが、NHK大阪制作の朝ドラ、一体どうしちゃったんですか?
さて、本編へ。
美味しいものを食べたいから
克子の子供達が靴磨きをする場面。
戦後の闇市での子供靴磨きについては、各自書籍なりインターネットなり駆使して、写真を見つけてください。そして、私とこのナメくさった描写に腹を立てていただきたい。
当時の子供達が、どれほど必死で、なんとか生きようとしていたことか。
「すいとん以外の美味しいものを食べたいんですぅ」という腐れ動機で、孤児の仕事に割り込むコイツら、ゲスのカスとしか思えない。
せめて、一家の飢餓感を真面目に描かれていれば、まだマシでした。
でも、「また、すいとん〜?」とナメくさった態度していただけですよね。
克子はナゼか泣き出しますが、私は泣けませんね。
エエBGMと役者の顔アップにすれば、視聴者は感動するもんやろ、と言いたげなナメくさった演出に呆れ果ててしまうのです。パブロフの犬じゃあるまいし。
はい。そんでもって、今朝の【ブケムスメプログラム】はバグ入りつつも、正論です。
立花に働けというわけですね。
「着物を売るなんて筍生活よ」
なんですって。
この喩えに福子がバカ受けするのですが、この年代ならば知っているものでは?
脚本家さんだってそれぐらいのことを把握していないわけがない。やはり、謎の組織が脅しをかけている?
いいから働きなさいよ
この無職立花、不満タラタラの様子です。
福子が発明家なんだからぁ、と庇うわけですが。
あのですね、仕事って発明家以外にないと思っておりますか?
この、立花と同年代成人男子の多数が命を散らし、戦地から戻らず、人手が不足し、町中が瓦礫だらけの時代ですよ。
日雇い労働なんて、いくらでもあるだろうがぁ!
人々が苦難の中で必死で復興を目指しているというのに、
「発明家の俺様が、他の仕事なんかできんもんねー!」
なんて発想だとしたら、どんな神経されているんでしょうか。
だいたい、周囲では生きるために子供が働いている状況で、そんなことに罪悪感を抱かず、姑ウゼエという態度をこれみよがしにとるのはいただけません。
まあ、疎開先でも居候させてもらっている八重を手伝う気ゼロで、お散歩、山菜グルメ堪能、盗電川魚漁、しかも村人にたしなめられて逆ギレのおまけつきですからね。
同じことが現代モノの被災地で行われれば、今頃、萬平さんは袋叩きですよ。でも、時代モノなら現実感がないから大丈夫ってか?
なんでもサイトにも、
「時代モノですから、現代モノとは違って、おおらかな目で見ましょう」
といった趣旨の意見も届いたそうですが、本作の舞台は当時を知る人が今なおご生存であります。
全ての日本人の父母なり祖父母が含まれる時代です。
そんなリアルな時代をこんなバカげた描写にされて、おおらかな目で見ろって無理でしょうに。
まぁ、私は幕末ものだろうが戦国ものだろうが、当時の価値観を調べたうえでドラマを見ますけどね。
予知能力を備えた未来人の福子ちゃん
そんなゲス極の立花も、さすがに仕事を探すだろうなぁ……と思っていたら、忠彦の仕事場を見ています。
なんというか、
『こっそり売れる絵があればいいなぁ、ゲヘヘ』
という様子に見えてしまって辛かった……。私の邪推を指摘されるかもしれませんが、それまでの描写がカス過ぎると思うんですよね。
「頑張れば生きていいけます! 先のことを考えて」
そんなことをヘラヘラと言う未来人の福子ちゃん。
解決能力値ゼロのヒロインに、変な超能力じみた要素をもたせると、悲惨さがとどまるところを知りません。
しかも、発想が貧困だと未来予知能力をくっつけるもの。それならば、後世の人間ならば簡単に付与できるもんね。
しかし福子ちゃんって、どういう性格なんでしょう。
自分の甥っ子姪っ子が靴みがきしているのに、心を痛めず、無職夫婦でいても笑顔でニコニコ。そんな状態で居候をしていることへの気遣い、ゼロです。
まぁ、八重宅に居候していた時点で滲み出ていましたが、それにしても何をどうすれば、こんな身勝手鈍感夫婦に共感できるのでしょうか?
福子が働く手だってあるでしょうに。
『べっぴんさん』は、まさにそういうストーリーですよ。
安藤サクラさんの起用に疑問符が
ここで、またまた使い回しのすいとん夕食シーンです。
時間稼ぎ?
毎日同じような場面を使うことに、何の躊躇もない省エネ仕様が凄い。まとめて撮影できて楽ですね、よかったですね。
この場面、作る側は楽できてホクホクでしょうけれども、見る側としては純然たる苦行めいて参りました。
「目を閉じてすいとんを大福餅だと思えばいいのォ〜〜〜〜〜!」
素っ頓狂な声で叫ぶ福子は20代前半ですよね? 笑うとこ?
完全にミスキャストでしょう。
せめて、オーディションで発掘したハタチ前後の新人女優でも使えば、まだマシでした。
せっかくの安藤サクラさんが完全に無駄使い。彼女の魅力を活かす気力を微塵も感じない。
こんな不愉快で、愚かしく、演技力を発揮できないどころか、喉が心配になるほど作り込んだ裏声を出させて、何を考えているんですか?
これは私の意見ですが、どうにも彼女は【盾】として利用されたように思えるのです。
安藤さんの演技力の高さは、つとに有名です。加えて出産したばかり。
そういう演技力の高さがある女優を起用すれば、話題性がある。
朝ドラの現場で寛大にも育児仕立ての母親を起用すれば、これまたアピール性バッチリですよね。
以前も書いたのですが、親になるのは男女ともに同じ。
それを女優だけ、親になってもこの仕事を続けられるだけありがたく思えと迫るのは、ただの性差別です。
しかし、これを性差別と認識できるほどの社会的な認識が、この国にはまだない様子。
だからこそ、こういう馬鹿げた【盾】として、有能な女優を利用しているんではないでしょうか。
穿って見れば、制作サイドが
「子育てしながら頑張っている、演技力のある彼女を叩くつもりか?」
とでも言ってるようにも感じてしまいます。
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