名機でしたが、ついに引退宣言でしょうかね…。
10月ラストを飾るApple Special Eventにおいて、iPhone以外のさまざまな新製品が発表されると期待が高まっています。でもその陰では、これを機に終焉を迎えるのでは? そんな風にささやかれている製品があります。長らく形を変えていない、MacBook Airです。米GizmodoのAlex Cranzが、もうMacBook Airは役目を終えたといってもよい、これでもかという理由を列挙していますので、このタイミングでご紹介しておきましょう!
もし今だれかが、これからMacBook Airを買うつもりなんだなんて、私に告げようものなら、そんなバカげたことをしてはいけないって、全力で止めにかかるでしょうね。MacBook Airは、もはや過去の恐竜のような存在です。そして、Apple(アップル)がまもなくニューヨークで行なうSpecial Eventで数々の新製品を発表するとき、たぶんMacBook Airは葬り去られてしまうことでしょう。もしかすると、改良モデルが出されるなんてことも、なきにしもあらずなんでしょうけど。
今やMacBookに食われている
個人的には、もうMacBook Airには、終止符が打たれてしまってもよいと感じています。すでにそういう可能性については論じられており、かなり前から、MacBook Airの終焉が語られてきました。非力でチープなマシンが嫌いだからではありません。いろんな優れたモデルといっしょに、いつまでもMacBook Airのように時代遅れで劣ったマシンが並んでいることに嫌気がさしているからなんですよね。
たとえば、MacBook Airのサイズを考えてみてください。初めてMacBook Airがアナウンスされたとき、確かに当時は最薄で最軽量のラップトップとして注目を集めました。紙の封筒にだって入りますとやってみせたあのパフォーマンスは、だれもが覚えているのでは? でも今や、Apple自らを含む多くのメーカーが、MacBook Airよりも薄くて軽いラップトップを発売しており、そのAirというネーミングが珍奇に聞こえてしまいます。これから刷新が発表されるであろうMacBookを例にしても、MacBook Airより軽いモデルが存在します。確かにMacBook Airの最薄部こそ、どのMacBookよりも薄くなってはいますが(0.3~1.7 cm)、全体的には、MacBook(0.35〜1.31cm)のほうが薄い本体サイズに仕上がってもいます。

それにMacBookが、ただMacBook Airみたいに薄くて軽くなってきているというだけではありません。いまやMacBookには、12インチモデルながら、2,304×1,440ピクセルの高解像度のディスプレイが備わっています。通常は12インチのディスプレイだと、1080p以下の解像度が一般的なのに…。
MacBook Airはプライドだけ高く老いたマシンだ…
一方のMacBook Airといえば、1,000ドル以下(9万8800円、税別)から買えるモデルというのは事実です。でも、その競合モデルはというと、Windowsマシンの400ドル前後で買えてしまうラップトップとなってしまいます。MacBook Airのディスプレイ解像度は、1,440×900ピクセルとなっており、きっと400ドルマシンで一般的な1,366×768ピクセルという解像度よりはマシでしょう。しかしながら、MacBook Airの値段は、400ドルではなくて、1,000ドルですからね。1,000ドルクラスのWindowsラップトップで比較するならば、現時点で13インチディスプレイなのに1080pレベルの解像度しか備えてない、唯一のマシンなのでは? ゴツいベゼルに囲まれたMacBook Airのディスプレイは、ほぼ同じ価格帯となるDellのXPS 13ですとか、HPのElitebook 735 G5と比べると、かなり時代遅れに感じてしまいますね。
ただディスプレイ解像度がアップして、薄いベゼルになっているだけではありません。こうした1,000ドルクラスのWindowsラップトップには、2018年製の最新プロセッサが搭載されています。一方MacBook Airは、2017年にマイナーチェンジしたものの、いまだに2015年製のプロセッサを採用。i5-5350Uプロセッサもしくはi7-5650Uプロセッサという選択肢ですよ。これらはいずれも、Intel(インテル)の第5世代のCPUです。いまや第8世代のプロセッサが搭載されており、第9世代のプロセッサすらアナウンスされている時代にです! HPやDell、LenovoのIntel製Core iプロセッサが採用された最安モデルにだって、第7世代のプロセッサが搭載されていますよ。きっと探せば、いまだに第6世代のプロセッサを採用したモデルだって、まだ売れ残っているでしょうけど、その販売価格は大きく下がっていることでしょう。
4万円足せば、MacBookもMacBook Proも買える状況

Appleから販売されているモデルのなかでも、おかしな状況になってしまっています。MacBook Airよりもわずか300ドルほど(日本では4万4000円)多めに支払えば、第7世代のプロセッサが採用されたMacBookが手に入りますからね。MacBook Airは、今やあまりにも貧弱なモデルに落ちてしまったため、昨年の1,000ドルクラスのベストラップトップ対決からは、完全にランク外へと追いやられてしまったのが現実です。
早くも2016年には、Touch Barが備わっていないRetinaディスプレイのMacBook Proによって、きっとMacBook Airは終わるだろうと考えられてもいました。それ以来、多くのオフィスでは、MacBook AirではなくこのMacBook Proを社員に支給する流れへと変わってきています。このMacBook Proのほうがよりパワフル性能なのに、MacBook Airと同じ本体重量(正確には20gだけProが重い)となり、それでいてディスプレイ解像度やデザインは、はるかにMacBook Airに勝っていますからね。それでいて、MacBookと同じく、MacBook Airより300ドルほど(日本では4万4000円)高いだけです。とはいえ、もしもAppleが、本気でラップトップを売り込みたければ、時代は1,000ドル以下の新モデルを欲してもいるようですけど。
多くのラップトップメーカーが、今年の売れ筋は2,000ドルクラスのハイエンドなモデルではなく、1,000ドル以下のモデルだと語っています。Appleがこうした市場トレンドで勝負したければ、やはりこの価格帯で高い完成度のモデルを出す必要があるでしょうかね。

そして、そのモデルというのは、iPadのことではありませんよ。今年3月のiPadの発表イベントでAppleは、OSこそスマートフォン向けのものを積んでいても、iPadはタッチ操作で、多くの機能をラップトップ並みに備えているとアピールしていたようです。きっとまもなく、新しいキーボードカバーといっしょに新しいiPad Proをアナウンスしては、そのアピールを強めてくることでしょう。でも、あくまでもタブレット主体の2in1となるiPad Proは、ラップトップにはなれません。それは、ラップトップ主体の2in1となるLenovoのYoga C930が、タブレットにはなれないのと同じです。世の中にはハイブリッドマシンではなく、純粋にラップトップを望む人たちも存在していますから。
MacBook Airよ、安らかに眠れ
今回のイベントで、Appleはラップトップの新モデルを発表すると噂されています。そこには、MacBookの新モデルまたはMacBook Airの後継機種として、低価格モデルも含まれていることでしょう。きっとその値段は、1,000ドルを切ってくるでしょうね。もしそうであれば、ただ999ドルといった、ほんのわずかながら1,000ドルを切るという価格帯ではないことも願います。
そしてついに、MacBook Airとは晴れてお別れとなるのでしょう。ラップトップの在り方を変えたモデルではありましたが、そろそろ身を引くべき時期がやってきています…。