なるべく違和感が無いようにしたいですが、邪心降臨とかやっちゃったし今更かな?
結局断り切れずガゼフ達と一緒に王都まで行く事になってしまったが、もう日も暮れかけていたので今日はカルネ村で一泊させてもらう事になった。
アンデッドである悟は睡眠をとる事ができないので、みんなが寝静まった後一人夜空を見上げていた。
「星がきれいだな」
あちらの世界では大気汚染によって星どころか空すらろくに見えなかった。きれいに澄み渡った空にたくさんの星がきらきらと輝く姿はまるで宝石箱のようだ。
「今日は大変だったな」
エンリとネム、村が襲われている所を助けたと思ったらガゼフ達がやってきて一悶着あった。そして誤解が解けたとたん法国の特殊部隊の襲来。
一日で事件が起こりすぎだが、すべてはガゼフ一人を殺すために仕組まれたのだという。
「一人倒すのにここまで仕込みするなんて対たっちさん作戦並みだな。・・・にしても
まだ作戦前だったから良かったが、もし戦闘中に時間切れになってたらと思うとゾっとする。自分のせいでガゼフ達も村のみんなも死んでいたかもしれないのだ。
「やっぱ召喚時間の制限があるのは危ないよなぁ。
・・・そうだ!」
先ほど〈
一回使用された
初めて課金した時も同じだった。最初は無課金同盟を組んでいたのに、いつのまにか
「あの時三回全部使うつもりだったんだし・・・いいよね?」
謎の言い訳をしながら指輪の効果を使用する。
「俺が生み出す物の制限時間を無くしてくれ。・・・あとできれば召喚する時の消費経験値も無くしてください!」
指輪によって効果が最大まで高められた〈
「どうだ?」
魔法は正常に発動した。後から付け足した消費経験値に関しては微妙だが、召喚時間に関しては叶えられたような気がする。
試しに下位アンデッド創造でスケルトンを召喚し〈
「よし、成功だ!」
短剣とスケルトンを消すと悟は満足げに頷いた。
◆
日が昇り始めると目覚めたガゼフ達が家から出てくる。
「おはようございます、ガゼフさん」
「おはよう、サトル殿。待たせてしまってすまないな。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。よくわかってますから」
なにせつい最近まで自分も人間だったのだ。むしろ疲労も眠気もまったく感じない今の体に戸惑っている。挨拶を終えて出発の準備をしていると、村長とガゼフが話し合っているのが目に入った。なにやら深刻そうであり、別れの挨拶ではなさそうだ。
「ガゼフさん、村長さん。どうかしましたか?」
「おお、サトル様。・・・恥ずかしい話ですが、皆様が出発された後の事が心配でして」
「心配?」
村を襲った連中はすべて倒したと思うのだがまだ何かあるのだろうか?疑問を浮かべているとガゼフが渋い顔で告げる。
「やつらがおそらく法国の六色聖典の一つだというのは話しましたな?その狙いが私の殺害だというのも」
ガゼフ曰く、法国はこれほどの戦力を投入したにも関わらずガゼフの暗殺という目的は果たせず。挙句の果てに六色聖典の一つが捕らえられるという大失態を犯している。
そのため、挽回のために何らかの行動を起こす可能性が高く、その場合またカルネ村が巻き込まれる可能性は否定できないとの事だ。
「事を起こすと分かっているならともかく、可能性の話では兵を駐屯させるのも難しいのです」
悔しそうに歯噛みながらガゼフが告げる。守るべき民を置いて戻らなければならない自分が許せないのだろう。悟は敵は倒したのだからもう大丈夫だろうと単純に考えていたが、どうやらまだ安心できない状態らしい。もし悟もガゼフもいない状況でまた村が襲われたら今度こそ村は壊滅してしまうだろう。
(う~ん。やっぱり王都へ行くのを断るべきかな?せめて村の安全が確認できるまでは。
・・・いや、べつに断る理由ができて良かったなんて思って無いぞ?気が重いといっても王様にコネができるのは大きい。当てもないままフラフラするのもうんざりだし、カルネ村にいつまでも厄介になるわけにもいかないだろうしな)
どうするべきか考えていた悟だったがここで一つの考えが浮かぶ。カルネ村を守るには自分が残って戦うしかないと思っていたが、どうせまたモンスターを召喚して戦わせるだけだ。
―――そして召喚モンスターの時間制限は昨日解決している。
「大丈夫です。村は私が守りましょう」
「サトル様!?しかしあなた様は戦士長と王都へ向かわれると・・」
「はい、ですので私が直接守るわけではありませんが・・・〈
昨日も使った超位魔法を再び使用し、悟を中心にドーム状の魔法陣が展開される。ガゼフ達も、一度見ているはずの村人達もその様子に圧倒されたように見入っている。全員の視線が自分に向けられているのにむず痒くなるが、さすがに課金アイテムを使って短縮するつもりはない。
しばらくして魔法が発動する。六体の
「この村を守ってください。あと、手伝える事があったら手伝ってあげてください」
「御心のままに」
そう悟が命じると、周囲がざわめいた。村人のみならずガゼフ達も驚いた様子だ。
「よ、よろしいのですか?この天使はサトル様が御身を守られるためのものでは?」
「構いませんよ。あとついでにこれも」
スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンから火の宝玉と水の宝玉の力を使用する。ユグドラシル時代には一度も使用する事がなかったので忘れていたが、夜の暇な時間に調べていたら発見した物だ。
〈
悟の命に従うように力が揺らめき目の前に巨大な光球が発生する。それを中心に炎の渦が巻き起こる。そして渦が膨らみ周囲に熱風を撒き散らそうとした瞬間、それを抑え込むように水の奔流が巻き起こる。二つの渦は互いにぶつかり合うかのように膨らんでいき、やがて二つの人型を形どる。
融解した鉄のような真っ赤な輝きを放つのが
「どちらも無数に分裂して無限に炎と水をだせる・・はずですから。どうぞ使ってください」
この世界ではお湯を沸かすのも苦労がある。井戸から水を汲み、火種を作って竈に火を起こす。最初は物珍しくやってみたいとも思ったが、これを毎日やらねばやらないのは大きな負担だろう。王都等では魔法やマジックアイテムによって電気も水道に近いインフラがあるらしいが、とても高価であり辺境の村では使えないそうだ。
「なんという・・・我々のためにこのような」
「はは、それほどでも。それに袖振り合うも・・何かの縁って言いますから」
実際超位魔法もスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンによる召喚も一日の使用回数に制限があるだけで惜しい物でもない。
昨日スケルトンで実験しただけなので超位魔法やギルド武器による召喚にも効果があるのか。そもそも永続的に召喚できるのかは不明だが、召喚モンスターとは繋がりがあるので消えればすぐ分かる。いざとなれば〈
「縁・・それは・・この村をサトル様の
恐る恐るといった様子で村長が問いかけてくる。
(・・たか?・・・拠点って事か?)
「ええ、皆さんがよろしければぜひ」
一瞬、静寂があたりを包み込む。
「もったいなきお言葉!カルネ村一同全霊をもって仕えさせていただきます」
村長が膝をつき、両手を胸の前に組む。それに村人すべてが追従する。
(え!?何この状況)
ちょっとした人助けのつもりだったのに村人全員に拝まれる状況になってしまった。救いを求めてガゼフに視線を向けるが、ガゼフも深く頷いている。
「わが身の不徳を呪っていたが・・本当にありがとうサトル殿!あなたのような存在を英雄と呼ぶのだろうな」
この場を諫めてくれるのを期待してたのだがガゼフまで褒め称えてきた。昨日の時点で慣れたと思っていたのだが小市民な悟にはとても居心地が悪い。このままではずっと崇められてそうな雰囲気だ。
「い、行きましょうか?いつまでもこうしてるわけにはいきませんし」
「そうですな。カルネ村の皆、この度は世話になった。サトル殿は私ガゼフ・ストロノーフが王国戦士長の名に懸けて無事王都まで連れていくことを約束しよう!」
その言葉を受けて今度は割れんばかりの歓声を上げる村人を背に王都へ向かうことになった。
原作でも死体を媒体にすれば中位アンデッドまでは永続召喚できるので、最大効果の星に願いをなら制限を無くせるかなと。
もし違和感があったらモモンガ玉の効果だと思ってください。
根源の水精霊は火がいるなら水もいるだろうという単純な考えです。
高天原は日本神話で天照大御神とかが住んでいる場所のことです。かなりおかしいですが、神が住む土地みたいなニュアンスでお願いします。