腹部のないセミが飛び回り、オスメス構わず交尾を迫る……。そんなホラー映画さながらの行動を引き起こす病原菌が存在するという。セミの成虫に感染して生殖器を含む腹部を侵して脱落させ、休みもせずに飛び回り、雌雄関係なく交尾をしまくって感染を広げていくという。病原菌が宿主を都合よく操っているのだが、そのカラクリの一端が明らかになったと話題になっている。感染したセミから、実に意外な物質が発見されたのだ。英紙「Daily Mail」が報じている。

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画像は「Daily Mail」より引用

■やっと成虫になったのに……

 ご存知の通り、セミは孵化すると土の中に潜り込んで成虫になるまでの長い時間を過ごす。そして時が来れば土から出て、成虫となり、大きな鳴き声を上げながら交尾相手を探す。だが、成虫になった途端、恐ろしい病原菌に侵されてしまうセミもいる。

 Massospora(マッソスポラ)属の菌類はセミに感染する病原体の一つだ。カナダやアメリカの17年ゼミや13年ゼミなどで感染が報告されている。この菌に感染したセミの腹部は、1週間ほどで表面が剥がれ落ち、白いプラグが現れる。プラグは成長し、セミの腹部は正常な形を失い、元の3分の1ほどの大きさの“白い塊”になってしまう。

 だが、腹部を失ってもセミは死なない。腹の白い塊の中には病原体の胞子がぎっしり詰まっているのだが、それを撒き散らすように飛び回ってオスメス問わず交尾しようとする。生殖器は腹部にあるので、とうに脱落して白いプラグに取って代わられているのだが、セミは食事をする時間すら惜しむように相手を見つけては交尾に誘って感染を広げているのだ。以前の研究では、感染したオスがメスのように振る舞い、オスに交尾を誘う行動が確認されている。

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画像は「Daily Mail」より引用
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