映画『のぼうの城』では、成田長親(演:野村萬斎)が、石田三成の水攻めに苦しめられます。そこで、のぼうと言われていた成田長親は田楽踊りで水攻めを打ち破ります。なぜ、のぼうは田楽踊りで水攻めを打ち破れたのか、詳しく紹介しましょう。
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『のぼうの城』のキャスト
映画『のぼうの城』は、2012年11月2日に日本で上映されました(上映時間は約145分)。
監督&脚本
石田勢2万が、500の城兵に手こずってしまう映画『のぼうの城』を制作したのが、犬童一心・樋口真嗣監督になります。
- 監督:犬童一心
- 監督:樋口真嗣
- 脚本:和田竜
- 原作:和田竜
登場人物&役者
映画『のぼうの城』に登場する人物や役者さんたちは、以下の通りです。
成田側の人々
- 成田長親/農民から慕われている城代のぼう(演:野村萬斎)
- 成田泰季/のぼうの父上(演:平泉成)
- 成田氏長/忍城の城主(演:西村雅彦)
- 珠/成田氏長の奥方(演:鈴木保奈美)
- 甲斐姫/成田家の男さまりな姫(演:榮倉奈々)
- 正木丹波守利英/のぼうに手を焼く家臣(演:佐藤浩市)
- 酒巻靭負/甲斐姫に恋する家臣(演:成宮寛貴)
- 柴崎和泉守/成田家の猛将(演:山口智充)
- たへえ/忍城の近くに住む農民(演:前田吟)
- かぞう/たへえの息子(演:中尾明慶)
- ちよ/かぞうの妻(演:尾野真千子)
- ちどり/かぞうとちよの娘(演:芦田愛菜)
- 和尚/忍城の寺の住職(演:夏八木勲)
豊臣側の人々
- 豊臣秀吉/三成に武功を上げさせたい君主(演:市村正親)
- 石田三成/忍城を攻撃する豊臣側の総大将(演:上地雄輔)
- 大谷吉継/三成を補佐する知将(演:山田孝之)
- 長束正家/横柄な態度をとる武将(演:平岳大)
『のぼうの城』のストーリー
羽柴秀吉(若き豊臣秀吉)は、備中高松城の近くで、作り上げた堤を決壊させて水攻めにします。石田三成は、銭と力を結集して行なった水攻めに感動してしまいます。この体験が、後の忍城を攻める作戦に大きな影響を与える事になるのです。
豊臣秀吉が三成に忍城を任せた理由(起)
羽柴秀吉は、豊臣秀吉と名前を変えて太閤となっていました。そして天正18年、豊臣秀吉は軍議を開いて、石田三成が「北条家討伐の軍を発する、前田利家殿・上杉景勝殿は北陸道から攻められませ、徳川殿は東海道、海上は九鬼嘉隆殿が進まれよ」と秀吉の命令を伝えます。
しかし、尾張派の浅野長政は「殿下、三成殿はまた後方にござりまするか?」と戦わずに兵糧の補給しかしないのかと批判をしてきます。所が、豊臣秀吉は「三成には一軍を任せて、兵2万で忍城を攻めさせる」と声を張り上げ、諸将は驚いてしまいます。豊臣家には尾張派と近江派の間で、激しい対立が起きていました。
豊臣秀吉は、この戦で三成に軍功をあげさせて、尾張派の武将に三成を認めさせたかったのです。その頃、忍城では、農民から『のぼう』と親しまれていた成田長親が、農民たちとたわむれていました。しかし、田植えの仕事をしている、かぞうだけは、のぼうをあまり好きになれなかったのです。
のぼうの父が愚息を叱責(承)
正木は、太閤の軍が迫っているのに、のぼうが城にいない事にいらだっていました。そこで、昔から顔なじみの和尚にのぼうの居場所を聞きつけて、農民とたわむれていたのぼうを城へ連れていきます。城には、北条家の使者が訪れていて、小田原へ駆けつけるように催促していました。
所が、のぼうは「北条家と太閤のどちらにもつかず、戦にならぬ方法はないかのぅ」と呑気(のんき)な事を言ってしまいます。北条家の使者は「何?」といきりたってしまいます。
そこで、父の泰季は「このたわけが!成田家が存続できたのは北条家あってこそ」と、のぼうをぶん投げてしまうのです。泰季は「これはわが愚息にして、ご容赦を。殿おん自ら500騎にて本日中に駆けつけます」と説明するので、北条家の使者は「よく申された」と納得して小田原へ戻っていきました。
農民の複雑な思い(転)
成田氏長は小田原城へ駆けつける直前になって「わしは太閤へ寝返る、忍城に豊臣軍が押し寄せたら開城せよ」と命令。これに柴崎は反対しようとしますが、正木に止められて降伏する事が早くも決まっていました。その頃、石田三成は戦をしたかったのに、館林城では早くも豊臣に降ってきます。
三成は「人とは、こんなものか」と忠義心のなさを嘆きますが、大谷吉継は「勝利者のみが抱ける甘美な感傷だな」と皮肉を言います。その頃、忍城では武士が戦はないと言っていましたが、農民のかぞうはそれを信用できず子供を連れて他の城へ行こうとします。実は、たへえの妻は武士にてごめにされて、たへえは武士を恨んでいました。
しかし、その武士を甲斐姫が手打ちにしてくれて、手打ちにされた武士の一族が姫を亡き者にしようとしたら、のぼうが止めた経緯がありました。そのため、妻は武士にてごめにされても、甲斐姫やのぼうを信じて子供と一緒に城にとどまります。そして、忍城には、石田三成の使者 長束正家が到着します。
のぼうの命がけの田楽踊り(結)
長束正家は横柄な態度を取った上に、甲斐姫を太閤に差し出せと言ってきたので、何と、のぼうは戦うと言い始めたのです。これに正木は降伏すると決めていたじゃないかと言いますが、のぼうは「嫌なものは、嫌なのじゃ!」と言われて「ガキかよ、てめぇは」と呆れます。
農民は、戦はないと聞いていたのにと戸惑いますが、のぼうが戦うと言い出したので「仕方ののない方じゃ」と笑い出して城へ駆けつけます。しかし、のぼうは、父が病に倒れて亡くなってしまい、泣き崩れてしまいました。それを見た農民は「えぇかえぇか!おー!えぇかえぇか!おー!」と鬨(とき)の声で励まそうとします。
その声を聞いた大谷吉継は「この城、敵に回したは間違いか」と危惧。その憂いは現実のものになって、柴崎の奮闘や酒巻の火攻めで、石田方は大きな痛手をこうむります。そこで石田方は農民を使って堤を作り上げて、水攻めで忍城の者たちを苦しめます。のぼうは、そこで敵前で田楽踊りをしようとしますが、何を考えているのでしょうか?
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『のぼうの城』の豆知識
映画『のぼうの城』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。
尾張派と近江派
一大勢力を誇った豊臣家ですが、その内側では『尾張派』の秀吉の正室ねね・加藤清正・福島正則・浅野長政と、『近江派』の秀吉の側室 茶々・石田三成・大谷吉継・小西行長などでした(小西行長は近江出身ではありませんが、秀吉が長浜城主になってから仕えた事から近江派とも言われています)。
尾張派は武断派が多いのに対して、近江派は官僚が多い事から、尾張派の武将は、近江派の事を「戦いもせんくせに」とさげすんでいました。このままでは豊臣は一枚岩になれないと思って、秀吉は三成に武功をあげさせたかったのです。
この秀吉の憂いは、後に的中してしまい、徳川家康が尾張派を懐柔して、近江派を一掃して天下人へなっていくのです。
忍城を水攻めにしたのは秀吉?
石田三成は忍城を水攻めにしましたが、それを影で指揮したのは秀吉という文献が残っています。秀吉は、今まで一夜城・水攻め・中国大返しなど、多くの者たちを圧倒させるパフォーマンスを行なってきました。
そのパフォーマンスによって、敵の士気を下げて、権威をつけてきたので、忍城を水攻めにした可能性は高いでしょう。
『のぼうの城』の感想
農民から慕われている、のぼうが活躍していく『のぼうの城』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。
『のぼうの城』の残念な所
武将なのに、何か滑稽な感じがするのぼうは、観る人によっては面白いと感じるかもしれませんが、違う人が見れば「ふざけているのか?」と思ってしまうかもしれません。しかし、バラエティー要素を少し加えた歴史映画や時代劇映画は多くあるので、このような映画はあっても言いでしょう。
ただし、酒巻靭負役の成宮寛貴さんや、大谷吉継を演じる山田孝之さんたちは、時代劇というよりは、現代ドラマのような演技になっていたので、その辺りは少し残念な所でした。
『のぼうの城』の見所
のぼうの城では、多くのエキストラが動員された上に、戦は迫力のあるシーンが多かったです。その当たりは、一つの戦に、あまりお金を使う事ができない大河ドラマよりは、見応えが十分でした。
そして、武士らしくない、のぼうがうつけとも言える行動で、農民をふるい立たせる所は、今までにない歴史映画に見えて面白かったですね。