日本ワインの市場について

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日本ワインの市場について




こんばんは…ゲーシーです✨
今夜は日本のワインの市場について

次のような課題を挙げてみました。





1・デイリーワインとしては単価が高い!?
2・生産量が少ない!?
3・「日本のワインはおいしくない」という

    イメージを持つ人が多い!?
4・
そもそも、認知度が低い!?


とりあえず長くなってしまうので

1点目と2点目の2点について

書いてみたいと思います。



1:デイリーワインとしては単価が高い


安くても1500円くらい
先日とある日本ワインのイベントで

お話しした方が、

「日本ワインは高いイメージが

 あるのであまり飲んだことがない」

というようなことをおっしゃっていました。



ちょっと高いし、よくわからないので、

チャレンジするのに至らなかったそうです。



確かに、私もワインに限らず、

よく知らない商品に対して他より

高いお金を出してまで冒険することは

あまりないですけどね~





日本ワインは比較的安いものでも

1500円前後。デイリーワインとして

考えると、輸入原料を使った

国産ワインやチリワインなどの

1000円を切るような低価格帯の

コスパワインに、価格で勝つことは

できません!!



なぜ高いのか?
ワインの販売価格を決める要素は、

ヴィンテージ(生産年)や関税など

様々ですが、日本ワイン全般に

ついて言うと、生産コストの要素が

大きいのかなと思います!?



原料ブドウの栽培からワインの

瓶詰めまで国内で行われていることが

「日本ワイン」たる条件ですので、

輸入原料の使用や、他の製造業で

ありがちな生産拠点の海外移転による

コストダウンはできません。



このため、人件費や設備費、材料費などが

高くなることは想像しやすいかと思います。



また、日本の気候や土壌は、場所にも

よりますが、必ずしもブドウの生育に

適していると言われません。



厳しい環境の中で手間暇を掛けて育てられ、

選りすぐられたブドウで

造られる日本ワイン。



ワインの本場・ヨーロッパの権威ある

ワインコンクールで日本各地で生産された

ワインが賞を獲得するなど、

近年国際的な評価も高まっています。



高品質のワインを生み出すための

手間暇や費用が商品価格に反映されるのは、

当然といえば当然ですよね?




課題2:生産量が少ない


どのくらい少ないのか?
国内のワイン出荷量(課税ベース)のうち、

3分の1くらいが国産ワインです。

その国産ワインの生産量のうち、

国産ブドウ100%で造られた

日本ワインは約18%



出荷量と生産量で若干の差が

あるため推計になりますが、

最新の統計データから国内の

ワイン市場における日本ワインの

シェアを算出してみると・・・



国産ワインの出荷量 × 

日本ワインの生産比率 ÷ 

国内のワイン総出荷量

113KL × 18% ÷ 379KL = 5.3%



わずか5%程度ということになります。

【国税庁「酒のしおり」、「国内製造ワインの概況

(平成27年調査度分)」から試算】



グラフにするとこんな感じです。





2015年国内ワイン市場のシェア

原料不足の問題…
生産量の低さには色々な要因が

あるかと思いますが、山梨県については

ワインの原料である醸造用ブドウ不足の

問題がきいと感じました。



山梨県はブドウ生産の

シェア全国1位ですが、醸造用ブドウよりも

生食用ブドウのほうが取引価格が高いため、

ブドウ栽培農家にとって醸造用ブドウに

参入するインセンティブが低い状況です。



そこに農家の高齢化や農地の遊休化などが

相まって、原料不足が慢性化していると

いいます。



県内には、良質な原料を確保するために

自社栽培に取り組む生産者も多いですが、

ワイン製造業者の9割以上は中小企業や

家族経営ですので限界があります。



あくまでも後ろ向きな意味ではなく、

単に量より質を追求している印象です。



限りある原料から高品質な日本ワインが

造られている現状を踏まえると、

当面は需要が伸びたところで生産量を

大幅に増やすことは難しいと考えます。



市場拡大だけを考えるなら、例えば品質を

下げて生産コストをカットし販売価格を

下げる戦略もあろうかと思いますが、

それではそもそも純国産の証として

ラベルに表示できる「日本ワイン」の

基準そのものの存在意義が薄れて

しまいますよね?



希少で品質が高い分、価格もちょっと高い。

というまとめ方がしっくりくるのですが、

いかがでしょうか?



少量生産で高品質の日本ワインと、

大量生産でお財布に優しいコスパワインを

比較するのはナンセンスですし、

2つの課題はむしろ、「レアで高品質」と

いう付加価値の要素として捉えたほうが

ハッピーになれそうです。






一方で、米トランプ政権が

保護主義を強める中、

去る2018年3月8日(チリ現地時間)

米国を除く11カ国による

環太平洋パートナーシップ協定、

いわゆるTPP11の署名式が行われました。





TPP11が発効すると、

ワインを含む参加国からの輸入品の

関税が引き下げられ、私たちにとっては

安く購入できるようになります。





ワインの輸入関税の動向は国内の

ワイン市場にますます影響を

もたらしますので、日本ワインにも

無関係ではありません。



というわけで、今回は日本における

ワインの輸入関税についてサマリー

してみたいと思います。



関税とは?


まずは関税がよくわからない方向けに

簡単に説明します。

必要のない方はこの章は

読み飛ばしてくださいね?(笑)



関税とは、海外からの輸入品に

課される税金のことです。



主な目的は、国内産業の保護。

安い輸入品が入ってくることは

消費者にとっては嬉しいですが、

生産者にとってはお客さんを

奪われることになりますので、

経営に深刻な打撃を受ける場合もあります。



このため、国としては自国の産業を

守るために「うちの国に物を売るなら

お金を払ってね」ということで

相手に税金を課すわけです。

ついでに国の税収も増えます。



関税の金額は、その商品の販売価格に

上乗せされますので、

関税が引き下げられるとその分

商品の価格が下がります。



関税の税率は国によって異なり、

その国にとって重要な産業の

品目ほど税率が高い傾向があります。



日本でいうとコメ!!

なんと1kgあたり402円という

関税がかけられています。



過剰な保護的政策は、

短期的にはその産業を守りますが、

守られている分競争力が高まらず、

長期的には産業の衰退に

つながるおそれもあります。

何となくイメージできましたでしょうか?



日本におけるワインの輸入関税


基本税率では

「輸入価格の21.3%または

156.80円/Lのうち低いほう」と

されていますが、通常はWTO協定税率の

「輸入価格の15%か125円/Lのうち低いほう」が適用されます。ボトル1本(750ml)に

換算すると、最大93円です。



経済連携協定(EPA)などの協定を

結ぶ国の場合、取り決めによって

上記より低い関税率を設定したり、

撤廃したりします。



表は、日本と協定を結ぶ

主要ワイン生産国に対するワインの

輸入関税についてまとめたものです

(ただし現時点でEUとのEPAは未署名)



税率は2018年4月1日版の

実行関税率表から引用しました。

簡素化するために従価税のみ記載しています。



協定国に適用されるワインの輸入関税



相手国・地域協定発効時期現在の

関税率撤廃までの期間


ポイントは2019年です!?



TPP11の影響は?


現在、TPP11の参加国からワインを

どのくらい輸入しているのでしょうか?



表は、2017年の日本のワイン

輸入相手国のうち上位10か国を

表したものです(出所:財務省 貿易統計)



日本のワイン輸入相手上位10カ国

(2017年・数量ベース)



この中でTPP11の参加国は、

チリ、オーストラリア、ニュージーランド。

チリとオーストラリアは、

上の表にもあるようにすでに個別に

EPAを締結しています。



現時点でワインの関税率が下がっているので、TPP11でさらに安くなることはありません。

というわけで、TPP11の発効に伴っては、

ニュージーランドのワインが

注目されるのではないかと思います!?



また数量は少ないですが 、

カナダ(48,239L)、メキシコ(38,835L)、

ペルー(4,824L)、ベトナム(4,702L)

からもワインを輸入しています。



今後これらの国のワインを見ることが

増えるかもしれませんね???



2019年、国内ワイン市場が動く??


1つめの表で太字にしていた2019年の文字。

2019年に何が起こるのでしょうか?



まずチリ。2007年の発効から12年間で

関税を撤廃することになっているので、

2019年で関税がゼロになります。



次にTPP11。

予定どおり2019年に発効すれば、

上にあげた国のワインの税率が

多少は下がると思われます???



そしてEU。日欧EPAは未署名の段階ですが、

早ければ2019年に発効し、

ワインの関税は即時撤廃されます。



上の表にもでてくるフランス、

イタリア、スペインといった主要国の

ワインが一斉に値下がりします。





このように、2019年には多くの国から

入ってくるワインの価格が下がる

見込みのため、国内市場において

日本ワインは各国のワインとの

競争にさらされることになります…



これにより日本ワインの販売量減少を

懸念する声も一部あるようですが、

私は心配していませんが

でも、値段には差がつく!!



競争にさらされるということは、

競争力をつけるために成長が

促されるということです。



また、輸入ワインの値下げで

ワインがより身近になって

国内のワイン市場が拡大すれば、

日本ワイン産業にとっても

プラスになるはずです。



まとめ

今回はワインの輸入関税について

調べてみました。2019年以降、

国内のワイン市場はますます

盛り上がりそうですね?



個人的な事情ですが、カナダワインが

日本でもっと飲めるようになったら

嬉しいですけどね?

(決して日本ワインに対する裏切りではありません!)



経済連携協定が日本ワインにもたらす

影響については、結局のところは

「知ってもらわないことには始まらない」に

帰結するのだと思いますしこのブログが、

少しでもその一助になれたら嬉しいです。


今夜も最後まで読んで頂き

ありがとうございました。