ハリーポッターと黒銀の双子   作:ウゥエッヘヘヘ
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 大変お待たせしました!第三話です!


杖と双子

 その後アルジェ達はフローリシュ・アンド・ブロッツ書店にて教科書を揃えてから錫の鍋を買い、薬問屋に行ったり、双子の弟が箒屋に目を奪われているところをエル一緒に引き摺って進んだりしつつも着実に買い物を済ませて、ついに『オリバンダーの店』の前に来ていた。

 

 

 扉を開くとどこか奥のほうでチリンチリンとベルが鳴る。相変わらず気味が悪いなあと、ネロは少しの苦笑と緊張が入り交じったなんとも言えない表情を浮かべた。

 

 黒銀の双子が小さな埃まみれの店内に置いてある古ぼけた一つだけの椅子に半分ずつ腰掛けながら店主を待っていると、ガタンと音が響いた。

 

 二人がパッと音の鳴った方を向くと、白髪の不気味な老人がニッコリと笑みを含んだ表情で口を開いた。

 

「いらっしゃいませ」

 

 アルジェは目的の店主が来たのでスっと椅子から立ち上がり、ネロと挨拶をしつつ「杖を買いに」と簡潔に伝えた。

 

 オリバンダー老人はジロジロと不躾な視線を二人に見遣ると、少しばかり考えこむような姿をとった。

 

「...緊張しているのか?」

 

 小声でポツリとアルジェが問うと、ネロはちょっぴり驚いたように目を見開いてアルジェを見つめ、そして緊張で強ばっていた表情をふにゃりと緩めてニコッと笑った。

 

 大丈夫。至近距離でアルジェと見つめ合うよりは全然緊張してないよ!

 

 ウインクしながら小声でそう言うネロ。

 

 分かってはいたが双子の弟のあまりのシスコンっぷりを見て、アルジェは少しばかり苦笑したように口許を緩めた。

 

「ヴェルフォートさんの所の双子の...アルジェントさんに、ネロさんじゃな?いやはや懐かしい、アルジェントさんはお母様にそっくりの銀の髪じゃ。ネロさんもお父様にそっくりの黒髪じゃ。それにお二人共、お母様の深紅の瞳を受け継いでいる。片方ずつの、意思の灯った美しい瞳じゃ」

 

「君たちのお母様はハンノキの杖を最初に買って行かれてな。優しく聡明で、見知らぬ人にも親切な良き所有者じゃった。お父様の方はナナカマドの杖に気に入られてな。今でも愛用しているようじゃ」

 

 オリバンダーはニッコリと笑うと、話をサッと切り替えた。

 

「さて、お二人の杖を選びませんとな。もっとも、選ぶのは杖の方じゃが...どちらからにされますかな?」

 

「ネロからで大丈夫です。 良いものを選んでやってください」

 

「アルジェ...!」

 

 パアア、という効果音でも聞こえてきそうな表情でアルジェを見つめるネロ。

 

「当然だろう。こういう時は弟を優先するものだ」

 

 と、常識に一々驚くなとでも言いたげな顔をしながら呟くアルジェに抱きついてから、ネロは「お願いします」とオリバンダー老人に向き直った。

 

 オリバンダーは了承すると、ネロの方へクルリと首を回した。

 変態的な機動をかましたオリバンダーの首にビクッと驚愕しつつも、ネロは表情をまた引き締めてオリバンダーの目を見た。

 

「どちらが杖腕ですかな?」

 

「右です」

 

 オリバンダーはネロの肩から指先...などと寸法を採っていった。 測りながら、彼は話し始めた。

 

「オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力を持った物を芯に使っております。一角獣(ユニコーン)のたてがみ、ドラゴンの心臓の琴線、一角獣(ユニコーン)も、ドラゴンも、不死鳥もみなそれぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はない。もちろん、他の魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖ほどの力は出せないわけじゃ」

 

 そう説明しながら、奥の棚から一本の杖をもってきてネロに渡した。

 

「リンゴの木に一角獣(ユニコーン)のたてがみ。三十八センチ、心地よくしなる。振ってみてください」

 

 ネロがやはり誤魔化しきれない程に緊張した様子でその杖を手に取る。そうすると心地よい暖かな空気が周囲を包み込んだ。

 

 嗚呼、この杖だ。

 

 ネロはそう直感しながら、杖を振り上げた。

 

 杖を振り下ろすと、杖の先からまるで安心させるように綺麗な赤い光が幾つかフワリと流れ出る。

 心地よさを感じさせるその暖かな光と空気は、瞬く間に店中に広がっていった。

 

 オリバンダーは見惚れたような表情でその光景を見ていた。

 表情筋が死滅していると専らの評判のアルジェでさえ、その表情をほんのちょっぴりだが驚愕したような、呆気にとられたような顔をしていた。

 

 まるで包み込むような、美しい景色だった。

 

 オリバンダー老人はハッとしたように肩をピクリと震わせると、すぐに「ブラボー」と穏やかに告げた。

 

「いやはや、素晴らしい魔法じゃった。ネロ・ヴェルフォートさん。きっとあなたは素晴らしい魔法使いになれるでしょうな。長いこと杖売りをしていますが、あんなにも美しい魔法は見たことがありませんのじゃ」

 

 パチパチと拍手をしながら褒めてくるオリバンダー老人に、ネロは照れたように顔を掻くとアルジェの方をチラリと見た。

 アルジェは嗚呼、と声を出してから、いつもより幾分か優しい表情で

 

「綺麗だったよ」

 

 と、思ったままを伝えた。

 

 

 人によっては素っ気なく感じるアルジェの言葉を聞いて、ネロはとても幸せそうな、満足気な表情を浮かべた。

 

 アルジェも薄らと、誰も気がつけない程薄く、幸せそうに笑みを浮かべていた。

 

 




 表情筋死滅系女子可愛い。






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