ロザリオと一撃男   作:海神アグル
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今回は試しに「」の前につける名前、つまり台本形式を取っ払った形で書いてみました。

それと主人公なんですが……やっぱり原作主人公に変えた方がいいんですかね?

それでもワンパンマンの力を付与したとしても、白髪なのは変わらないんですけどね。



十二撃目

時刻は既に深夜を迎えようとしていた。

 

昼は明るい雰囲気を放っていたこのヒマワリ畑も、今や不気味さしか感じさせなかった。

 

そんなヒマワリ畑で2つの影が相対していた。

 

一人はこのヒマワリ畑の主にして、人間に復讐を果たそうとする魔女・お館。

 

もう一人は異常な力を持つ自称ヒーローの人間・天青竜司。

 

お館は憎悪に満ちた顔で怒鳴る。

 

「今度は何をしにこの魔女の丘に来た?言っとくが話し合いには耳を貸さぬぞ!! 我々は人間より遥かに優れた種族!人間を皆殺しにして、今こそそれを思い知らせてやるのだ!! 邪魔するなら貴様を先ず八つ裂きにする!!」

 

対して竜司はいつもの無気力な目で、怒りを覚えてる者から見れば神経逆撫でされるような顔で言う。

 

「いや、そう言われても……やっぱ話し合いは大事だと思うんだよ」

 

「今更何を抜け抜けと!目覚めよッ!! 植物妖怪軍団よッ!!」

 

お館がそう叫んで左腕を上に上げると、それを合図に地面から大量の何かが出てきた。

 

竜司の前だけではない。

 

横や後ろ、四方八方至る所に植えてあったヒマワリの根っこから手足がある植物のような妖怪が出てきた。

 

花化け。

 

獰猛な植物の妖怪で、草木に似せた体の一部から外界の養分を吸収し、土中で球根のように過ごしていた妖怪。

 

つまりこれがお館の言っていた兵士。

 

それらが幾万も牙や爪を見せ、竜司を囲んでいた。

 

だがそれを見ても、竜司は特に表情を変える事はなかった。

 

それをお館は都合よく解釈した。

 

「ふん……怯えすぎて声も出ぬか。他愛ない。瑠妃を一撃でやったと言うから期待していたのだがな……殺れ」

 

そして手を前に向けて合図して、一部を竜司に襲わせた瞬間。

 

 

「連続普通のパンチ」

 

 

ズバアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァン!!

 

「なにっ!?」

 

一気に竜司を襲った全ての花化けは無惨な肉片に変わり果てた。

 

あまりにも一瞬の出来事に、お館は開いた口が塞がらなかった。

 

(なんだっ!? 今奴は何をした!? 魔術?いや魔力は感じなかった。妖術も同じくそれらしい気は感じなかった……)

 

お館は懸命に原因を探るも、恐らくその答えに辿り着く事は無いだろう。

 

最初から“素手で撃退した”という手段を捨てていたから。

 

竜司は特に何の疲れも見せず、お館に言う。

 

「おい、いきなり酷いじゃねぇか。こっちは話し合いに来たって言ってんのに」

 

それを聞いてお館はピクンと体を揺らすと、怒りに体を震わせ竜司に怒鳴る。

 

「酷い?酷いのはどっちだ!?」

 

そして魔具である本を開き、呪文を唱え、ある現象を起こす。

 

「だったらお前にも見せてやる。この丘を蝕む“真実”と………卑劣な人間の本性を」

 

本から発せられる光がさらに増し、竜司を飲み込んだ。

 

竜司は一応光から目を腕で隠す。

 

そして光が止むと、竜司の周りの光景は大きく変わっていた。

 

美しいヒマワリ畑が見るも無惨なゴミ置き場に変わり果てていたのだ。

 

「………ん?なんだこれ!?」

 

あまりの変わりように流石の竜司も驚き、慌てふためく。

 

その時、何処からかお館の声が響く。

 

「くく……わかるか?このゴミの山が一体何なのか。人間が私の丘に作ろうとしているモノ《公共施設》………その正体はこれだよ。人間はこの魔女の丘に巨大なゴミ捨て場を作るつもりなのだッ!わかるかこの悔しさ……怒りと憎しみが!私はもう100年以上生きている。ふもとの街がまだ小さな集落で、ここには人間など足も踏み入れぬ頃か「長い」……えっ?」

 

お館は積年の恨みや動機等を竜司にぶつけるように話すが、長い話が嫌いな竜司にとっては途中からどうでもよくなったようで、たった一言でぶったぎった。

 

そのことに、お館は間抜けな顔を晒した。

 

「長い………20文字で簡潔に!後、アンタの怒り憎しみ話されてもよくわかんねぇよ」

 

この一言が更にお館を怒らせた。

 

「くっ……やはり貴様も同じだな!ヒーローとは名ばかり!! 後からやってきて我がもの顔で森を切り拓き、生物を殺し、挙げ句はゴミ捨て場にする人間どもとッ!ふざけるなァァ!!」

 

お館は本に手を置くと魔法を発動。

 

すると花化け達が一斉にお館に群がり、段々と巨大な何かを形成していった。

 

それを竜司はジッと、どうでもよさげに見ていた。

 

「100年以上生きてきた……その永きにわたり磨き上げてきた真の魔力を見せてやろう。私を本気にさせた事を後悔するがいい」

 

そしてそれは完成した。

 

お館を中心に花化け達の群がりによる巨大な一匹の怪物が出来ていた。

 

もはや異形。

 

とてもじゃないが話し合いができる雰囲気では無かった。

 

そこに紫をだっこして、背中からカラスのような黒い翼を6枚生やした瑠妃と、萌香をだっこして、サキュバスとしての正体を現した胡夢がやって来た。

 

萌香と胡夢が驚きの声を上げる。

 

「なにあれ……」

 

「最早怪物じゃない!」

 

「まさか……!?」

 

それに検討がついた瑠妃は必死に叫んでお館を止めようとする。

 

「ダメェーーーッ!! お館様ァァ!!」

 

瑠妃の声が聞こえたのか、巨大な怪物の上に下半身を沈みこませていたお館は瑠妃に優しい顔を向けて言う。

 

「瑠妃……私はもう今さら後には退けないのだ」

 

そして今度は竜司に獰猛な顔を向ける。

 

「私は人間を憎む!私は人間を殺す!街を滅ぼす!私は人間に復讐するッ!止められるものなら止めてみろ!! ヒーロー天青竜司ぃぃぃぃ!!」

 

巨大な怪物を操作し、木々を薙ぎ倒しながら竜司に向かってくるお館。

 

萌香が叫ぶ。

 

「竜司逃げてぇぇぇぇぇ!!」

 

「もう遅いわァァァァ!!」

 

お館の言うとおり、既に距離は完全に詰められていた。

 

そしてお館が動かす異形が竜司を押し潰そうとしたその瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

「両手連続普通のパンチ」

 

ズババババババババババババババババババっ!!

 

「うぎゃあアアアアアアァァァァァァ!!!?」

 

竜司が超高速で繰り出した無数の拳の連打が怪物を細かい肉片に変え、ついででお館も殴って吹き飛ばす。

 

その際、お館の魔具である本にも当たっていたようで、本は砕け散った。

 

「………………………………えっ?」

 

当然、瑠妃は間抜けな顔を晒した。

 

絶対に止められない魔法がただの連打で吹き飛ばされたのだ。

 

無理も無い。

 

そして萌香達は「ふっ……」と、やれやれのポーズをした。

 

こうして、魔女の丘で起こった事件は無事?に終わった。

 

 

 




いかがでした?

個人的にはこの台本形式じゃないやつ、ムッチャ読みづらかったです。

皆さんはどうでした?

そして新たに高評価10を入れてくれた

英霊さん、くるみの木さん、タクミスターさん、川崎ノラネコさん、龍道 薫さん、やらないか♂さん、闇熊さん

高評価9を入れてくれた

スコルとハティさん、灼眼のシャナサイコーさん

誠にありがとうございました。

そしてこれからも高評価10、又は9を待ってます。







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