取材記録:生活保護問題対策全国会議 記者会見(2014年10月28日 於:厚生労働省)

2014年10月28日、住宅扶助・冬季加算等を引き下げられるべきとする財務省・厚労省方針に対し、生活保護問題対策全国会議では意見書を厚労省に提出しました。また、財務省財政審および厚労省社会保障審議会・生活保護基準部会の全委員に郵送しました。

この日厚生労働記者会で行われた記者会見のメモを、急遽公開します。

物価は下落してません、むしろ上昇してます

生活保護問題対策全国会議の、弁護士・小久保哲郎。要望書を手渡してきた。

要望の趣旨、1点目。生活扶助、むしろ引き下げではなく引き上げて欲しいということ。

引き下げ理由、生活扶助相当CPIによる4.78%の物価下落。しかし実際には物価上昇。生活必需品ほど。

低所得者ほど物価下落がダメージに。

今回の行き下げ、2008年と2011年比較。物価下落としている。

研究者ら(池田和彦・筑紫女学園大学教授ら)、2008年と2011年、同じ期間、同じ対象に対して比較したところ、5%以上の上昇。

むしろ引き上げられるべき。物価変動を理由にするならば。

2点目。住宅扶助。基準部会の委員たちは最低居住面積基準への準拠を求めているが、厚労省は「満たされていないから守らなくていい」というスタンス。もし生活保護受給者に対しては一般の基準以下でよいとするならば差別。

実態からすると、現行の住宅扶助基準、生活保護の住の実態、極めて劣悪。むしろ引き上げが必要。これは基準部会に示された資料でも明らか。

(自分たちの)意見書でも引用しているとおり、生活保護の住、最低居住面積基準を満たしているもの、住宅扶助上限額内では13%。40%以上は二項道路に面しているなど危険。

生活保護の住はゼイタクだという実態はないことが今回の調査で明らかに。

住宅扶助基準上限額>一般低所得層の家賃実態 という財務省の資料。上限と実態を比べるからおかしい。生活保護受給者の家賃実態と一般低所得層の家賃実態を比較すべき。2012年「新仕分け」の資料には、むしろ生活保護の家賃の方が低いという資料もあるのに。今回(財政審資料)、恣意的。

家賃CPI。家賃実態を反映していないという実態。より実態をあらわす家賃指数からすると、むしろ横ばいあるいは増加傾向。

神戸大学・平山洋介教授(住宅が専門)、低家賃住宅が減っているため、家賃はむしろ上昇。

以上からすると、住宅扶助基準を下げるという根拠は何ら無い。むしろ、車椅子利用者、多人数世帯にとっては、現行の住宅扶助基準額ではまったく足りない。上げるべきだ。

次、冬季加算。11-3月、暖房費。「出しすぎ、沖縄ではいらないはず」という趣旨のグラフが出されている。からくりがある。冬季は11-3月。地域内の差を比べている。月別の灯油の購入額の比較を見ればわかるとおり、寒冷地で灯油を多く買うのは10月-5月。冬季は11-3月ではない。それ以外の月にも相当の支出。必要ない地域と比較すべき。恣意的なデータの取り方。

沖縄、政府資料では冬季加算の必要性、マイナスになっている。夏の方が光熱費必要だから。夏季加算の必要性。

以上の点から、今回またさらに住宅扶助・冬季加算がターゲットに。根拠ない。データ、結論先取り、非常に恣意的。その結果をまとめ、厚労省に提出。基準部会委員・財政審委員にも郵送。

多数の漏給者を含む貧困層の生活と生活保護基準を比較すること自体がおかしい

東京都生活と健康を守る会連合会、坂口忠男。

生活扶助のときも、住宅扶助のときも、一般低所得者との比較という段取りだった。第一十分位の一般低所得者と比較。中には要保護者が含まれている。この検証のしかたを認めると、生活保護基準は検証のたびに引き下げざるを得なくなる。そこを問題にして検証に異論を唱えている。

第一十分位、病院で亡くなった高齢者、病院から葬儀場に送って霊安室で一晩、24時間後に火葬して遺族に。二十数万円かかる。それを貯金している人は生活保護を受けられない。この貯金に手を付けないために生保を受けない高齢者多数。

厚労省調査、捕捉率15.3%(厚労省)~20%とされている。15.3%をとると、850万人以上が漏給。その人々と生活保護を比較して「生活保護が高いから切る」。これが認められたら、生活保護制度そのものが成り立たなくなる。

多くの高齢者、訪問医療の医師やヘルパーが来るときには暖房を入れている。しかしアポ無しで訪問すると、光熱費を使わずに布団をかぶって寝ていたり。その人々、これ以上は生活を切り詰められない状態で今のアポートに住んでいる。都営住宅、増設できない政策なので移れない。わずかな年金で年を越し続けている。そういう人の生活と生活保護基準を比べて正しい数字が出てくるのか。よろしくお願いします。

車椅子生活者にとっては、今の住宅扶助基準でも1~2万円低すぎる

川西浩之。身体障害者で生活保護を利用している。

14年間、ヘルパーを入れて生活。狭い部屋に住んでいる(障害者の)仲間もたくさんいる。障害の重い方々。車椅子を外したら姿勢が安定しないので、広いスペースが必要。フローリングの床がないと、車椅子の重みに耐えられない。介護者が絶えず必要。介護者が寝る部屋も必要。一番の問題点、家主も「床が痛む」「(手すりで)壁が痛む」などと何色。家賃基準引き下げられたら、どうやって暮らしていけばいいのかと不安になる。狭い部屋、圧迫感を感じる。引き下げには反対。

ケースワーカーから見ても、生活保護利用者の住は「健康で文化的」以前

K。名古屋市でケースワーカーをしている。

現在129ケースを担当。名古屋市上限、38500円。風呂のあるアパートには住めない。最近、ワンルームに住めるようになってきたが、それでも15%くらいが風呂なし。銭湯があればよいが、銭湯激減。校区内、町内にあることが少ない。間取り、一間が圧倒的。複数世帯でも二間、たまに三間。公営住宅の多いところではやや様子が違う。トイレのない住まい、今の区域ではない。過去に担当した区域にはトイレ共同のアパートあった。老朽化、木造。ガス・灯油禁止。煮炊きは電気かカセットコンロ。日当たりが悪くて昼間から電気をつけなくてはならなかったり、極めて暑くなるので夏の日中は電気代節約のため部屋にいられなかったり。食費を減らす人多い。

一間しかないと、友達も呼べない。孤立する。「健康で文化的な最低限度の生活」かどうか。灯油代も不足。

地域差がある。名古屋市、南部には共同トイレの住宅も。震災のときに倒壊しそう。大家さん、「出てってほしいけど立退き料も出せない」など。引き下げはしないでいただきたい。担当しているケースを見ていての実感。

「生活保護の住」が人を殺してもいいのか?

もやい理事、稲葉剛。

住まいの問題に取り組んでいる。昨年話題になった脱法ハウス。窓なし、安全性の欠如した住まい。社会問題に。

昨年支援した千代田区の脱法ハウス。生保利用。千代田区内でアパート見当たらない。低家賃の住宅ない。福祉事務所の職員が「マンボウ」の脱法ハウスを紹介。

国交省調査。脱法ハウス居住者のうち11%が生活保護利用。今の基準でも脱法ハウスに住まざるをえない人がいる実態。

車椅子利用者などの障害者。特別基準1.3倍でも住める物件がない。1万円、2万円を生活扶助から持ちだして住んでいる。

多人数世帯。特別基準1.3倍で、何人もの子どもも含めて一緒に住んでいる。

今の住宅扶助でも足りていない。そのことを踏まえてほしい。

そもそもの問題は住宅政策の失敗。公営住宅を増やしてこなかった。老朽化したら建て替えるが全体の戸数は増やさない。倍率、十数倍。多くの高齢者は民間賃貸を探さざるを得ないが、高齢者、母子世帯、障害者に対する入居差別多い。その結果、劣悪な住居に住まざるを得ない。

今年1月(?)新宿区で起こったアパート火災。23名死亡。うち19名(?)が生活保護。福祉可物件。他の人が見向きもしないような物件だけど、そこに住まざるをえなかった。

さらに住宅扶助基準を減らすと、そういった老朽アパートに住まざるを得ない人々が、火災、災害時に命を落としかねない。そういう観点から取材を進めてほしい。

財務省、厚労省、さまざまな統計を出してくる。昨日の財政審資料、垂れ流しのような報道もされている。そのカラクリ、資料で解説した。統計の詐術にだまされない報道を。

2014年11月5日には院内集会も予定

院内集会、11月5日。物価上昇と、どのように低所得層の暮らしが打撃を受けているかについて、データに基づく講演を予定。また生活保護利用者のアンケート分析。北海道、新潟、長野などの寒冷地を中心に、当事者に来てもらって発言してもらう。ぜひ来てください。

稲葉さんが言ったように、政府、恣意的なデータで引き下げに誘導しようとしている。ぜひ正確なデータにもとづいて報道して欲しい。

(生活保護問題対策全国会議による院内集会の案内

質疑:政府が提示した統計の読み方を中心に

Q:(氏名・所属、聞き取れず)

2013年決定の生活扶助引き下げ、厚労省側の根拠と池田教授らによる反論について。

先日の基準部会で出た「13.1%」をどう見ればよいのか?

もし住宅扶助基準や冬季加算が下がると、どういうことが起こるか?

A:

(小久保)詳細は池田教授に。13.1%は「現在の住宅扶助基準でも、最低居住面積基準を満たす住宅を確保できる水準ではない」ということ。低すぎる。

(K)87%は最低居住面積基準以下の住まいに住んでいるということ。自分の受け持ちケース、単身者は6畳くらいのワンルーム。台所兼用の1メートルくらいの廊下、トイレ、風呂。最低居住面積基準以下。それが大半。最低居住面積基準を満たしているところに住んでいるケース、10%以下、数%だと思う。住宅扶助が下がったら、住宅扶助から持ちだして家賃を払わなくてはならない。転居指導を求められる。新規に生保受ける人、風呂付きのところに住めなくなるというふうになる。

(川西)転居指導、強まると思う。精神的な圧迫。でも基準を満たすアパートがないので転居も難しい。

(小久保)現在でも冬季加算足りてない。下げられると、命に関わるような問題も出てくるのでは。派遣法などでもいろんなことが続いている。生保でも。きちんとフォローして記事にしてほしい。住宅扶助のうえに、住宅扶助、冬季加算と命に関わるところ。低所得層が生きられなくなる。今のところ基準部会委員は反対。そこを踏まえて記事を書いてほしい。