「ハサミの天ぷら」の正しい(?)作り方
2014年9月30日、回転すしチェーン店で、アルバイトの男性が調理場で「ハサミの天ぷら」を作り、シャリに乗せて写真をツイッターに投稿。
いわゆる「バカッター」騒ぎになりました。
問題点は何で、どうすれば解決できるのでしょうか?
「ハサミの天ぷら」の問題点
私は、この手のおバカが大好きな人間です。
しかしながら、ツイッターで流れてきた写真を見て、
「これは、いけませんよ」
と思いました。食品衛生的に。
食品衛生面からの問題点は
- プラスチック部分のあるハサミを使用したこと
- ハサミ表面の脂溶性成分を除去しないで揚げたこと
の2点です。
プラスチックを揚げちゃダメですよ
握り部分に使用されているプラスチックは、おそらく揚げ油で変形したり溶けたりするでしょう。
以後のお客さんは、溶けた成分の混じった油で揚げた揚げ物を口にすることになります。
その溶け込んだ成分が、食品や食品添加物と言い張れる成分であるかどうかは全く不明です。
場合によっては
「客に毒を食わせた」
ということになるかもしれません。
金属表面には何が塗ってあるか分かりませんよ
「全体が金属で出来ている、オールメタルのハサミならいい」というわけでもありません。
ハサミ等の刃物には、最終工程で錆止め加工がされていることが多いです。その錆止め加工を含め、常温で舐められた場合の安全性くらいは確認されているはずです。
でも、室温25℃と揚げ油の約200℃は、全然違う世界です。
約200℃の揚げ油と錆止め剤が反応したら、人体に有害な何やらが生成されるかもしれません。
ハサミ表面のコーティングが剥がれて油の中に散乱するかもしれません。
それらは当然、食品でも食品添加物でもありません。
「客に異物を食わせた」または「客に毒を食わせた」は、飲食店としては、やはり非常にまずいことです。
オールメタルのハサミを、おうちでよく揚げて、洗ってから天ぷらに
では、どうすれば、少なくとも「客に毒を」の可能性のないオフザケが可能でしょうか?
オールメタルのハサミを、ご自分のおうちで、よくよく揚げましょう。200℃で10分とか。
これで、揚げ油に溶ける可能性のある脂溶性成分は揚げ油に溶けます。
さらにそれを水と洗剤でよく洗い、乾燥させて揚げ油を表面に塗り(なにしろ錆止めがまったくなくなっている可能性があるわけですからね)、清潔を保持して厨房に持ってきましょう。
このように、あらかじめ油でよくよく揚げておいたハサミを天ぷらにすれば、問題は
「ハサミが天ぷらにされてシャリに載っている」
のみです。
少なくとも、揚げ油が汚染されること・汚染された揚げ油で揚げた食品を客に出してしまうことは防止できます。
結論:高校までの理科・技術家庭科の先生、頑張ってください!
以上、せめて高校1年までの理科と技術家庭科の知識が身についていれば、思い浮かびそうなことばかりです。
身近なことにこそ、ちょっとした悪ふざけにこそ、科学の確かな知識と応用のセンスを育んでおきたいものです。
「バカッター」やらかすことの抑止力にはなりませんが、「バカッター」やらかしたときに犯罪扱いされたり訴訟に発展したりするリスクは最小にできるかもしれません。
学校で「ハサミの天ぷら」ノウハウについて教えるわけにはいかないかもしれませんけど、もうちょっと毒にならず薬にはなるようなネタは、たくさんあるでしょう。
特に、学力がそれほど高くない生徒さんたちは、高校1年の理科が
「学校で習った最後の理科」
になる可能性が高いです。技術家庭科は、もうちょっと後でも鍛えられる機会がたくさんありますけど。
というわけで、50歳の元理系オバハン(理科の教職免許あり)は、
「一生の宝ものになるような理科の知識を、高校1年で、ぜひ身につけさせてあげてほしい」
と思うのでありました。