生活保護のよくあるコメントに答えてみました(2) 自分自身について

2014年8月22日に公開した「生活保護のよくある誤解に答えてみました」は多数のアクセス・コメントを頂戴しました。

内容についてのコメントに答える前に、今回は自分自身についてのコメントに答えておきます。「どういう人間が発言しているのか」という情報は、やはり重要でしょうから。

民間企業に勤務した経験、けっこう長いです

まずは、こちらのFBコメントに回答しておきます。

川崎毅嗣

みわよしこ、こいつ民間企業で働いたことねえだろ。

最低賃金でも労働基準守られてりゃ、そりゃあまだ理想的な職場だよ。

たとえブラック企業の存在が別問題だとしてもだ。

世の中の労働者が実際にどんな労働条件、人間関係の中で働いてるか知らな過ぎて失笑モノ。

端的にいえば世間知らずの頭でっかち。

モノ書いて人に見せるなら精神年齢あと20歳上げてからな。

昨日 1:23

私は高校を卒業して以後、働いていなかった時期がほとんどないんです。まとまった期間働いてなかったのは、大学入試直前くらいですかねえ? 

しかも、かなりの期間を会社等の組織で送ってきました。

もちろん、雇用されていた時期には、天引きでがっつり納税していました。

民間 1年(ソフトハウスでプログラマとしてアルバイト)

半官半民 3年(研究所の常勤アルバイト・常勤嘱託)

民間 2年(ややブラックな教育機関のアルバイト)

民間 10年(封建的大企業の正社員・この時期に企業内研究者だった)

民間 2年(ベンチャー企業のドキュメントエンジニア・パートタイム)

民間 5年(教育産業の非常勤講師)

民間 1年(ブラック企業のパートタイムSE)

公共 1年(国立大学の研究アシスタント)

非常勤の仕事が重なっていた時期もあります。

このあとは、そろそろ50歳という年齢も考慮して、「組織に雇用される」という形態はなるべく取らないようにしています。

そもそも女性である上に、障害者となると、それだけで求職にあたってはかなり不利になります。

今後は年齢とともに、「雇用されて働く」はさらに難しくなっていくわけです。

日本の高齢者福祉に期待できない以上、可能な限りは働き続けたいと思っています。

そのためには、50代前半という若干の若さや体力に期待できる時期に、雇用されることにこだわらずに自分のスキルや知識を磨き、実績を積むことが重要。

そう考えて、現在はフリーランスでいます。

この選択が正しかったのか正しくなかったのかは、向こう20年や30年経たないと分からないと思います。

それは、現在は雇用されることを選んでいる方々にとっても同じことではないでしょうか。

生活保護を利用した経験はありません

次、ツイッターで頂戴したmentionです。

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「永遠に眠りから覚めなくていいぜ」とは「死んで欲しい」ということでしょうかね? まあ、小学校の卒業文集に「早く死んでくれ」と書かれたりしました。数年前にも高齢者に指差されて「こんなの生かしといたらいけない」と言われたりしたこともありました。「他人に『死ね』と平気で言う方が日本には少なくない」ということには慣れております。

私、現在のところ、生活保護を利用した経験はありません。中途障害者になって、それまでの職業のスタイルを維持できなくなってあっという間に困窮し、福祉事務所で申請を進められたこともありますが。

その時は迷っている間に大きな仕事の案件がいくつかまとまり、結局、申請する機会はありませんでしたけど、

「権利なんですから、利用してください」

と言って申請書を手渡してくださった杉並区の福祉事務所の方には、今でも感謝しております。

その申請書を「いざとなれば」とお守り代わりにして、頑張ってくることができました。

私が生活保護を権利として大切に考えること、大切にしなくてはと行動していることの背景は、「利用に至らなかった人までも支えてきた制度である」と身にしみていることにあります。

このことは2013年、「シノドス」のインタビューでもお話しました。私が生活保護の申請を勧められた経緯も。よろしければ、そちらも読んでください。

生活保護の現実はどうなっているんだろう――最後のセーフティーネット・生活保護の意味『生活保護リアル』著者・みわよしこ氏インタビュー

私は生活保護利用者であったことは(今のところ)ありませんが

「私は生活保護利用者ではない/利用したことはない」とは、あまり言いたくないんです。これまでは、あまり言ってきませんでした。

言えば「生活保護利用者の方に対する差別」と解釈されるリスクがあります。

生活保護利用者の方は、世の中の偏見を内面化して自分を責め苛んでいることが少なくありません。そういう状態にある方を傷つけるリスクも、できれば可能な限り避けたいと思います。

しかし、このFBコメントを見た時には「配慮のしすぎだったのかなあ?」と考えてしまいました。

清水 充

白井様

その通りだと思います

自分はお恥ずかしい話ですが働けなかった時期がありましたので社会に対して憎悪を抱いていた節があり、みわよしこさんの信者でした

でも、ある日ある人から「その人って実際に生活保護を受給した事のある人でも無ければ別に貧困に喘いでいる訳でも無いのでしょ?適当に弱者見つけて悲劇的な話だけ集めて本出しているだけじゃないの?その人が貧困に喘いでいる人と衣食住共にしているのならともかく何かあったら逃げ出すと思うよ」

最近はこの人はヒーローになりたがっているだけなのかなと思っています

昨日 0:57

私が生活保護問題に取り組み始めたきっかけは、拙著「生活保護リアル」のまえがきにも書いたとおり、

「日常的に生活保護を利用している友人たちの福祉事務所等への付き添いや近隣トラブルへの介入などをやっていたけれど、東日本大震災後、要請依頼があまりにも増えて、仕事を圧迫するようになった。そこで、要請が少しでも減るようにと、ライター稼業の中で取り組むことにした(友人たちは、信頼できる障害者団体等につないだ)」

です。こちらの多忙もあり、だいぶ直接支援は減りましたが、それでもゼロにはなっていません。

今月も2回、福祉事務所への付き添いをしました。なにも交渉のためではありません。本人が落ち着いてケースワーカーさんに困り事をお話するために、付き添いは結構役立つんです。

生活保護を利用している友人たちの住まいに行ってお茶させてもらうこともありますし、その友人たちが遊びに来ることもありますよ。

「ヒーローになりたがっているだけと言いたいなら、どうぞ」

としか言いようがありません。別に宗教団体のトップになりたいわけじゃなし、信者は不要です。

それに、女性はヒーローにはなれないんですよ。なれるとして、ヒロインです。私の場合は容姿に問題がありすぎて、それも無理でしょう(笑)

障害者福祉は利用しています、まずは生きてナンボ

私が障害者であり、障害年金を含めて障害者福祉を利用しているということに対するFBコメントもありました。

ゆさ こをゐち

AZ Keiei Co.LTD President

差別する訳ではありませんが・・・

プロフィールに「2007年に障害者手帳取得」と。

この方はもしかして「障害年金受給者」では?

保護の一環を受給してるなら、生保の悪口は書きません。

よって、この手記は「土俵に乗ってない」そんな気がします。

昨日 3:09

はい、障害基礎年金を受給しております。それが何か? 

障害者福祉がないと、障害者は生きていけません。

それは

「近代都市である以上は、道路は舗装し、上下水道は整備され、誰もが無料で(あるいは低いコストで)利用できる」

と同レベルのことです。

誰かの税金で誰かに作ってもらった道路や上下水道の恩恵に与っていない人はいません。

与る恩恵の内容が、私は健常者と少し違うだけです。

このことを持って「納税者のお世話になっている人」と言いたい方は、当然おられるでしょう。

この問題については、また別途エントリーを設ける予定です。

現在の日本の社会保障制度が持続可能かどうかについての議論と、人間を「社会を支える人(納税者)」「社会に支えられる人(福祉制度利用者)」に二分する考え方が妥当かどうかは、別の問題ですので。

本人が保険料を支払っていても、障害年金受給は悪なんですか?

生活保護差別のつもりはありませんが、障害年金の受給は、本人が年金保険料を支払っていたことが条件になります。私はもちろん支払っていました。満額を支払えないときには減額・免除の手続きを取っていました。また手続き漏れで支払っていなかった期間も若干ありました。減額・免除・支払っていなかった期間の分、私の支給額は減額されています。

年金はあくまでも保険、生活保護は最低生活保障です。

異なる制度に異なる考え方があることに何の問題があるでしょうか?

いずれにしても、自分が障害年金を頂戴しているということと生活保護への意見を結びつけて考えたことはありませんでしたので、上記のFBコメントにはびっくりしました。

障害年金は誤解が多いです

他の方のFBコメントにも、障害年金制度に関する誤解に基づくものがいくつか見られました。

障害基礎年金の場合、20歳前に発症した場合には、例外として、本人が年金を支払っていなくても障害基礎年金が受給できます。ただ、この場合、「本人が支払っていなかった」を理由として、就労収入があれば減額あるいは停止がありえます。

また精神障害では、就労するとすぐに年金が減額や停止の対象となり、「働いても収入が増えず、働いたら損」という状況につながることが問題となっています。「働いても収入が増えない」では就労インセンティブとして機能しませんが、「働いても年金がもらえる」は逆に「だったら自分も精神障害者を自称して働く」という被雇用者の選択、さらに「だったら社員に精神障害者を自称させて労働ダンピング」という雇用者の選択につながる可能性がありますので。

年金制度は複雑です。

身内に先天性障害者や幼少で病気・ケガのため障害者となった人がいない限り、20歳前発症の場合の障害基礎年金と就労所得の関係を知る機会はないでしょう。

現在、精神障害者に対する障害基礎年金がどのように運用されているか、就労とはどう関係しているか、精神障害者の就労が促進されて現在どうなっているか、おそらくは正確には知らない方の方が多いでしょう。

偏見をぶつける前に、知る努力をしてほしいと思います。でも、知らせる努力をどれだけしても「言い方が悪い」「それでも自分のほうがしんどい」という声がたくさん、ということになってしまうんでしょうね、ふぅ(ため息)。

まあ結局、自分や身近な人間の切実な問題になるまで、関心を向けようとも思わないものなのでしょう。私もそうでしたから。

激動が続く障害者福祉、現状をとらえるだけで大変

上のFBコメントへのお返事です。

Ken-iciro Shibuya

引用元を読んでみましたが、内容がちぐはぐですね。経歴を見ると、>2005年に運動障害が発生したことから、社会保障に関心を向けはじめた(2007年に障害者手帳取得)。と有りますから『身体障がい者福祉法』と『生活保護法』を混同しているようですね。特に『身体障がい者福祉法』は給付内容が所持する等級によって異なるうえに『障害者年金』はまた管轄する法律が異なっていますから間違いが起きやすいですね。フリーライターとのことですが取材不足と何を書きたいのか分かり難い、『下手な文章能力』が足を引っ張っていますね。

昨日 6:58

根拠法をプロフィールにいちいち書く必要があるとは思いませんし、障害者福祉は所得保障としての障害年金を含むと考えるのが通常です。でも、二点指摘しておきます。

  1. 身体障害者福祉法と、その障害者福祉の具体的内容を定めた法律あるいは制度は別です。法律・制度については、2000年代に入ってだけでも3回、大きな変化がありました。ここでその詳細は書きません。
  2. 障害者福祉と生活保護制度には、関連はありますが、基本的に全く別の制度です。

生活保護制度と障害者福祉の関連をいうならば、

  • 障害者の所得保障がまったく不十分(障害基礎年金<生活保護基準)なため、生活保護以外の選択肢のない障害者が多いという問題
  • 障害者の介助を確保するための制度として、生活保護に「他人介護料」が含められてきた経緯(簡単に言うと、「生活保護を利用しなければ介助を確保できない」に近い時期があったということ)

など、非常に多くの問題を考える必要があります。

もしご関心がおありでしたら、関連書籍を読んでみてください。Amazonで数多く見つかります。

先ほどのFBコメントへのお返事は、このようなものでした。

ゆさ こをゐち

AZ Keiei Co.LTD President

Ken-iciro Shibuyaさん こちらにまでコメント頂き有難う御座います。下手な文章になっている理由は、仰る通り「身体障がい者福祉法と生活保護法の混同」・・・つまり「自己弁護の手記」が理由なんでしょうね。これでライターを名乗ってるんですから「笑止千万」極まりありません。

23時間前

まあ、勝手に笑っていていただきましょう。

(後記:ゆさ氏はご自分のブログに「妙なオバさんが論ずる生活保護」というエントリーを設け、議論もそこで続けているようです。ご関心ある方はどうぞ)

他人のことはわからない、もちろん生活保護利用者のことも

FBコメントでは、体型に関するご意見まで頂戴しました。

橋本清平

栃木県 小山市

おばさん何言ってるのが、第一印象で、怒りしか感じ得ない。体型を見て下さい。  いかに楽な生活をしているか???こんなおばさんが何を言っても説得力なし。※自分も年金・全年(41年)払い込み貰える額は生保と同額。今更遅いが、遊んでいて生保貰った方が良かったと、思うこの頃です。

確かに体重は多いですよ。

薬の副作用ですとか、身体を動かすことに困難があるため運動によるカロリー消費が極度に少なくなりがちなことですとか、そういう背景があってのことなのです。下半身は慢性的に浮腫してますしね。

それでも体重は増やさないように管理、なるべく減らすように心がけています。少しずつですが減ってはきています。

もともと、身体を動かすことは非常に好きで、2005年に運動障害が発生する以前はスポーツ中年でした。

今でも機会があればプールで運動を楽しんではいますが、いかんせん、その機会を作るのが難しく、

「出張先でちょっと時間があって、近くにバリアフリーの公営プールがあるようだったら、入ってみる」

程度、回数でいえば年間2~3回が精一杯です。

慢性的な身体のだるさを抱え、体力気力を適切に配分しながら一日13時間程度は労働しているわけです。それを「楽な生活」と言われても。

体型がふくよかなだけで「楽な生活」「何を言っても説得力なし」とする方だったら、生活保護利用者であることがはっきりしている方が何を言っても「楽な生活」「何を言っても説得力なし」なのでしょうね。

言うべき言葉が見つかりません。

悪口には慣れていましたが

ツイートもFBコメントも、これまで頂いたもののほとんどには目を通しました。

正直なところ、吐き気がして、気分が悪くなりました。

今の日本で生活保護制度を非難しないということは、そういうことなのでしょう。

人間の活動のすべての基盤である「生存」を大切にしたいと思っただけで、「非国民」と呼ばれ「死ね」と言われる覚悟、場合によっては本当に殺される覚悟が必要なのかもしれません。

まあ、このくらいでメゲてられてません。生活保護を利用しているご本人たちは、もっと辛い思いをしているわけですからね。

次回予告

生活保護利用者、あるいは何らかの福祉を利用している障害者等に対する視線が厳しい背景は、「自分のほうがしんどい」「自分はもっと厳しいのに頑張っている」という方々が多すぎることにあるのでしょう。

「生活保護は楽、頑張ってるとかえってソン」

という現象が本当にあるのかどうか、あるとすれば実情はどうなのか、生活保護までは行かない低所得層が利用できる支援はなにもないのか、少しまとめてみようと思います。