JAXA (宇宙航空研究開発機構) は、人工衛星やロケットの開発・打ち上げで広く知られていますが、それだけがJAXAのミッションではありません。ロケットで宇宙へと打ち上げられた人工衛星を使って地球のデータを収集し、解析を行い、地球の今を伝えることも JAXA のミッションのひとつです。そして、みなさまにJAXA の活動を広く知ってもらい、「宇宙から地球を見つめること」、「宇宙へ活動の場を広げること」の重要性を伝えることも JAXA の大切なミッションです。


今回、JAXA は Google Earth 上でロケットや人工衛星について学ぶことができるコンテンツ( Google Earth Voyager  ストーリー)を公開しました。このJAXA のGoogle Earth Voyager ストーリーは、全 3 章で構成されています。ロケットがどのように宇宙に飛んでいくのか、人工衛星が宇宙で何をしているのかなど、画像や動画を見ながら楽しく学ぶことができます。


ここからは、各章の概要について簡単に紹介します。


1) ロケットで宇宙へ
人工衛星はロケットに載せられて、宇宙へと運ばれます。上の画像は、ロケットを組み立てる大型ロケット組立棟のストリートビューです。


鹿児島県の種子島には、日本最大のロケット打ち上げ場を有する「種子島宇宙センター」があります。JAXA の人工衛星の多くは、この種子島宇宙センターでロケットに載せられ、宇宙に運ばれています。第1章では、この種子島からストーリーが始まり、ロケットの組み立てと打ち上げに必要な施設や、ロケットが宇宙へと飛んで行く様子、宇宙に届けられた人工衛星を地上から支えるチームの仕事などを知ることができます。


2)さまざまな「目」で地球を見ると・・・


JAXAの人工衛星「だいち」は地表の起伏を観測することができ、立体地図の作成に役立てられています。立体地図は防災や科学研究、教育、ビジネスなど様々なことに利用されています。


人工衛星には、衛星ごとに観測できる範囲の広さや見え方が異なる観測装置(センサー)が載せられています。センサーの見え方の特徴(例:雨の分布を見ることができる、地面を立体的にみることができる、雲を透過して見ることができるなど)を活かして、人工衛星は防災、地図の作成、気候変動の監視など様々な目的に利用できるデータを集めています。第2章のストーリーでは、宇宙を飛ぶ人工衛星から地球がどのように見えているのか、そしてそれぞれの人工衛星がどのような役割を担っているのかを知ることができます。


3) 地球を”まるごと”見る


宇宙から地球全体を観察できる人工衛星を使うことで、森林 / 非森林エリアを区別し、地球全体の森林面積を把握することができます。


茨城県つくば市にある JAXA の地球観測研究センターは、人工衛星が観測した地球全体のデータを国内外の研究機関や大学の研究者などに提供しています。地球観測研究センターが提供しているデータは、地球環境変動の把握や地球環境への人間活動の影響などの研究に役立てられています。第3章では、数多くあるデータの中から、地球全体の森林面積、海面の温度、降水分布、二酸化炭素濃度の変化を見るために作成されたデータについて紹介します。


以上の全3章からなるJAXAのGoogle Earth Voyager ストーリーでは、これまでにない新たな経験をすることができます。みなさんが今、操作しているPCやタブレット、スマートフォンの中から、ロケットと共に宇宙へ飛び出し、人工衛星と一緒に地球を眺めてみませんか。


また、JAXAのVoyager ストーリーを教育現場でも最大限に活用できるよう、JAXA 宇宙教育センターが 5 つのレッスンプランを作成しました。レッスンプランは Google Earth Education Japan ページで公開しているので、Voyager ストーリーと組み合わせて教育にご利用ください。


Posted by JAXA 第一宇宙技術部門  河村耕平・鉱崎誠哉