「独り部屋が欲しい!」
ちょうど1年程前、娘は突然この一言を私に伝え、ふくれた顔をしたことを、今でもはっきりと思い出します。当時小学6年生だった娘は、2歳離れた弟と一緒の部屋がずっと嫌で、それが積み重なっていたみたいでした…。思春期というやつです。。
娘がそう言ったことをきっかけに、私と妻はよく話し合い、マンションの売却を決意し、新しい広い家を探す意思を固めました。当時住んでいたマンションは2LDKで、子どもたちには1部屋を二人で使ってもらっていました。私たちも手狭になってきているのは気づいていましたが、売却に関して2点程大きな壁(問題)があると考えており、決断には踏み切れないでいました。
その壁とは、
1、築年数38年(2017年当時)の古いこのマンションがすぐに売れるのか?
2、購入時の金額(3280万円 ※諸費用込み)からどれくらい値下がりしてしまっているのか?
私は、この2点の壁を乗り越えるべく、売却に関して様々なことをイチから調べ、行動を起こしました。その結果、目標であった「娘が中学に上がる2018年の春までに、購入時よりもなるべく値下がりさせないように、マンション売却を完了させる」ことができました。
この記事では、私がどうやってマンション売却を成功させたのかを、6つのポイントと5つの心構えを交えながら解説いたします。そして、あなたの売却希望価格の参考になるように、我が家の物件を例に、売却時にかかってくる諸費用も算出してご紹介いたします。
この記事と私の体験が、マンション売却を検討している方の成功を後押しできれば幸いです。
1.マンション売却の流れ
私がまず調べた事は、売却の流れでした。娘が中学に上がるまでに半年ほどしか時間がありません。まずは、どんな流れでどれくらい時間がかかるか調べる必要がありました。
以下が流れとなります
私の場合、10月から情報収集を開始しました。12月頃から売り出しを始め、最初の内覧希望者が現れるまでに時間がかかりましたが、翌年1月の後半から内覧希望者が増えてきました。そして、ついに6人目の内覧希望者に購入をしていただけました。
「情報収集」を始めてから5ヶ月(2017年2月)で売却が完了したことになります。
次章では、この流れの中でも特に重要な箇所を中心に、私がマンション売却を希望通りに進めることができた6つのポイントをご紹介していきます。ここを読んでいただければ、希望の価格とスケジュールでの売却が叶うかもしれません。
2.マンション売却を成功させる為に徹底した6つのポイント
マンション売却を成功させるために私は6つのポイントがあると考えました。ここでいう「成功」は、
1、希望の時期に売却する
2、希望の価格で売却する
と定義しました。私がこの両方を叶えた方法をお伝えしていきます。
2−1 情報収集を徹底する
私がまず徹底的に行ったのは情報収集です。なぜなら、この情報収集が、最終的に希望時期と価格、そして売れるかどうかを左右するはずだと考えたからです。(この情報収集には1ヶ月程かけました。)
例えば、
・この土地での売却相場はいくらなのか?
・築◯年だとどれくらいの売却価格になるのか?
・どんな人が住むのに適したエリアなのか?
・この近辺に他に売り出している同じような物件はあるか?
などは妻と手分けしてしっかりと調べ、パソコンで共有し合ってまとめました。
相場を調べる時に参考にしたのが、会社の先輩から教えてもらった、レインズマーケットインフォメーションというサイトです。
このサイトは、地域別に、平米単価や間取り、築年数などの情報を一覧表示することができます。 また、過去2年間の市場動向がグラフ表示で閲覧できるといった機能もある為、価格の推移を知ることができる非常に便利なサイトなのでとてもお勧めです。
このサイトや、大手不動産会社の物件検索サイトを巡って、
・どのくらいの値段であれば買い手が興味を持ってくれるのか?
・どういう方が興味を持つのか?
・競合となるマンションはどれくらい多いのか?
などを、調べました。
このことにより、私のマンションがおおよそいくらくらいなら売れるのか?という目安を知ることになりました。
2−2 一括査定サイトを利用して良い不動会社を見つける
次に行うことは、不動産会社を探すことです。不動産会社を探すには、一括査定サイトを利用することをお勧めします。なぜなら、売却価格だけではなく、不動産会社の対応や考え方を比べることができ、自分に合った不動産会社を選ぶのに役立つからです。
私は最初、単純に売却価格の比較の為に査定サイトに依頼したのですが、そこで3点ほど気づいたことがあり、一括査定サイトを利用して良かったと感じました。それは、不動産会社によって
・最初の連絡方法がバラバラ
・価格がバラバラ
・査定報告の仕方がバラバラ
ということです。
会社によってこんなにも特色が出るのですね。元気のいい声で電話をくださって、口頭で査定をいただけた会社があったり、丁寧なメールでご案内いただけた会社もありました。その中でも、私は1つの会社に驚かされました。査定を1札の分厚いファイルにまとめて、査定金額の根拠や分析までして送って来てくださった会社があり、そこに大きな信頼を感じました。
営業マンにお会いした時も、親身になって協力してくださる姿勢を感じました。分からないことは親切に教えてくれて、要望には真摯に応えてくれるなど、大変助かりました。電話の折り返しやメールの返信も早く、遅い時間にも対応してくださり、本当に良い営業マンに出会う事ができたなぁと今でも感謝しています。
一括査定サイトを使うと、売却価格はもちろんのこと、各不動産会社のサービスや、自分に合っているかどうかを比較検討することができます。ぜひ利用することをお勧めします。
2−3 売出し価格の決定
私は、一括査定サイトで不動産会社を比較し、非常に素晴らしい営業マンに出会うことができました。私はこの会社と媒介契約を結び、仲介を依頼しました。そしてようやく「売り出し価格」を決める段階に入ることができました。
最終的には、この信頼する営業マンと何度も相談して、売り出し価格を決定することになります。これまで自分なりに売却価格は考えてきたつもりでしたが、やはりプロは違いますね。価格を決める際は、3つ大きなポイントがあることを教えてくださいました。
・「売りたい価格」と「売れる価格」のギャップを埋めることが重要
・値引き交渉分をあらかじめ持っておき、少し高い価格を設定する
・末広がりの「8」を意識する
一つずつご説明いたします。
■「売りたい価格」と「売れる価格」のギャップを埋める
売りたい価格と、売れる価格(相場)にはギャップがあるとのことでした。これが離れすぎていると売ることが難しくなると。相場をしっかりと見極め、売りたい価格と売れる価格のギャップを無くした価格設定を行うことがコツと教えてくださいました。
■値引き交渉分をあらかじめ持っておき、少し高い価格を設定する
購入希望者は、値引き交渉をしてくることが多いです。「これくらい下がったらすぐに買うのになぁ。」と言ってくることもよくあると、営業マンは言いました。その時の為に、事前に少し(数十万円程度)高い価格を設定しておくと良いとアドバイスいただけたことは、私が理想とする売却価格で売るためにとても役立ちました。
■末広がりの「8」を意識する
売却価格は「8」を意識することで、売れる確率が上がるかもしれませんとも言われました。物やサービスに価格をつけるときによくやる手法ということでしたが、どういう事かというと、例えば、売却価格を3,000万円と設定するよりも、2,980万円に設定した方が、見た目に割安感が出て、ユーザーの心理的ハードルが下がり、購入への検討をしてもらいやすくなると言われているそうです。
私の最初の希望販売価格は、購入時の総費用3,280万円から280万円だけ下げた3,000万円でしたが、営業マンの上記のようなアドバイスの元、2,980万円から売り出す事に決めました。
購入希望者との最終的な価格交渉の結果、この希望よりも少し低い2,800万円で売れることになるのですが、このアドバイスが無ければ、購入希望者もなかなか見つからず、おそらく希望通りの期間では売却できなかったと思います。本当に良いアドバイスをありがとうございました。
2−4 自分が売却しようとしているマンションのアピールポイントを整理する
次に行ったことは、売却しようとしているマンションのアピールポイントを、妻と営業マンと一緒にまとめることでした。これを行うことで、次のステップ「内覧」時に見に来てくださった方に対して、このマンションの良さをスラスラと伝える事ができるようになると、これまた営業マンにアドバイスいただけたからです。
これを伝える事によって内覧に来てくださった方に、住んだ時のイメージを持ってもらえて、購入意欲を高められることが多いと言っていました。
私たちは、以下のようなことを、具体的なエピソードを交えてまとめました。
・この家の住み心地(3人で住むならちょうどいい広さ!)
・この家に住んで良かったこと(日当りよく、洗濯物がよく乾く!朝が気持ちいい!)
・他に無い、この家だけの特徴(庭付き!ガーデニングが楽しい!)
・近隣にある施設、お店のこと(スーパーが近い!治安がよい!近くに公園があるから子供を遊ばせられる!)
・隣人や他の階に住んでいる方のこと(お隣さんはとてもやさしいし、管理人さんはいつも気持ち良い挨拶をしてくださる)
・この家に住んでいて気づいたデメリットと、具体的改善方法(少し騒音はあるけれど、気になるのは最初と、窓を開ける夏だけ!次第に気にならなくなる!)
私や妻は、これから来る内覧希望者に対してこのようなことをまとめ、いつでもスラスラと伝えられるよう練習しました。
2−5 内覧時はおもてなしの心を持って対応する
内覧は、おもてなしの心をもって、誠実に対応することを意識しました。これは、私と妻、お互いにずっと考えていたことでした。なぜなら、内覧希望者は、ある意味お客様です。お客様をもてなすのは当たり前のこと。私たちの気持ちが伝われば、きっと購入を検討してくれるよね、と。
具体的に言えば、内覧希望者が来る際には、私たちは以下のようなことを行いました。
・出来る限り部屋はきれいに、掃除をしておく
・部屋を広く感じてもらえるよう片付けをし、生活感を無くす(モデルルームのイメージ)
・嫌なニオイが無いかチェックする(特に、玄関・トイレ・キッチン・お風呂場)
・部屋は明るくして印象を良くする
・部屋は暖かくしておく(冬だったので暖房をつけました。夏ならエアコンをつけ涼しくしておきましょう)
・スリッパを用意する
・飲み物を出す
・こちらから全ての部屋を案内し、収納場所やクローゼットも全て見せる
・案内時は、良い点と悪い点を正直に話す
・相手の日程に出来る限り合わせる
・何度でも気軽に内覧しにきていいことを伝える
過剰に行う必要は無いと感じましたが、内覧希望者に対して気持ちよく内覧してもらい、そして、気持ちよく検討してもらう為に、誠実な心で対応することを心がけました。
そのおかげか、来てくださった方達は、スムーズに内覧を終えることができ、全員笑顔で帰っていただいた記憶があります。
2−6 価格や条件の交渉を行う
ついに!内覧希望者の6人目が、ついに「買いたい」と具体的に申し出てくださいました!!その方は私と同い年(30代前半)くらいのご夫婦。子供はまだいないそうでしたが、近々検討しているとのことでした。
喜んだのもつかの間、価格交渉が始まることになりました。そして、ここが最後の難関だと感じました。向こうにもできるだけ安くしたいという希望があるのでしょう。色々な事を交渉材料として出してきました。(実際には先方の営業マンから)
「入り口すぐの部屋のドアに穴が空いていましたが、それは入居前に修繕してくれませんか?できない場合、購入価格を下げられませんか?」
「引越できる日はいくらでも調整できるので(早くも遅くも)、その分安くできませんか?」
「リビングの天井についているスポットライトが2箇所切れているようでした。引き渡しまでに新品の電球に取り替えておいてください」
「トイレの換気扇が壊れているようでした。修繕しておいてください」
など。
ここで私は、入り口すぐの部屋のドアの穴と、トイレの換気扇の修繕をしない代わりに値下げに応じました。値下げに応じた理由としては、おそらくですが、心理的に、これを逃すと売れ残ってしまうという恐怖があったのかもしれません。
また私と妻は、この家の最低売却価格を2,800万円に設定していました。担当営業マンからアドバイスをもらっていたからです。
「値下げ交渉に応じずにいると、いつまでも売れ残ってしまう可能性があります。ですので、値下げ交渉分を考慮した、ここまでなら下げても良いという、最低売却価格をあらかじめ決めておき、購入希望者の出方を見て、柔軟に対応することが売却のコツ」であると。
売却希望時期が迫っていたこともあり、200万の値下げ交渉に応じ、その他の細かな対応も行うことを約束しました。購入希望者にはご満足いただけ、晴れてこのご夫妻にマンションを2,800万円で売却することが決まりました。
3.マンションを売却する際の重要な5つの心構え
売却を決意して、購入希望者が現れるまでの約5ヶ月間、毎日が大変でした。
「本当に売れるのだろうか?」
「このまま売れなかったらどうしよう」
「金額も時期も妥協しなければいけない状況になったりしないだろうか…」
そんな感情が渦巻いた5ヶ月間でした。
ここでは、私が経験したこの5ヶ月間で得た5つの心構えをお伝えしようと思います。行き詰まってしまった際に少しでもあなたの手助けになれば幸いです。
3−1 売却には時間がかかる!焦りは禁物!
売却には時間がかかることを理解しておいてください。前述していますが、平均して3〜5ヶ月はかかるものですし、市場が盛り上がる時期というのも存在します(後述)。ですので、売れる気配が無かったとしても、焦らずじっくりと待つことが重要です。
3−2 不動産会社の担当者は「パートナー」という感覚を持つ
不動産会社の営業マンとの関係性を良いものにすることも重要です。特に、「依頼主」という接し方ではなく、あくまでも「パートナー」という感覚で接することをお勧めします。なぜなら、営業マンは、あなたのマンションを売却し、スムーズに買い手に引き渡すため、尽力してくれます。あなたの態度が横柄であったならば、果たして全力でがんばってくれるでしょうか?
気持ちよく、そして、力になってもらえるように、日々の挨拶やお礼はもちろんのこと、「頼りにしている」「あなたが担当で良かった」という気持ちも伝えていき、「一緒に売却を目指すパートナー」の関係を作り上げましょう。
3−3 売却の狙い目は2〜3月
売却が成功しやすい月は、一年の中でも2〜3月だということを認識しておきましょう。
私の担当の営業マンに説明いただいたのですが、4月の新生活に向けて、新しい家を探す方が多くなるとのこと。なるほど納得でした。逆に、4月は新生活が始まってしまっているので、途端に売れなくなる傾向にあるともアドバイスいただきました。4月以降は購買意欲が下がる傾向にあるため、売却価格を下げなければ売れないような状況になってしまう可能性もあるとのことです。
スムーズな売却を目指すなら、この2〜3月を逃さないようにしてください。1月からすぐに売り出せるよう、年を越す前から準備を進めることをお勧めします。
3−4 室内は見た目良く整えておく
売却すると決めてからは、室内は常に綺麗を保ち、破損や汚れがある箇所は早めに修繕しておくとスムーズな売却につながると思いました。これは私のある種、失敗からくる心構えです。
前述していますが、内覧時に、破損箇所や不具合を指摘され、少し嫌な気持ちになりながら対応した記憶があります。これは気持ちの良い売却につながりません。
ここをしっかりと対応しておけば、内覧希望者に対して、「次に住むあなたが快適に入居できるように、綺麗にしています」という思いが伝わるはずだと私は思います。それが結果、売却につながると感じています。
3−5 内覧に来てくださった方には、ここに住んでほしいという気持ちを持って接する
購入を検討している方が来る内覧時には、「ここに住んでほしい」という気持ちを持って接することが大きなポイントとなります。なぜなら、買ってほしいという欲を出してしまうと、それが相手につながり、セールスを感じてしまうからです。
家でなくても他の商品でも良いのですが、強いセールスを感じると、逆に買う気が失せてしまった経験はありませんか?
質問には、噓偽り無く真摯に答え、この家の良い点を素直に伝えましょう。また、こちらから先にデメリットを伝えることも重要です。逆に信頼感を与えることに繋がります。その際、どうやってデメリットを解消しているかも伝えると、更に信頼感が生まれることでしょう。
セールスをするのではなく、「本当にいい家だから住んでほしい」という気持ちを持って応対しましょう。
4.我が家のマンション売却時の諸費用
この章では、最後に気になる諸費用についてご紹介します。
我が家のマンション売却時の諸費用を例として、どれくらいの費用がかかったのかをお伝えしていきます。
<必ず発生する費用>
・仲介手数料
・売買契約車時に印紙税
・引越し費用
<場合によってはかかる費用>
・抵当権の抹消費用
我が家のマンションを2,800万円で売却した時の諸費用
仲介手数料 |
97万2千円 |
印紙税 |
1万円 |
抵当権の抹消費用 |
3万円 |
引越費用(10万円前後) |
10万円 |
合計 |
111万2千円 |
今回発生した諸費用は111万2千円となりました。
つまり、今回、私たちが売却を行ったことによって得た金額は、売却価格2,800万円ー売却時の諸費用111万円2千円=2,688万8千円となりました。
価格を決定する際には、この手数料がかかることも認識しておくことが重要です。この諸費用を考慮し、営業マンにご相談の上、売却希望価格は決定してみてください。
まとめ
娘の一言から始まったマンション売却。営業マンにも尽力いただきましたし、主に内覧の案内をしてくれた妻、そして、ここまで我慢してくれた子どもたちに感謝でいっぱいです。
非常に長く感じましたが、みんなで一緒に乗り越えた5ヶ月間でした。現在は、少し背伸びをした価格のマンションを頑張って購入し、晴れて念願の(娘が)一人部屋での生活を始めることができています。
マンション売却は、マンション購入時と同じくらい人生の中で重要なイベントだと思います。できるだけ自分の希望通りに売れるようにしたいと誰もが考えると思います。
この記事が、マンション売却の成功の一部になれば幸いです。
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