障害者割引は「トク」なのか? - 障害年金不支給率の地域差に関する報道を受けて

本日、「障害年金の不支給率に地域差」という報道がありました。

 病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる国の障害年金で、申請に対する支給・不支給の判定結果に都道府県間でばらつきがあり、不支給の割合に最大約6倍の差があることが24日分かった。

(略)

 年金を受給する権利は本来、どこに住んでいても平等に保障されなければならないが、地域によっては4人に1人が申請を退けられている。受給できるはずの障害者が多数、対象外になっている可能性がある。

出典:障害年金、支給判定に地域差 不支給割合の開き6倍(47NEWS)

この報道を受けて、以前、個人ブログに掲載した文章に若干の加筆を行い、こちらに掲載します。

2013年12月、とある海辺の村での出来事

私は身体障害者手帳(肢体不自由・二級)を所持しているので、公共交通機関で障害者割引(一種)を受けることができます。

先日、宿泊した民宿(民宿以外に宿泊施設の選択肢がない地域でした)の玄関に車椅子を停めておいたところ、やってきたご近所の方が民宿のおかみさんに

「障害者だからって障害者手帳を錦の御旗みたいに出して、どこでも割引を受けて行きたい放題」

というふうにおっしゃっていました。

私のことを言ったわけではなかったのかもしれませんが、私に言われているのと同じようなものです。周囲に、他に明らかに障害者だと分かる人がいたわけではありませんでしたから。

そういうことは日常的に直接言われたり、間接的にいやみったらしく言われたりしてます。

ですから、そういう目で見られることへの一定の「慣れ」は私にあります。

しかし、私はその民宿に、妥当な対価を支払って宿泊していました。特別な割引料金を適用されていたわけでもなんでもありませんし、障害ゆえにサービスを多くお願いしていたわけでもありません。

それなのに、なぜ、そんなことを言われなくてはならないのかと情けなくなりました。

私は、用事があるふりをして、ご近所の方が障害者手帳に対する怒りをぶちまけつづけている玄関先に近づきました。

そして、ニッコリ笑って

「こんにちは、おじゃましてます」

とご挨拶しました。その方は、息を呑んで

「あ、あ、こんにちは」

というふうに言われました。

おかみさんは、私の顔を見て、ぎょっとしたような申し訳なさそうな顔をしていました。

しかし、私が別室に去った後も、その方は障害者割引に対する憤懣をぶちまけておられました。

「おそらく、このご近所さんは実力者、あるいは陰険陰湿で何をするかわからないような人。そして、おかみさんは何も言えない立場にあるのだろう」

と考えることにしました。というより、自分にそう言い聞かせました。

おかみさんが、この無遠慮すぎるご近所さんをたしなめず話題を切り替えようともしなかった理由について、

「おかみさんもまた、(女性で、単独行動をする)障害者は何を言われてもしかたがないと思っている」

という仮説を、自分の心のなかで「ありえない」ということにするために。

そんなに障害者はトクをしているように見えるんですかね?

正直なところ、トクというほどのトクはしていない上に憤懣をぶちまけられて、損をしているような気がするんですけど。

というわけで、今回は交通運賃の障害者割引について書くことにします。

1. 障害者に対する運賃割引の適用条件・割引率は、各社まちまち

交通各社のホームページに記載があります。

ふだんの行動パターンによっては、障害者割引の恩恵はほとんど受けられない場合もあります。

必ずしも、「障害者手帳を見せれば何かいいことがある」というわけではないのです。

2. 障害者割引が適用されるのは運賃のみ(鉄道の場合)

JRの障害者割引は、1種の場合50%です。

しばしば

「健常者の半額で旅行できる、いいなあ」

と誤解されるのですが、障害者割引は特急料金や寝台料金等には適用されないのです。

いくらか安くなるのは事実ですが、半額にはなりません。

3. 単独行動する障害者に対しては、障害者割引の適用条件は厳しい(鉄道の場合)

一番厳しい(たぶん)JRの場合、一種となる障害者に対しては、確かに運賃は50%です。

しかし適用条件があります。

単独乗車の場合、100km以上の乗車が必要です。

介助者が同行している場合には、隣の駅までの130円(2013年12月現在)区間であっても半額になりますが、単独行動する障害者には厳しいのです。なんでかなあ?

しかも、割引対象となる介助者は1人までなのです。呼吸器使用などで常時2人以上の介助者が同行している場合にも、2人目・3人目……の介助者は運賃割引の対象となりません。

何を意図して、どういう考え方にもとづいての障害者割引だったのか、なんとも理解に苦しみます。

ただ、この適用条件も会社による温度差があります。

つくばエキスプレスの場合は、単独乗車であっても障害者割引が適用され、運賃は半額になります。

4. バス・地下鉄の障害者割引は各社まちまち

東京近郊の場合、都バス・都営地下鉄・都電などの都営交通は、無料乗車券の交付を受ければ無料になります。でも私の在住する地域では、都営交通をあまり利用する機会がないんですよね。都バスも走っていません。

というわけで、無料乗車券の交付は受けていません。普通に料金払って乗ってますよ。

東京に旅行に来た障害者も、たぶん同条件のはずです。

「そもそもバスや地下鉄に乗り倒すことが目的」

「就活などで長期滞在する予定がある」

というのでない限り、わざわざ無料乗車券の交付を受けるようなことはないだろうと思います。

関東バス・西武バスは半額です。東京メトロには、単独乗車の場合の障害者割引はありません。

4. 航空機国内線の障害者割引は、そんなに安くない

ANA・JAL・SKYの障害者割引運賃は、通常運賃の60%です。一種の場合、介助者一人までは同額になります。介助者と二人で、通常運賃の120%。これが「障害者特権」に見える方は多いようです。

でも、あくまでも、通常運賃に対する割引です。この「60%」という比率は、概ね 株主優待割引+株主優待券の実勢価格 と同程度です。

各航空会社の用意している早期予約割引運賃・包括旅行割引運賃などの方が、ずっと安いのです。

そして、その割引運賃に対して、さらに「障害者だから、さらにお安く」ということはありません。

株主優待割引と同程度、それ以上に安くなるわけではない「優遇」は、羨ましがられるようなものなんでしょうか?

さらにLCCでは「車椅子など大型の補装具を必要とする障害者は、実質的に乗れない」に近いこともあるようですが、あまり詳しくは知りません。ANA・JAL・SKYでも充分に乗降機は大変なので(いやこちらもですがエアラインさんも)、人員・機内スペースを削減することでコストダウンしているLCCに乗ったら、さらに大変だろうと思うんです。

仕事の移動で時間が読めなくなる事態は、なるべく避けたいです。

(ちなみに2010年夏の仙台・石巻行き以後、観光を主な目的とした旅行は一度もしていません)

5. 航空機国際線には障害者割引はない

意外に知られてないんですが、国際線には障害者割引はありません。

障害者に対する「優遇」は

「(手荷物として預ける)車椅子の重量は、手荷物の重量のカウントに含められない」

程度です。

乗降機をスムーズにするため、乗機は一番最初にしてもらえることが多いんですが、降機は一番最後。これも優遇とはいえませんね。

6. 海外の鉄道・バスの障害者割引は、あったりなかったり

私、あまり詳しくはないんですが、

・障害者は無料(ブエノスアイレス市バス)

・障害者割引運賃の設定があり、同行者にも適用される(ニューヨーク市バス)

・そもそも障害者割引がない(米国で経験した鉄道・地下鉄)

など、さまざまなパターンがあるようです。

障害者割引がない場合も、背景にあるものは必ずしも「障害者を甘やかさない」といった日本人ウケする話ではなく、

「障害者の交通に関する予算は、障害者割引ではなく、障害があってもなくても問題なく利用できるインフラづくりに突っ込んだほうが有効」

といった判断であったりします。さらに、地元の障害者に対しては、無料パスが発行されている場合もあるようです。

7. 障害者割引の利用は、結構面倒くさい

日本の場合は、障害者手帳の提示が条件です。

当たり前といえば当たり前ではあるんですが。

障害者手帳は、日本の障害者本人にとっては、パスポートに準じる重要な証明書なんです。

おいそれと出したくありませんし、紛失・盗難の可能性も減らしたい。

というわけで、だいたいはカバンの奥にしまい込まれています。人によっては、ふだんは携行していなかったりすることもあります。「指先が使えない」などの理由により、自力で出し入れ出来ないというケースもありますからね。すると、単独行動をしている限りは、障害者割引を受けられないわけです。通りすがりの人に出し入れしてもらうわけにもいかないし。

また精神障害者・知的障害者の場合、

「障害の種類を(手帳の種類によって)知られたくない」

「◯◯障害者であることを周囲の人に知られたくない」

というニーズもあります。ところが、

「バスの運転手に手帳を提示したところ、氏名のページをマジマジと見られた上に読み上げられた」

といったトラブルが結構あるんです。

私自身も、バスの運転手・地方のJRの駅員に

「障害者手帳の全ページをじっくり見られ、フルネームで名前を読み上げられた」

という経験を持っています。必要ないでしょうが!

というわけで、写真つき・割引種別(一種または二種)記載の「障害者乗車証」といったものを、障害者手帳と別に発行してもらえると、大変ありがたいと日々思っています。それ以外の情報は、少なくとも切符の購入や乗降車介助の手配には必要ないはずですから。

「いや障害種別くらいは分からなくては」

というご意見もあるとは思いますが、障害種別が分かったところで、必要な介助まで分かるとは限りません。いずれにしても

「本人と意思疎通の上、何が必要なのか聞く」

というステップは必要ですし、そのときに障害種別を聞く必要はないはずです。

もう一つ。

JRの長距離路線で障害者割引を利用するときは

・本人が

・障害者手帳を持って

・「みどりの窓口」に行き

・申込時に全区間の旅程を確定する

が、一応は必須となっています。

出張前のドタバタしているときに、窓口で1時間も2時間も待たなくてはいけないこと、大変なストレスです。

でも、誰かに買いに行ってもらうこともできないし、ネットで申し込むこともできません。

「割引を諦めて時間を得るか、時間を支払って割引を取るか」

の二択となることも少なくありません。

8. 障害者手帳があっても、障害者の公共交通機関利用は結構面倒くさい

車椅子利用の場合は、このようになります。

・路線バス

まず、停留所で停まっていただく必要があります。車椅子を見たとたんに、見て見ぬふりをして走り去られること、かなりの頻度であります。

車椅子スペースに乗客が座っていたら、その乗客に移動または立ってもらって、スペースを確保していただきます。ここでトラブルになったり乗れなかったりすることがあったりします。車椅子のために席を譲ることを絶対に拒む方が、少なからずおられるからです。高齢者であったり妊婦であったり。

さらに、スロープ(たいていは後ろドアにある)を出していただきます。

はっきり言って見世物になりながら、スロープを使って乗車します。

さらに路線(箱根登山バスとか)によっては、所定の手段で車椅子をがっちり固定します。

降りるときも、同様の手間が発生します。

互いに時間がかかるだけならまだしも、露骨にイヤな顔をされたり憤懣を態度に示されたり、あるいは「スロープを出して固定する」といった安全上必須の手順を省いて時間短縮を計られることも。

バスにはなるべく乗りたくないので、私は3km程度だったらバスに乗らず、道路を走行します(京都市バスは例外です。経験から、「少なくとも運転手さんに不愉快や危険を味わわされることはない」と学習しています)。

・高速バス

海外も含めて、スロープがあって車椅子ごと乗れる車両を見たことがありません。

トランクに車椅子を積んでもらっての乗車となります。

日本だと、乗せてもらうまでに交渉が必要な場合も少なくありません。

(米国の場合、障害を理由に乗車を拒むことはできないので、介助が必要なら介助が手配されます)。

また、車椅子を積めるサイズの車両が

「走っていることは走っているんだけど、一日一便」

ということも、ままあります。

こういう情報、聞けば教えてもらえるんですが、

「海外からも多くの観光客が訪れている観光地だから大丈夫だろ」

と甘く見ていると、痛い目に遭います。

・鉄道

まず、有人窓口で「乗せてほしい」と意思表示します。

原則、最終的な降車駅までの介助の手配がついてはじめて乗車可能になります。

駅員さんにスロープ板を出していただいて乗降車します。

地方路線では、数日前に申し込んでおかないと乗れない場合もあります。

また、階段しかない駅で使用される車椅子昇降機(台車式)は、スリルとサスペンスありすぎる代物です。障害者が重傷を負った事故も発生しています。車椅子運転モードのあるエスカレータを設置している駅もありますが、あまり安全とはいえませんし、足止めを食った健常者のお客さんに冷たい目を向けられるのも居心地悪いものです。

エレベータを設置するわけにはいかない駅の事情は、もちろん理解しています。車椅子昇降の仕組みは、せめて「エスカル」にしてほしいところです。

・ 航空機

最低でも、出発時刻の40分以上前にチェックインする必要があります。

日本の航空会社は「40分前」としていますが、実際には40分ではギリギリ。何かトラブルがあると間に合いません。それで次の便になることも。次の便があればいいんですが、ないと大変なことになります。

よほどのことがない限り確実に乗れるチェックインタイムは、

国内線 出発の1時間前

国際線 出発の2時間前

となります。

私は

「国内線なら出発1.5時間前、日本発の国際線なら出発3時間前、海外発の国際線なら出発4時間前」

を、空港に到着する時刻の目安としています。時間が余るぶんにはいいんですが、その余った時間の有効活用が課題となります。というわけで、「プライオリティパス」などを駆使してのラウンジ利用が必須となります。電源を確保して、PCを充電しておかないと、機内でヒマを持て余すことになりますから。

話がそれました。航空機に乗る話の続きです。

車椅子を手荷物として預け(ついでに手荷物を預け)、空港で用意されている車椅子に乗り換えます。

セキュリティチェックは、警備スタッフの手によって行われます。米国などでは、ケツの下にヤクを隠し持っていないかどうかのチェックも行われます。

しかも移動は、慣れない(航空会社の)車椅子。空港によっては(ニューヨークのJFK空港など)、自走式の車椅子の用意がなく、必ず空港係員の介助を受けなくては移動できなかったりします(嫌味の一つ二つ言わないと気が済まない空港係員にあたってしまうことも)。

これだけ悪条件が揃えば、時間もかかります。

というわけで、健常者から見たらありえないほど早くチェックインしておかなくては危ないわけです。

ついでに言えば。

フライトの前後に余分な時間がかかるということは、しばしば、一泊・二泊が多く必要になるということです。

運賃に割引がなく、宿泊が多くなるとなれば、宿泊料を圧縮するしかありません。

というわけで、特に海外ではユースホステルが第一の選択肢。食事はなるべく自炊。そういうスタイルにならざるを得ないのです。

障害者割引を受けなくても、駅スタッフ等の介助を受けなくても、障害者の交通機関利用は面倒くさい

比較的近年に営業を開始した「ゆりかもめ」「つくばエキスプレス」「富山ライトレール」、当初からバリアフリー化を強く意識していたと思われる福岡市営地下鉄など、車椅子での自力乗降車が無理なく可能な(「つくばエキスプレス」は若干コツが必要ですが)路線は結構あります。東京メトロ丸ノ内線も、車両によっては車椅子での自力乗降車が大きな無理なく可能です。

ところが、インフラは車椅子族の自力乗降車が可能なように、車椅子族が健常者と同じように移動の自由を享受できるように作られているにもかかわらず、駅係員が粘着的に介助や監視を行う路線があります。

……私は新橋駅や国際展示場駅で「ゆりかもめ」を利用するたびに、駅係員に介助されないために、バトルを繰り広げています。駅係員に見つからないようにしないと面倒なので、障害者割引も利用せず、ICカードで健常者同様に自動改札を通ります。なのに、毎回、不要な介助を押し付けられようとし、拒んだら監視されるのです。特に新橋駅は始発駅ですから、車椅子族の乗り降りが運行の妨げになる可能性は非常に少ないのですが、毎回毎回、新橋駅でバトルになります。理解に苦しみます。こちらは

「乗降車に介助も見守りも必要ないです、障害者だからといって何かをお願いしているわけではありません、だから健常者の乗客と異なる扱いをしないでください」

というだけなのです。ちなみに「ゆりかもめ」は数年前まで、多目的トイレが施錠されており、駅係員にお願いして開けてもらわなくては利用できない路線でもありました。

障害者タクシーチケットは「おいしい」か?

私は、杉並区から一ヶ月あたり8000円程度のタクシーチケットを交付されていますが、あまり使っていません。

利用条件が、私の生活にあまりマッチしていないからです。

杉並区のタクシーチケットは、東京23区+武蔵野市+三鷹市 から乗車する場合にのみ使えます。公共交通機関では行きづらいところに行くとき、行きには使えるけど帰りは使えないということです。どちらかというと、帰り(何かの都合で遅くなって終電をのがしたとか)に使いたいのですが、そういうケースは想定されていないわけです。また、公共交通機関が発達していない地方でこそタクシーを使いたいのですが、そういうケースも想定されていないのです。

なぜこういう制約があるんでしょうか。全国共通でいいじゃないですか。理解に苦しみます。

「不正利用の可能性があるから」

とかいうんでしょうか? 地域を限定しても不正利用されるときにはされますよ。

「居住地の近くで使うべきだから」

とかいうんでしょうか? だったら、子どもたちの家をたらい回しされている高齢者の場合はどうなるんでしょうか?

話がそれました。

私がタクシーチケットを利用するのは、

・遠隔地から東京(羽田空港とか東京駅とか)に深夜に帰ってきて、その日のうちに杉並区の自宅にたどりつきたい時

・何らかの事情(台風・大雪など)があり、徒歩30分~1時間程度の移動を日中に行う時。この場合は介護タクシーを利用(一般のタクシーはつかまらないため)。30分で5000円ほど。日中でなければ移動そのものを断念する。介護タクシーの営業時間はだいたい9:00-17:00。

のどちらかに限定されます。

そして、うっかりと「世間」代表のつもりでいる知人にそれを話してしまい、

「そんなことのために羽田空港から杉並区まで公費でタクシーに乗るなんて! 税金の無駄遣い! 障害者許せん!」

「そんな日に出歩くからいけない! その日に厚労省の生活保護関連の会議がある? 生活保護問題について書くからいけない!」

といった攻撃を受けたり、受けないまでも不快な表情を示されたり、それが遠因となって結局は絶交することになったりするのです。

では、タクシーチケットを使わなければいいんでしょうか? 使わなければ「不要なんですね?」と減らされますよ。杉並区では既に、新規交付を少しでも遅らせる方向で運用されています。だからここは、どんな非難にもめげず、使い切る努力をすべきところなんですが……この使いづらさ、なんとかならないものでしょうか? そして、使ったら使ったで非難されるわけです。

障害者手帳制度って、先進国としてどうなんでしょうか?

日本独特の障害者手帳制度と、障害者手帳と紐付けられた障害者割引は、国際交流の妨げにもなっています。

海外からくる障害者が日本の障害者手帳を持っているわけはなく、したがって障害者割引の対象にもならないからです。

駅の券売機で障害者マークを見た外国の障害者に「あなたは使えないんだ」と説明するときの情けなさといったらありません。私は海外の交通機関で、その国の国籍も、その国の障害者に対する証明書も持っていないのに、利用に関して困らされた経験が一度もありませんから。

同じことを、日本に来る外国の方にも経験していただきたいのに、日本の制度は、それを支える日本のマジョリティは、そんなことを許す気がないようです。

障害者割引、ないよりはマシなのは間違いありませんが

以上10点。いかがでしたでしょうか?

思った通りでしたか? 意外でしたか?

交通運賃の障害者割引は、障害者が障害によって背負わされる膨大なハンディキャップを、気持ちばかり埋めている程度のものでしかありません。

「でも障害者には障害年金が」

と言う方もおられそうです。

それも含めて、多大なハンディキャップがある状態を、ハンディキャップがない状態に少しでも近づけることの何がいけないのでしょうか?

ハンディキャップがなくなったところで、健常者より優遇されるわけではありません。やっと、同じスタートラインに立てたり、少し遅れたスタートラインに立てたり、若干のハンディキャップとともにスタートできたりするだけのことです。

障害者がトクをしているのなら、障害者の平均年収は健常者より上になっているはずです。

しかし現状、障害年金・作業所での収入・生活保護があっても、健常者の「ワーキング・プア」にも満たない収入しか得られない障害者が大多数です。

これでも、障害者手帳は「錦の御旗」なのでしょうか?

障害者割引は「トク」なんでしょうか?