生活保護のよくあるコメントに答えてみました(1) 生活保護費の用途は原則自由です、他
2014年8月22日に公開した「生活保護のよくある誤解に答えてみました」は多数のアクセスとコメントを頂戴しました。
その一部にだけでも、可能な範囲で答えてみようと思います。
今回は第一回として、個人ブログ「みわちゃん・いんふぉ」に頂戴したコメントから紹介します。
そもそもの発端
まず、発端となった、2014年8月22日に私が頂戴したFacebookメッセージです。
生活保護を語るのは難しいですね、正直、一生懸命働いて得られる収入が、生活保護費より安いことがより深刻な問題ではないかと思います。
母子家庭などで働かず、医療費ゼロ、学費ゼロ、これ以上何が必要なのでしょうか?
きれいな洋服がほしいのでしょうか?自家用車がほしいのでしょうか?
東京23区に住まなければならない必要性は何でしょうか?
生活保護を受け取らず、より厳しい生活を送っておられる方のほうが多いのではないでしょうか?
健康で文化的な生活は、ある程度の努力があって初めて得られるものではないでしょうか?
こちらに対する私の回答は、「生活保護のよくある誤解に答えてみました」をご参照ください。
生活保護費の用途は自由です
こんにちは。初めまして。yahooニュースで生活保護の記事を読みました。
生活保護受けてる全ての女性を見たのですか?聞いたのでしょうか?
中古の服を買うのがせいいっぱいですと書かれていましたが、そのような人もいれば
保護費を少し節約して普通に新品の5000円の服をお買いになられる女性もいますし、
スマートフォン契約していたり、スカパー契約しアニメやドラマなどのチャンネルをご覧になられる方もいたり、ペット(猫や小型犬)を飼っている方もいらっしゃいます。
ようするに決められた保護費の使いようです。携帯や食費、光熱費を節約して
1.2ヶ月に1回、新品のお洋服や下着、靴下、靴などを買われる方もいれば
服は節約してスマートフォンやスカパー、ペットの飼育費や食費の方にかかる方もいらっしゃいます。
そういう方々もおられるので、全ての保護を受けてる人がそうだという記事の書き方は、変に同情や反発を招くだけかと思います。
私の友達に保護を受けている方がいますが、やはり決められた保護費用内の、どこかを
やりくりし、1年に1,2回美容室に行ったり、サマーセール、ウィンターセールで上手く買い物していますよ。私は、そういうのを聞いて特別妬んだりもしなければ羨ましいとも思いません。
2014-08-22 23:15:17 みー 221.83.230.140
いずれにしても、一ヶ月あたり8万円弱(東京都内・単身者の場合)の中から水道光熱費・食費・通信費や衣料その他必要な出費・娯楽教養など「その人がその人である」を可能にする出費 をまかなうことは、容易なやりくりではありません。
ここで「生活保護なんだから飢えず凍えずでよい、通信費や娯楽教養は許されない」と主張したい方もおられると思いますが、私はそのご意見に全く賛成しません。
「もっと低いコストで生活している人もいる」というご意見もあるかもしれませんが、いったん「下に合わせる」を認めると際限なく引き下げられてしまうのが社会保障です。その影響は、老齢年金・育児支援・失業給付などありとあらゆる社会保障に及ぶ可能性があります。また、最低賃金に影響が及ぶ可能性もあります。各人、自分に関係する何か・自分が強い関心を持つ何かを守るために最善を尽くすしかないのではないでしょうか。
私は、生活保護に関しては、あくまで「健康で文化的な最低限度の生活」の内容と必要なコストを明らかにし、その給付を可能にする仕組みを考えることが本筋だと考えています。また、その方に資産が非常に少なく生活保護基準以下の収入しか得られていないのであれば、「あってはならない漏給状態にある」ということです。
私の若い友人の一人に、生活保護を利用していた精神障害者の女性がいました。数年前に事故で亡くなりましたが。
この女性は、衣服に対する関心が大変強く、部屋は衣装タンスのようでした。また、読書と音楽鑑賞を愛好していました。一ヶ月あたり2~3万円程度は衣服に、1万円程度は書籍やCD(まだCDの時代でしたから)に使っていたかと思います。
いくら障害加算がついているといっても、一ヶ月3~4万円を衣服・書籍・CDに使うと、生活は大変です。彼女は水道光熱費や食費を極度に節約していました。
極端な事例を持ちだして「いや、こういう人もいる」と言うことは、もちろん可能です。ただ私は、それを生活保護利用者の典型とは思っていません。
いずれにしても、彼女の経済生活が「健康で文化的な最低限度の生活」といえるかどうかには、やや疑問を感じるところです。台所にはいつも、お米と卵しかなかったし。改正生活保護法下では、もしかすると指導の対象となりうるかもしれません。
しかし、「保護費の用途は自由」という1998年の判例があります。生活保護世帯で子どもの学資保険という形での貯蓄を行うこと、その貯蓄を子どもの学費として使用することの是非に関する訴訟の判決文(原告勝訴)です。ちょっと長いのですが、引用します。
やりくりの範囲で、やや高価な服を購入したり美容院に行ったり伴侶動物に対する出費を捻出したりすることは、「その人がその人である」を成り立たせている重要な行動です。少なくとも「生活保護なのだから、認めない」あるいは「生活保護なのに」と言うのならば、中嶋訴訟判決を全面的に否定する必要があります。
「借金したり(あるいは就労収入隠しなどの不正受給を行って)ギャンブル」となると話は別ですが、これについてはまた別途(ただし、気が向いて余裕がある限り)。
こちらは不正受給ホットラインではありません
どうやら生活保護受給者の実態をご存じないようですね。
不正取得者の生活ぶりも逃げないで見てください。
うちのブロックにいる6世帯の受給者のうち5世帯は不正受給者です。高級車に乗り、洋服もたくさん持っているようです。
あなたが得意な弁証法を用いて質問者さんを論破して気持ちよくなるのは勝手ですが、人生の酸甘を熟知されている質問者さんの疑問にもっと真摯に答えようとするのが本当の大人です。
2014-08-22 23:04:38 玉手顕忠 106.188.228.25
そんなに問題だと感じるなら、多くの自治体が設置している(そして問題視されている)「不正受給ホットライン」に電話するなり、管轄の福祉事務所に連絡してはどうでしょうか?
「1950年生まれ、大卒、おそらくは定年まで製造業で会社員生活を全うした男性」が、私より人生の酸甘を熟知しているという根拠も不明です。私は「おそらく、そんなことはない」と思いますが、そちらについてはさておきます。生活保護問題とは直接の関係はないので。
語り口の問題でしょうか?
2014年8月22日 18時15分にYAHOOニュースで配信された「 生活保護のよくある誤解に答えてみました」を読ませていただきました。
おっしゃっていることはよくわかりますが、表現が挑戦的過ぎませんか?
このような言い方をすると生活保護受給者に反感を持っている人たちの反感をますます大きくすると思います。
曰く「生活保護利用者に恨みつらみを向けるのは筋違いです」とか「訴訟でも起こしてはどうでしょうか? もし勝訴すれば、司法のお墨付きのもとに堂々と、「生活保護なんだから、●●地域に住むな、××地域に住め」と言えることになります。 」とか「どのような屁理屈によって正当化できるでしょうか? 」とかところどころ兆戦的な?表現が出てくるのが残念です。
こういう挑戦的な表現は反感を抱いている人にとどまらず生活保護という制度に理解をしてくれている方々にまで不快感を与え理解者を減らすことにもなりかねません。
2014-08-22 23:03:50 toshi 49.98.138.171
「語り口が悪いので聞かれない」は、まあ、私に限って言えば(笑)事実かもしれません。毒舌には自信ありますから。
でも、どのような語り口で語っても、このような内容の主張は「語り口が悪い」という批判を免れません。
つまり「語り口が悪い」が事実であるとしても、「反発されるのは語り口のせいではない」という可能性が高いのです。
日本生まれの日本人ですが、何か?
アンタは中国に永住しなよ
2014-08-22 22:39:02 自分で食いぶちを稼げないなら死んだら? 114.146.242.123
行ったこともない中国、たぶんそこで生きていくことが不可能な中国に「永住しなよ」と命令されるいわれはありません。
それでも、書いてよかった
初めましてこんばんは。
記事を拝見させていただきました。
私は精神障害者で生活保護と障害者年金で生活させていただいております。
障害者年金だけではとても生活していけませんので生活保護も受給させていただいております。
生活保護者に対しては他の方からもただ飯食っているとか死ねとか言われ
良く思われているのは承知しております。
私も当然働きたいのですが身体や精神障害がありとても働くことが難しい状態なのです。
健康な身体ならば本当に働きたい…(涙)
でも出来ないので障害者年金や生活保護で助けていただいております。
この苦しみはだれにも解っていただけないのです。精神科医にも解ってもらえず苦しいです。
少しでも生活保護者のことを理解していただける方は本当に有難いです。
上手く書けないですが、私の気持ちを少しでも受け入れていただけましたら幸いです。
突然、コメントをし大変失礼致しました。
2014-08-22 21:12:10 石井 124.212.190.195
精神障害者ほど働きたがる・働くことを焦る人々もいない、と私は思っています。疾患種別にも、その人の考え方にもよることですが。
「障害者枠での就労機会は拡大しているはずだ」というご意見もあるかと思いますが、実態はまだ「働く意思があれば働き続けられるはず」という状況にはなっていません。
健常者にとっても、「ブラック労働させられずに人間らしく生活する」が容易でなくなっている現在、障害者がそれ以上にマトモな条件で働けるわけはないでしょう。
義務がどうこうではなく、「働きたい」「働ける」と思う人が人間らしい生活を捨てたり捨てさせられたりすることなく就労できることこそ、理想だと思います。障害のあるなし・どういう障害があるかに関係なく。
「産業競争力や社会活力を維持するためには人間らしい生活や労働が大切」「健全な社会を維持するためにも多様性が大切」という考え方も成り立ちうるのではないでしょうか。新自由主義のもとでは否定されたり嘲笑されたりする考え方ですが。