ゲストハウス開業における法的な手順概要
以下に記載しているのは、ゲストハウス開業における手順の要点であり、大枠の概要となります。各詳細は必ず、開業希望地を管轄する役所・保健所・消防署へご自身で確認してください。
また、以下はお役所の建築主事の方に直接ご相談させていただき、お教えいただいた内容ではありますが
2016年4月時点のものですので、法改正などがあった場合は、最新の情報に従ってください。
ゲストハウス開業において、必ず満たすべき3つの法律
(1)建築基準法 (役所へ) :用途変更について(=建物を合法に使用するために)
(2)旅館業法 (保健所へ) :営業許可について(=宿として合法に運営するために)
(3)消防法 (消防署へ) :法適合性について(=火災発生から人命を守るために)
※本来宿でない物件を宿として使う場合、用途変更(=建物の使用目的の変更)を申請する必要があります。
※各所を訪問される際に、開業希望物件の図面・地図があれば持参されることをお薦めします。
※訪問する順番は、上記順がお薦めです。お薦めする理由は、(1)にてそもそも開業希望地にて
宿の開業が可能か否かを確認できる可能性が高いため、(3)が物件ありきの話が主だからです。
▼大前提として
規模に関わらず、上記3つの法律を満たす必要があります。(=100平米を超えようが超えまいが)
必ず、開業希望地を管轄する役所・保健所・消防署の3ヶ所全てを訪問して、指示を受けてください。
▼100平米を超える物件の場合 ※もともと宿ではない物件
(1)(2)(3)を満たし、3ヶ所全てから正式に許可を得る必要があります。
▼100平米以下の物件の場合
(2)(3)を満たし、2ヶ所から正式に許可を得る必要があります。
(1)についても、満たす必要はありますが、満たしているかどうかの最終判断は自己確認となります。
(直接役所へ出向いて相談する必要はありますが、指示を受けた後の現場は自己確認ということです)
※ただし、自己確認で完了するといっても、他者から永遠に確認されないというわけではありません。
1年に1度、消防署から(3)の訪問点検が入る際に、同時に(1)が不適合と確認された場合は
消防署から役所へ通告がなされ、宿側へと指摘が入ります。
▼以前より宿泊施設として、適切に運用されていた物件の場合
(1)はすでに完了しているので、(2)(3)についてのみ、新たな情報で許可を得る必要があります。
▼違法になるケース例
× 100平米以下で(1)の自己判断が誤っているケース
× (2)(3)のみを取得して完了だと勘違いしてしまい(1)が漏れているケース
※近年では、役所・保健所・消防署が情報を共有しあい、漏れ防止対策をはじめた市町村もあります。
用途変更を進めるうえで、役に立つサイト
本来宿でない物件を宿として使う場合、用途変更(=建物の使用目的の変更)を申請する必要があります。
その際、図面が必要ですが、図面が見当たらないという場合は、図面の復元が必要となります。
さらに、検査済証という書類も必要ですが、古くに建てられた物件では
検査済証を紛失しているケースや、過去に検査を受けていないというケースも少なくありません。
その場合、建築士が現場調査を行い、確認申請書等のとおり施工されていることを証明する必要があります。
その証明をする時、証明する建築士・確認をする役所担当者との間で、認識がズレることなく
スムーズに証明確認ができるようにと作成された資料が、以下サイトに公式書類としてアップされています。
実際和歌山市でも使用され、適切にゲストハウスが誕生した実績のある書類ですので、ぜひご活用ください。
民泊とは? 旅館業法と民泊新法の違いは? わかりやすいサイト
※この項目のみ、2018年4月23日に追記しました。
民泊=住宅の全部又は一部を活用した宿泊サービスの提供、といわれることが多いです。なので、ゲストハウスが含まれることもあります。2018年6月15日以降、日本国内で民泊を行う場合には基本的に、旅館業法・民泊新法・特区民泊のいずれかが必要になってきます。
当サイトで紹介しているのは、旅館業法の許可済みのゲストハウスやホステルですが、「民泊って?民泊新法って?」という質問をいただくことがあったので調べてみたところ、観光庁が運営する「民泊制度ポータルサイト(下記)」が的確でわかりやすかったです。よければご参照ください。
・民泊とは?旅館業法と民泊新法の違いは?
・民泊新法とは?
※2018年6月15日から「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されます。人を宿泊させる日数が180日を超えない、台所・浴室・トイレ・洗面の設備がマスト、実際持ち主の暮らしのある住宅など、さまざまな要件がありますので、ぜひ上記サイトをご確認ください。
以上のように、理解ある行政の方がいらっしゃる地域もありますが
ゲストハウス開業の対応経験がまだ少なく、行政側の知識が不十分な地域もあります。
開業を希望される方々自身が「知らなかった!」で損をしたり、結果的に違法となりませんように
抑えなくてはならない要点だけでも、この場でお伝えできましたら幸いです。
※各市町村によって、各法律の詳細が異なるため、各詳細に関してはここに記載しておりません。
当サイトに直接質問をいただいたとしても、やはり適切なアドバイスはできませんので
必ず開業予定地域を管轄する役所・保健所・消防署へ、ご自身で出向いて確認をしてください。
※他、農家民宿(住宅の一部にて、客室の床面積33平米未満、災害時の避難が用意な場合などに適合)や
特区など、地域により異なる施策が存在する場合もあります。各役所・保健所・消防署にてご確認ください。