2018年08月12日
文学博士、シスターとして、悩みや苦しみを抱える人々に寄り添い続けてきた鈴木秀子さん。そんな鈴木秀子先生に、心を整え、人生をよりよくしていく瞑想と祈りの方法をお話しいただきました。
心の中で唱える魔法の言葉
(鈴木)
私たちの人生には様々な出来事が起こります。思いもしない災難が突然、押し寄せることもあります。時にその災難に翻弄され、落ち込んだり挫けそうになったりすることもあるでしょう。
しかし、どんなに海の表面が荒れていても、深海は常に静けさで満ちているものです。
私たちも心がざわめく時、決して揺れることのない内なる心を静かに見つめてみることはとても大切です。
そのためにも、私は縁あった方々に瞑想や祈りの習慣をつけることをお勧めしています。
5分程度の時間であれば、誰でもつくることができます。椅子に静かに腰掛けて、ゆっくりと呼吸をします。この時、吐く息を意識しながら「自分の中のざわつきやストレス、体の疲れ、病気などをすべて外に放ちます」と心の中で唱えます。
雑念を吐き出していくと、自然と心が落ち着いてきて、「いま、ここ」に意識が向くようになります。鳥のさえずり、風の音、外を走る車の音、時計の音。そういうものに耳を傾けていきます。
心が静まるにつれて、瞑想の途中に心の内面から何らかの思いが突き上げてくることがあります。その思いを一つでいいからキャッチしてみることです。
それは決して清らかなものでないかもしれませんが、それでもいいのです。
湧き上がってきた思いを第三者の目で観察しながら「この思いにも意味があるのだ」と自分に言い聞かせてみてください。このような瞑想の習慣をつけていくことで、自分が宇宙に生かされていることを実感として掴めるようになるだけでなく、心の奥にある魂の声を感じ取れるようになるのです。
もう一つの「祈り」についてですが、これは「大金持ちになるように」というような欲を叶えるためのものではありません。相手が最高、最善に計らわれ、幸せになるようにと思いを送ることです。
私たち人間は深いところで皆繋がっていますから、神様から愛されていない人は誰一人としていません。祈りは、相手の素晴らしさを称えることにもなります。どうか、短い時間でも瞑目し、縁ある人たちの顔を思い浮かべてその幸せを祈ってみられてはどうでしょうか。
いつしか心が穏やかになり、幸福感に満たされているはずです。
(本記事は『致知』2016年2月号 特集「一生一事一貫」連載「人生を照らす言葉」より一部を抜粋・編集したものです。人間力・仕事力を高める記事が満載の月刊『致知』。詳細・ご購読はこちら)
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AIをはじめ、科学技術が人間の存在を凌駕しかねない現代、大きな課題が私たちに突き付けられています。「人間にとって最も大切な物は何か?どのようにしたら人間が宇宙の中にあって、人間らしく成長できるか」――『致知』こそ、この問いかけに応える、力強い道しるべといえます。
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鈴木秀子(すずき・ひでこ)
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東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本で初めてエニアグラムを紹介し、各地でワークショップなどを行う。