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電池に近づくトヨタと離れるボッシュ

 車載電池への取り組みに積極的なトヨタ自動車は、展示会「スマートエネルギーWeek 2018」(2018年2月28日~3月2日、東京ビッグサイト)内の講演会で、電池を多数のユーザーでシェアする構想を明らかにした。それも自動車だけではなく、建設機械、家庭用の蓄電システムなどでも電池パックを使い回せる仕組みをつくる。サイズを規格化し乾電池のように取り替えやすくする。電気自動車(EV)で5~7年、他用途で8~10年、通算15年ほどの活用を想定する。

 トヨタグループなどのEV事業を率いる豊島浩二氏によると、最大の狙いは性能の向上に合わせて電池を交換可能にすること。電池1個当たりの容量は10k~15kWhを想定しているという。2人乗りのEVコンセプト(図A-1)には1個搭載する程度で済む。

図A-1 トヨタのコンセプト車とBoschが売却する電池ベンチャーのライン
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ボッシュは電池内製を断念

 自動車部品最大手の独ボッシュ(Robert Bosch)は、2018年2月28日、Liイオン電池セルと全固体電池セルを他社から調達する方針に決めたと発表した。これまで内製化の検討を続けていたが、断念したことになる。

 「多額の資金を投下して、いつ回収できるのか確信を得られない」(同社)。車載電池セル市場で首位となる20%のシェアを握るには初期投資だけで約200億ユーロ(約2.6兆円)が必要と試算する。加えて、数十億ユーロ(数千億円)の維持費がかかる。さらに電池セルの製造原価のうち、75%を原料費が占めることが分かったという。電池セル事業で収益を高めることは難しいと判断した。

 同社は長年、電池セルを自社生産するかどうかで迷ってきた。2012年に、韓国サムスンSDI(Samsung SDI)と設立したLiイオン電池セルの合弁会社を解消。2014年に、GSユアサと三菱商事との同電池セルの合弁会社リチウムエナジー アンド パワー(LEAP)を新しく設立した。内製化断念の決定に伴い、GSユアサなどとの合弁会社を解消する。併せて、全固体電池セルを研究していたボッシュ子会社のSEEOを売却する。