味噌と醤油はどちらも大豆からできている。
だったら、ふつう醤油しか使わないようなものに味噌を使っても、もちろんその逆もおいしいんじゃないか。
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なにしろ料理本に書いてある
じつは、この思いつきは僕オリジナルのものではない。青木敦子さんというフードコーディネーターの『調味料を使うのがおもしろくなる本』に書いてあったことだ。
この本、なかなかおもしろい。調味料の特性やレシピだけじゃなくて、「ココアにコショウをかけるとうまい」「安いアイスにエキストラバージンオイルをかけるとうまい」「料理が失敗してもケチャップをたくさんかければ結構なんとかなる」なんてコネタみたいなこともたくさん書いてある。試してみたら、その通りだった。
そんなステキな本の184ページをそのまま引用しよう。
「味噌と醤油の入れ替え」に関する文章はこれだけだ。しかも語尾が「思います。」で終わっているので、著者の青木さんも実際には試していないのだと思う。それならば、僕が試そう。
「味噌卵かけご飯」と「醤油汁」
さっそくやってみたい。普通は醤油で食べる卵かけご飯を、味噌味にしてみる。
それから味噌汁の変わりに、本だしと醤油で汁物を作ってみた。これは僕が普段味噌汁を作るときの手順で、味噌と醤油を入れ替えただけだ(他にも料理酒とか入れたらもっとちゃんとするんだろうかれど、あえてこうします)。
味噌卵かけご飯を食べてみる。これはうまい!醤油のきりっとした風味また違って、味噌のふわっとした旨味が広がる。完全に「代替可能」だ。いや、むしろ僕は味噌の方が醤油よりも好みかもしれない。
ちょっといつもと違うことを試しただけなのに嬉しい。気まぐれで通学路を変えたら、道端で大人向けの雑誌を見つけた時のような興奮だ。こういう例えは、解ってもらいたい。
ところが、醤油汁は今イチであった。いや、料理として特に問題はないのだが、味噌汁独特の「ほっとする余韻」の感覚が完全に抜けてしまっているのだ。
この余韻が抜けて、ただひたすら、味、味、味…と続いて行くのっぺりとした印象。なんだろう、中学校の頃の英語のおじいちゃん先生の発音のような、退屈な感じがする。思えば味噌というものには、抑揚があるのだな、と気いた。
いきなり人に「味噌って抑揚だよね!」っていってもちょっと共感は得られないかもしれませんが。
寿司に味噌を付けて食べる
入れ替えるのは面白いので、お昼ご飯もやってみよう。せっかくなので、いろんな種類のあるもので試したいと思い、近所の持ち帰り寿司を買ってきた。
ちなみにこれ、持ち帰りの割にはなかなか高級で、一人前1,260円する(その分うまい)。金額的にも一つ本腰を入れてみよう、という訳である。
そんな折にテレビを付けたら、事業仕分けのニュースをやっていた。「こんなに予算をつける必要があるんですか?」と、まるで僕の寿司の追求をされている気がする。いいじゃないですか1,260円くらい。
さて。寿司はやっぱり思った通り、ネタによって味噌との相性にばらつきがありました。数が多いので表でざっと説明してゆきます。
ウニに味噌付けて食べたらうまい、というのは大きな発見だった。ウニ自体が、なんだか味噌みたいなもんなのに。そして、一番まずかったのは玉子。いや、そもそも普段僕は玉子に醤油をかけて食べたりしないのだ。慣れないことはするもんじゃない。
自分としては結構な冒険をしたつもりだが、それに見合う成果はあったと思う。気を良くして、この日の晩酌も入れ替えで行くことに決めた。
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