オリラジ中田敦彦、良い夫やめた宣言は「誰も幸せにならない」と専門家が警告
中田の悩みは一般人男性でも超“あるある”
おおたさんは、父親たちのための相談サイト「パパの悩み相談横丁」を運営しておられますが、中田さんのような悩みは多いのでしょうか?
「超“あるある”です。『家事・育児をやってもやっても妻が認めてくれないんです。妻はつけあがっているんです』と僕のところに相談にくる男性はとても多いです。
家事育児ではないところに奥さんはイラつきを感じているのに、夫たちは分からなくて、ズレたことをずっとやっている。けれど育児や家事をやっているのは事実だから『文句はあるか』と、夫が自分の正しさを主張するような夫婦関係になってしまうんです」
どうしてこのようなズレは起こるのでしょうか?
「イクメンという言葉が出てきた時に、意識高い系でイクメンを目指す男性がたくさん出てきました。自分は仕事もできるし、家のこともできるという。特にSNS時代なので、そういうアピールをしたいというのもあるでしょう。彼らは自分の評価がほしい。つまり自己顕示欲を満たすアイテムのひとつとして、良い夫・良い父を演じる。それに違和感を妻が感じるのは当然の流れです。
もちろん、誰でも自己顕示欲や、アピールしたくなる気持ちは誰でもあって、僕の中にもあると思うんですけど、前面に出て覆いかぶさってきてしまうと本末転倒になってしまう。
家族が幸せになるかという観点は忘れてはいけないですね。男性であれ女性であれ、パートナーに求めるのは世間体に照らし合わせての“非の打ちどころのなさ”ではなく、“自分と向き合ってくれること” “自分たち夫婦や家族にとっての幸せとは何かを最優先に考えてくれること”のはずなんですよね。場合によっては、あえて“ダメパパ”の役割を引き受けることが、実はファインプレーだったりもするわけですよ。
ところが、“自分がいかに正しいか”“いかに優れた父親であって優れた夫なのか”を証明することにムキになる夫というのは、ちょっと残念なお父さんです。その意味では、今回“良い夫”をやめようと思えたこと自体は、中田さんにとって大きな前進だとは思います」
夫が「全部合わせる」のは妻の能力を低く見積もっている
中田夫妻のお互いにストレスをため込む状況のポイントは二つあるそうです。
「“オリラジあっちゃん”のエゴが出てしまったのだと思いますね。彼のネタ、『パーフェクトヒューマン』はけして冗談ではなく、ほんとうに完璧主義者なんでしょう。
職業人として、とくに芸人さんとしては、すごく重要な要素ですが、仕事と同じように、家庭の中での夫や父親の役割においても、完璧で文句のつけられない自分を目指し始めてしまった…と想像はできるんですね。そこに妻とのズレが生じて行くということが一つ。
もう一つは、中田さんがまったくの無意識でやっているマウンティングです。『妻に全部合わせてきた』というのは一見、思いやりのある行動ですが、実はそうではありません。心理学的には『相手をディスカウントする』と表現しますが、妻の能力を低く見積もって一方的に夫が妻に合わせてしまうんです。
これが続けば、妻は常に無力感にさいなまれます。
けれども妻は、なんとなく感じている不快感をうまく言葉にできないので、とりあえず具体的に目に付きやすい育児や家事の不満をぶつけて、夫を責める…といった関係だったのではないでしょうか。」
中田の記事公表はモラハラ?
中田さんのコラムでは、マネージャーにキレるめちゃくちゃワガママな若手女優に妻をたとえて、夫ができていないことばかり責めると描いています。そんな夫婦は、どうすればよいのでしょうか。
「根本的には、中田さんにも問題があると僕は思っていて、カウンセリングを通じて彼が自分で気付いて変わっていくしかないだろうなと思いますね。
中田さんがやっているマウンティングが無意識だからこそ『カウンセリングを受けて』と萌さんは頼んだんだと思いますよ。これって相当追い詰められた状態です。自分には手に負えない状態だと思っているため、ワラにもすがる思いでカウンセリングを受けてきてと。
誰でも、もともと未熟な部分は持っていて、みんな夫婦は多かれ少なかれ、こういった状況を経験するんですよ。中田さんが描いたような夫婦間のストレス状況も、互いに向き合ってなんとか乗り越えて行けるんです。そういう意味では決して悪いことではないんです。
けれども、福田萌さんが『自分が悪かった』と言わざるをえない状況に追い込んでしまった。これって最悪なんですよね。
萌さんは中田さんに伝えたいことが心の中にあったはずなのに、『私が悪かった』として、それを抑圧してしまったわけです。
こうなると、おそらく萌さんの心はものすごい負担を抱えてもう怖くて言葉にすることもできなくなってしまう。これは下手をすると夫婦関係死にますよ」
ネット上では、今回の中田さんの行動をモラハラと言う声もあるようですが…
「意識的でないにせよ、もしも妻を従わせることに世間の声を利用したのなら、一種のモラハラですよね。『お前が悪い』『私が悪かったです』という支配者と被支配者の関係に陥ってしまうかもしれない。
自分の知名度と影響力を夫婦の力関係に持ち込んでしまったというのは、ある意味で暴力だと思いますよ。
今後は、下手したら離婚、もしくは、萌さんが自分を抑圧し続けて冷たい家庭になってしまうと可能性もあるでしょう。幸い中田さんはカウンセリングを受けているので、これを継続していけば展望は開けると思いますけどね」
【おおたとしまさ氏プロフィール】
1973年生まれ。育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラーとして活動。著書は『<喧嘩とセックス>夫婦のお作法』『ルポ父親たちの葛藤』『受験と進学の新常識』など多数
<取材・文/女子SPA!編集部>
女子SPA!編集部
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