(改題)精神科病院「敷地内グループホーム」設置計画にパブコメを(2014年12月16日締め切り)

総選挙の結果がどうなろうとも、12月16日締め切りのパブコメに、あなたのご意見を投稿いただけないでしょうか? 

目先の対象は精神障害者ですが、すべての人の「生きる」「暮らす」と「老後」に関わっています。

精神科病院の「敷地内グループホーム」問題

パブコメ募集ページ

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(案)の御意見の募集について

内容

一言で言うと、

「精神障害者グループホームを精神科病院の敷地内に設け、そこに『退院』させる」

というものです。

このことにより、数十年にわたって問題とされてきた日本の精神科入院患者は、確かに「退院」させられるでしょう。

しかし退院先が精神科病院内のグループホームでは、形式的に「退院」させられたに過ぎません。

当面の問題点

  • そのグループホームに精神障害者たちが住んでも「地域生活」とはならない。引き続き地域生活への移行を支援するための施設ということを厚労省も認めている。一応は2年の期限付き。でも期限を守ることは義務化されていない(パブコメ募集ページからリンクされている厚労省資料による)。
  • ただでさえ地域には精神障害者の居住できる住まいが少ない。精神科病院の敷居内にグループホームを作ったら、ますます地域の住まいの確保・新規設置が困難になる(「グループホームなら空いてるから、そちらに行けばいいでしょ?」と)。精神科病院を「退院」したといっても、その後の住まいの選択肢が、「病棟転換型居住等施設(精神科入院病棟をアパートに改装して精神障害者を居住させるもの)」「敷地内グループホーム」しかなく、そのような居住施設があるために地域生活の選択が難しくなってしまうのでは、「退院」の意味が薄くなる。
  • 対象となっているのは、場合によっては数十年の長期にわたって精神科病院に閉じ込められている精神障害者たち。ただでさえ人権侵害されてきた人々に、「その人権侵害よりマシでしょ?」と、地域生活とはいえない「インチキ退院」でいいことにするとは?
  • 「敷地内グループホーム」や「病棟転換型居住等施設」に予算がつくということは、精神障害者の地域生活に対する予算が(今でさえ足りないのに!)圧迫されるということ。すると、精神障害者の居住生活は、さらに難しくなる。「入院患者を減らして地域へ」という方向性にかなう解決にはならない。

参考:「病棟転換型居住系施設について考える会」ブログ

将来の問題点:「高齢者収容施設」と化すのでは?

現在すでに高齢化している長期入院患者(やや古いのですが、2008年に入院患者の45%が65歳以上)が他界した後は、精神障害者・精神疾患患者単独では、精神科入院病棟の「空き」は埋まらないでしょう。

しかしその頃、日本は現在以上の高齢化に直面しているはずです。20年後の2035年、高齢化率は33.4%と予測されています(2015年予測は26.8%)。高齢者を効率よく「管理」する施設として、精神科入院病棟・病棟転換型居住等施設・精神科敷地内グループホームが転用される可能性に対して警戒を怠るべきではないと思われます。

そして、その可能性に対して歯止めとなりうるものは、政府側からは何一つ提示されていません。

もしかすると、生活困窮者も収容?

また個人的には、生活困窮者の収容施設と化す可能性も危惧しています。

もともと精神科入院病棟では、「作業療法」の名の下に、患者を無償あるいは非常に少ない対価で労働させてきた歴史があります。

生活困窮者に対して、

「職業訓練と生活の場があって生きては行ける。ホームレスよりマシでしょう? 居住の自由? ゼイタク言うな!」

という強制が行われる可能性もあるのではないか? と。

そういう目的に使用される可能性を捨てきれない施設は、最初から作らせるべきではないと思います。

もっともその時、生存を求めて軽犯罪を犯す高齢者から優先的にこのような施設に収容されるため、刑務所に空きができ、「生活困窮者は刑務所に強制収容」とかいうことになるのかもしれませんが……。

問題は「高齢になったとき、どう暮らしたいか」

高齢化が進む中で、高齢となったすべての人が「望むような介護と医療を」と望んでも、実現は困難でしょう。

では、何ならば最低限として確保されうるのか。その上で、高齢となった人々は、どのような選択が可能なのか。

まだ、そのような展望はどこからも示されていません。

ただ、年金・介護・医療を含む社会保障全般が危機に向かい、利用しづらくされていっていることは明確です。

財務省的には、割り当てるべき予算が削減できれば、誰がどう不幸になろうが、誰がどんな怨念の中で死のうが、知ったことではないのかもしれませんが。

少なくとも、

「これは絶対イヤ」

「良くわからないけれども、なんだかおかしいんじゃないかと思う」

という動きには、「イヤ」「ちょっと待った!」をはっきり言い、

「自分は賛成していないからね」

「決めるなら国民にちゃんと説明して、考える時間と議論の時間を確保してから」

などと示しておくことが重要かと思われます。

というわけで、

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(案)の御意見の募集について

に、どうぞパブコメをお願いいたします。

締め切りは明後日、2014年12月16日です。