今月15日の南北閣僚級会談の際、韓国と北朝鮮は今月下旬を目処に京義線の北朝鮮側区間に対する現地調査を開始することで合意したが、その具体的な日程は今も決まっていない。米国は南北間の鉄道連結が対北朝鮮制裁に違反する恐れがあるとの懸念をもっているため、調整が遅れているのがその原因のようだ。影響で今月中に予定されていた京義線の調査が中止となれば、11月はじめに予定されていた東海線の調査、さらに11月末か12月はじめに予定されていた鉄道と道路をつなぐ工事の着工式も相次いで遅れる見通しだ。
韓国統一部(省に相当)は26日、鉄道調査の日程について「韓国側は必要な準備の内容について検討しているが、日程はまだ決まっていない」「今も北朝鮮と米国との間では緊密な協議が行われている」などと明らかにした。韓国と北朝鮮は今週中に共同で調査を行う方向で検討していたが、国連軍司令部との調整がまだついていないという。京義線の共同調査を行うには軍事境界線(MDL)の通過について国連軍司令部から許可を受ける必要があるからだ。韓国政府は今年8月下旬にも京義線の調査を計画していたが、国連軍司令部がこれを認めなかったため取りやめになっていた。
韓国と北朝鮮は先の閣僚級会談で保健・医療分科会談と体育会談も今月下旬に開催することで合意していたが、これらも今のところ正確な日程が定まっていない。平壌共同宣言に「10月中」と明記された北朝鮮芸術団のソウル公演も来月以降に先送りされそうだ。ある韓国政府筋は「北朝鮮は鉄道に関しては積極的だが、それ以外の会談の提案には特別な反応がない」と伝えた。
これとは対照的に軍事分野では交渉が加速している。今月16日と22日には韓国、北朝鮮、国連軍司令部の3者による合意が取り交わされ、またこの日は南北将官級軍事会談が行われるなど、北朝鮮は15日の閣僚級会談後に開催された3つの軍事会談全てに姿を現した。韓国と北朝鮮は将官級軍事会談において、来月末までに前方の見張り所11カ所を完全に破壊することで合意した。