司馬懿は、曹丕に「孫権を呉王に封じて、劉備に対抗するべきです」と進言。曹丕は献帝の存在を気にしますが、何と司馬懿は献帝に禅譲(ぜんじょう)を迫って新しい王朝を築く事も勧めるのです。しかし、この禅譲は名ばかりのもので、曹丕の悪辣(あくらつ)な部分が多くあったので詳しく紹介しましょう。
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『第75話 退位を迫る』のキャスト
曹丕の部下が献帝に禅譲を迫っていく『第75話 退位を迫る』に登場した人物や声優さんたちは、以下の通りです。
- 献帝(漢)/禅譲に疲れ果ててしまう皇帝(声:須藤翔)
- 曹皇后(漢)/曹操の娘にして献帝の妻(声:鍋田カホル)
- 祖弼(漢)/献帝に忠義を示した男(声:横島亘)
- 曹丕(魏)/部下を使って献帝に禅譲を迫る魏王(声:前野智昭)
- 曹洪(魏)/献帝に剣を向ける将軍(声:高山春夫)
- 曹休(魏)/曹洪と共に行動する将軍(声:金尾哲夫)
- 司馬懿(魏)/曹丕に漢室の簒奪を進言する軍師(声:佐々木勝彦)
- 司馬昭(魏)/司馬懿の考えに同意する子息(声:乃村健次)
- 華歆(魏)/献帝に屈辱を与える文官(声:伊藤和晃)
『第75話 退位を迫る』のストーリー
司馬懿の進言を聞いた曹丕は、すぐに答えようとしないで、父王(曹操)と自分を比較するように尋ねようとします。なぜなら、曹操でさえ献帝には禅譲を迫らなかったからです。
曹操が禅譲を迫らなかった理由(起)
曹丕にしてみれば、偉大な父王でさえ禅譲を迫らなかったのに、自分が迫れる訳がないだろうと思っていました。しかし、司馬懿は「先王は皇帝を操るほどの方だったので、皇帝になる必要がありませんでした。しかし魏王は曹操様に及ばないからこそ、皇帝になって威光を備える必要があるのです」とさとします。
それを聞いた曹丕は「分かったぞ、話を進めてくれ」と命令したら「禅譲の際は、心得ていますか?」と尋ねられます。曹丕は「分かっている、2度辞退する。三辞の礼だ」と答えます。
司馬懿は自分の屋敷に戻ったら、司馬昭が曹丕に皇帝になる事を進言したと知ったら「それは良い、漢室は力がありません。曹丕様が皇帝になれたら、父上は丞相にもなれるでしょう」と喜びます。しかし、司馬懿は丞相になる気もなければ、自分が献帝に禅譲を迫るつもりもありませんでした。
司馬懿の冷徹な考え(承)
司馬昭は、なぜ功績をあげる機会なのに禅譲を迫らないのか聞いてみたら、司馬懿は「お前はどうしてそう浅はかなのだ?お前は司馬一族が後世まで恨まれて良いのか?」と、皇帝に禅譲を迫った事により家名に傷がつく事を恐れました。
そこで司馬懿は、曹丕に忠誠心を示したがっている華歆に禅譲を迫らせようとします。そして、献帝が朝廷に姿を表したら、そこには曹丕の部下たちが勢揃いしていました。献帝が緊張する中で、華歆は「隆盛を極めた漢室も400年で勢いは衰えているので、陛下、堯や舜の例にならって、魏王に禅譲して下さい」と迫ってきたのです。
献帝は「誰も意義を唱える者はいないのか?高祖(劉邦)は蛇を斬って挙兵して、秦を取り除き楚を倒して漢王朝を起した。この高祖はわが先祖ぞ。お前たちは漢に恩義があるのに」と憤ります。しかし華歆は禅譲しようとしない献帝に向かって「早く先祖に会いにいかれよ、そうすれば心静かにいられましょう」と侮辱。
献帝によりそう曹操の娘(転)
献帝は、宗廟(先祖の霊を祀った場所)で、曹丕の悪辣さと自分の不甲斐なさを嘆きます。献帝を心配した曹皇后は励まそうとしますが、曹一族である妻を払いのけてしまって、口から出血してしまいます。それに驚いた献帝が「すまぬ、大事はないか」と声をかけます。
それに曹皇后は「大丈夫です、私を傷つける事によって、帝の心が静まるのであれば」と答えます。所が、その騒ぎを聞いた曹洪や曹休たちが乗り込んできて、献帝を問い詰めますが、曹皇后は「お前たちは帝の臣下であろう。それでも漢室を簒奪するのか?天罰が必ずくだるぞ」と献帝を守ろうとします。
しかし献帝は「天子は操られる定め、もうどうにもならぬ」と禅定しようとします。しかし、曹丕はそれを断ってしまいます。それでも華歆たちは、さらに禅譲を迫るので、献帝は嫌気をさして、皇帝の玉璽(ぎょくじ)を渡すように命令。しかし、祖弼は「玉璽は天子の物です、賊には渡しません」と進言。
忠義を示した祖弼(結)
曹洪は「祖弼、死にたいのか!」と激怒しますが「あぁ?私は義を貫きたい。仮に禅譲したとしても、お前たちの悪名は後世まで残る、それがお前らの末路なのだ」と言い返します。それに曹洪は剣を抜き、祖弼を斬り殺します。献帝は「立派だ、位は低くても、そちら賊臣より、はるかに優っている」と言い放ちます。
しかし逆臣たちには馬の耳に念仏で、禅定するように迫って、曹洪は「血を流す事になりますぞ」と剣を向けてきたのです。献帝は2回目の禅定を行おうとしますが、悲哀を感じさせる言葉を書状にしたためてあったので、それを書いた献帝の臣下を処罰して、曹丕は禅定を断ります。
さらに華歆は「禅定は何回も辞退するのが礼儀です、三度禅定なさって下さい」と迫り、献帝は「これ以上の屈辱を与える気か」と激怒。献帝は疲れ果ててしまったので、曹皇后は心配しますが、そこへ司馬懿が臣下の礼を取って拝謁します。それに驚く献帝ですが、司馬懿は何を企んでいるのでしょうか?
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『第75話 退位を迫る』のまとめ
動画配信U-NEXTで配信されている『第75話 退位を迫る』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい(本ページの情報は2018年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください)。
三国志の名言『禅譲』
中国の歴代王朝が終わる時には、多く登場したのが『禅譲』です。日本では建国以来、ずっと天皇が君臨してきたので、なじみの薄い言葉でしょう。この禅譲とは、皇帝が血縁のある者よりも、徳のある者に皇帝を譲るものでした。
しかし、実際には力が衰えた皇帝が、力のある者に禅譲を迫られる事が多かったのです。そのような残酷に見える禅譲ですが、実は皇帝と皇帝になろうとする者にそれぞれメリットがありました。
- 皇帝の禅譲のメリット:殺されずに済む
- 新皇帝の禅譲のメリット:あまり悪名をとどろかないで済む
このようなメリットがあるのに、なぜ日本で禅譲が定着しなかったのか?それは武士の潔さが関係しているのかもしれません。実際に幕府が滅ぶ時に禅譲は行われず、武力で倒幕されていたのが常でした。
『第75話 退位を迫る』の残念な所
曹丕は禅譲を迫りますが、必要以上に悪く描いているよう見えますね。そして、ここは難しい所ですが、曹皇后の考えは夫からの暴力を認めるような発言で、DVが厳しく非難されている現代に生きている者からしたら、目をそむけたくなるシーンかもしれません。
ただし、その時代に合った考えや価値観などがありますし、献帝は、もののはずみで怪我をさせた行為でした。そのため、DVを許せない方にしてみれば、認められない所かもしれないので、注意して見たほうが良いですね。ちなみに私もDVは許されない行為だと思っています。
『第75話 退位を迫る』の見所
曹皇后が「天罰がくだるぞ」と禅譲を迫る曹一族を非難するシーンがありましたが、この予言は後に的中します。しかも、その天罰を下した一族が、これもまた意外な一族というのも、歴史の歯車と言うべきか、神のイタズラと言えるかもしれません。
そのような事を考えたら、因果応報の始まりを見られるのは、第75話の大きな見所と言えるでしょう。
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