(※この記事は「Lab-on」からの転載です。オリジナルサイトはこちら)
「酒は百薬の長」や “Good wine engenders good blood(良いワインは良い血を作る)” など、お酒に関係したことわざ・格言は世界中で伝えられており、その多くは「適量の飲酒が健康をもたらす」ということを示唆しています。
しかしこのたび、控えめ(moderate)とされている量の飲酒であっても、実は健康に悪影響を与えているとした大規模研究の結果が発表されました。この論文は、世界で最も権威のある医学誌のひとつであるLancet誌に発表されています。
この論文では、19の高所得国(high-income countries)でのべ60万人を対象に、アルコール摂取量と健康への影響を調べた結果を掲載。
少量の飲酒は心筋梗塞のリスクを下げることが確認された一方で、脳卒中や大動脈瘤、致死性の高血圧性疾患のリスクを有意に上昇させ、総合的には寿命を縮めていると報告しています。
具体的には、1週間の飲酒量が純アルコール換算で0〜100グラムのグループを基準に、平均余命への影響を以下のようにまとめています。
【40歳時点での平均余命】
・純アルコール量が週に100〜200グラム → 6ヵ月の余命短縮
・純アルコール量が週に200〜350グラム → 1~2年の余命短縮
・純アルコール量が週に350グラム以上 → 4~5年の余命短縮
アルコール含有量の計算は『お酒の量 (ml) ×(度数(%) /100)× 0.8』で定義されます。
アルコール度数5%のお酒350ml缶に含まれる純アルコール量は14グラムで、1週間毎日1缶を飲むと、摂取するアルコールの量は98グラム。
つまり、毎日ビールの350ml缶1本程度の飲酒量であればそれほど問題ないものの、それ以上の飲酒量ではアルコール量に応じて健康リスクも増大していきます。
さらに、多くの国では適度な飲酒量基準を男女によって分けていますが、今回の研究では健康リスクを増大させる飲酒量に性別の差はなかったとのこと。
これらの結果から、研究グループは現在の飲酒基準値を早急に見直すべきだと主張します。