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【芸能・社会】

仁左衛門、都倉俊一さんら文化功労者

2018年10月27日 紙面から

 政府は26日、2018年度の文化勲章を、劇作・評論の山崎正和(84)、作曲の一柳慧(85)、陶芸の今井政之(87)、租税法学の金子宏(87)、情報工学の長尾真(82)の5氏に贈ることを決めた。文化功労者には小説・随筆の阿刀田高(83)、スポーツの笠谷幸生(75)、歌舞伎の片岡仁左衛門(74)、大衆音楽・音楽著作権の都倉俊一(70)の4氏ら20人を選んだ。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同5日に東京都内のホテルで開かれる。

文化功労者に決まり、心境を語る片岡仁左衛門

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◆仁左衛門 初舞台70周年を来年に控え朗報

 片岡仁左衛門はスラリと背が高く整った顔立ち、幅広く品格のある芸風は華があり、当代きっての立役の風姿に「すてき!」とうっとりする女性ファンは多い。

 来年は初舞台から70周年、大名跡襲名20周年を迎える名優は「原動力? ただただ歌舞伎が好きということ。歌舞伎の魅力から離れられない、逃げられなかったってことですかね」と振り返る。

 朗報は、歌舞伎座10月公演で演じていた「助六曲輪初花桜」のビデオ(11世市川団十郎版)を見ていたときで「身が引き締まる思い。すぐに父(13世片岡仁左衛門)や母、先祖に手を合わせ報告した」。突然腕にはめていた時計をみせて「中学生の時に父がほうびにくれた時計。今日は父と一緒のつもりで。エヘヘ」とおちゃめに笑った。

 出世芸の「女殺油地獄」与兵衛、父から継承された「菅原伝授手習鑑」の菅丞相など当たり役は枚挙にいとまなし。関西歌舞伎の復興にも力を入れており11月、12月「吉例顔見世興行」と新開場の京都南座に出演する。

 「演じるのではなくその人物になること。嫌いな役でも舞台に立つと好きになる。だからって、これで良かったとか思ったことは1度もないなあ」という仁左衛門の座右の銘は「不逆流生」。「流れに沿って逆らわず、流れを生かすのがモットー。私は常に挑戦しているんですよ。何回やった芝居でも年がら年中が挑戦。菅丞相も命がけ、なんでも命がけ」と目がキラリ光った。

喜びを語る都倉俊一さん(稲岡悟撮影)

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◆都倉さん 「時代とともに」1000曲以上ヒット

 都倉俊一さんは文科省からの吉報を真っ先に愛妻に伝えた。「まずは家内に報告しました。すごく喜んでもらいました」と照れくさそうに笑顔を見せた。

 山口百恵さんの「ひと夏の経験」、ピンク・レディーの「ペッパー警部」など数々のヒット曲で日本の大衆文化をけん引。日本音楽著作権協会の会長なども歴任し、音楽制作者の権利や環境整備に貢献してきたことなどが今回の顕彰につながった。

 「現役の間にこのような栄誉をいただき背中を押され、勇気をいただいた。昭和、平成を駆けぬけてきましたが、今年で平成も最後、次の御代に昭和、平成のレガシーを伝えていくのが僕の役目かなと考えています」。

 学習院大学在学中に中山千夏の「あなたの心に」で作曲家デビュー。学生時代はバンド活動も経験したが、「人前でやるより、音楽を作ったりする裏方が好きだった。作曲家になったのは自然の流れ」と振り返った。

 ポール・マッカートニーに大きな影響を受けたというヒットメーカーが、世に送り出したヒット曲は1000曲以上にのぼる。「時代とともに生きながら音楽を作ってきた。素晴らしい言葉をくれた作詞家、制作スタッフ、曲を世に伝えてくださった歌い手の皆さんに感謝したい」

 

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