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【芸能・社会】

WANDS元ボーカル・上杉 異色の新アルバム

2018年10月27日 紙面から

ソロアルバムに戦死者への思いを重ねる上杉昇=名古屋市中区で(太田朗子撮影)

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 1990年代にミリオンヒットを連発したWANDSの元ボーカル上杉昇(46)が作詞した大ヒット曲がアニメ主題歌として中国を席巻している。片や、24日に発売された新作のソロアルバムは戦死者への思いを込めた異色作。ハンバーガーと家電が好きと、とつとつと語る一面も。クールでハードなイメージだったのに、なんか、違うみたい。

 1994年発売のWANDSの8枚目シングル「世界が終るまでは…」はアニメ「SLAM DUNK」(93~96年)のエンディング曲。アニメ、曲ともに中華圏を席巻した。2017年、台湾で歌ったのをきっかけに、本土からもオファー。北京、上海、武漢など、この2年、何度も行き来した。日本語で一緒に歌うファンに驚いた。

 WANDSでは、中山美穂をメインボーカルに迎えた1992年のシングル「世界中の誰よりきっと」で人気がさく裂。91年、ギター、キーボードとの3人でデビューし、シングル3枚を発売した後のダブルミリオンだった。作詞は上杉ら、作曲は織田哲郎。プロデューサーの判断に沿った大ヒットは「自分の作品でありながら自分のものじゃない感じ」。節目の曲だが「(大ヒットするも)まあ、ひとごとではある」と冗談っぽく笑う。

 自分の思いを込めた曲を作ろうと1997~2001年のバンド「al・ni・co(アルニコ)」を経て、ソロ活動、さらに06年、バンド「猫騙(ねこだまし)」を結成。今はソロと猫騙で活動する。新アルバム「The Mortal」はソロのオリジナルとしては12年ぶり。収録の15曲は作詞作曲、ボーカルのすべてを担当した。

 神風、御国、爆風…。異彩を放つ歌詞は「日本人として当たり前だと思うんです。日本を守ってきた人たちがどんなメンタリティーで生きてきたのかを歌にしていくことで、何かが見えてくるんじゃないか」。先人へ畏敬が自分の中からわき出たという。慰霊碑や兵士の元宿舎で触れた、戦争で亡くなった人々を「語り継いでいかないといけない」。収録の「赤い花咲く頃には」などに込めた。

 音楽を離れると一転、ハンバーガーに目がなく、中国では「チーズ感があっておいしかった」とほおを緩める。ほしいのは360度カメラ。「電化製品の店に行くとけっこう心躍るタイプです」と笑う。

 iPadは必需品でずっと、音楽を聴いている。英国のバンド、レディオヘッド、アイスランドのシガー・ロス…。「歌が入っていない完全なエレクトロニカになると聴かなくなる。本当に聴きたい曲は自分で作ります」。最近の自作曲は「WANDSに近づいている感覚がある」そうだ。ソロでの名古屋のライブは初。「日本で見られないものが披露できれば」

◆主なライブ

 ▽11月11日 東京・渋谷club asia▽同16日 愛知・名古屋SPADE BOX▽12月14日 東京・日本橋三井ホール

 

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