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Audi Innovation

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48ボルトの世界

キーワードは、センサーフュージョン。安全性能と快適性が新たな次元に

Audiのフラッグシップモデル「Audi A8」の新型には、48ボルト電源を活用したマイルドハイブリッドシステムが搭載された。単にバッテリーから供給される電力の電圧が上がっただけと思うことなかれ。この新しいシステムはクルマの快適性と燃費効率の大幅な改善に貢献するだけではなく、実は安全性能の向上にも一役買っているのだ。

TEXT BY DAISUKE TAKIMOTO

2018.10.26 Fri

今年9月に日本上陸したAudiのフラッグシップモデル「Audi A8」は、自動運転の普及の鍵を握る技術であるレーザーセンサー「LiDAR(ライダー)」を、市販車として世界で初めて実装したことで注目されている。これまで以上に素早く正確に危険に対処したり、安全に自動走行し続けたりできるようになったことで、自動運転技術の歴史は新たな段階に入ったと言っていい。

だが実は、一連のシステムを支える技術が静かにアップデートされている。それが、Audi初となる48ボルト電源を活用したマイルドハイブリッドシステムだ。

走行中のクルマが静かに“滑走”

従来のクルマは基本的に、バッテリーから定格電圧が12ボルトの電源を供給することで、電装品などのデヴァイスを動かしている。この電圧を48ボルトにすることで、出力を高めると同時に使用する電流を少なくできる。

これによって、一般的なハイブリッド車で使う高電圧のシステムのように動力性能を大幅に高められるわけではないが、回生して貯めた電力を活用するなどしてエネルギーの利用効率を高めることができる。しかも高電圧のシステムよりも電装品を小型化できるうえ、コストも下げられる。これらが「マイルド」なハイブリッドと呼ばれるゆえんである。

Audi A8に搭載された48ボルトのシステムは、こうした特徴を最大限に引き出したものだ。まず第一に、エネルギー利用効率と快適性の改善である。クルマには動作に必要な電力を発電するオルタネーターが搭載されているが、これが48ボルト化によって強化された。

このオルタネーターはエネルギーを回生してバッテリーに貯めておき、パワーステアリングやエアコンといった電装品の動作に活用する。それだけでなく、車両の発進や加速、低速走行などの際に、ベルトを介してエンジンの動きをアシストする機能ももつ。マイルドハイブリッドという言葉の通り、そっとエンジンをサポートするような位置づけだ。

さらに、エンジンの停止・再始動を滑らかに行えるようになったことで、走行中に静かにエンジンを停止させ、一時的に“滑走”させられるようになった。具体的には、時速55~160kmで走行中にドライヴァーがアクセルペダルから足を離すと、エンジンが最大45秒、動きを止める。ドライヴァーがアクセルを踏むなどしてエンジンのパワーが必要になると、再び静かに始動する。

その動きは極めて滑らかなもので、実際に高速道路を走らせてみても何の違和感もないどころか、切り替えにまったく気づかないほどだった。こうした一連の仕組みによって、Audiは「100kmの走行につき最大0.7リットルの燃料を節約可能」と説明している。

電気モーターによる次世代の安全性能

さらに48ボルトのシステムは、Audi A8の安全性能を次の次元に引き上げてもいる。

その鍵となる技術のひとつが、4つのホイールそれぞれに備わる48ボルト電源で駆動される電気モーターだ。時速25km以上での側面衝突が避けられないとコンピューターが判断した際に、サスペンションのモーターが即座に動作し、車体の衝撃を受ける側を最大80mm持ち上げる。これにより、衝撃を車体の強度が高い部分で受け止めることができる。ボディを持ち上げない場合と比べて、乗員にかかる衝撃の負荷は最大で50パーセント減らせるのだという。

その仕組みはこうだ。まず、カメラをはじめとする多数のセンサーからの情報を基に、「セントラル ドライバーアシスタンス コントローラー(zFAS)」と呼ばれるコントロールユニットが、クルマの周囲360度の状況をリアルタイムに解析。必要があると判断された場合には0.5秒以内に動作し、車体の片側を持ち上げる。

「Audi A8」のサスペンションには電気モーターが使われており、48ボルト電源で駆動する。PHOTOGRAPH COURTESY OF AUDI AG

「レヴェル4」を見据えて

Audi A8では、クルマが取り込んだ情報を1つのコンピューターで統合処理する「センサーフュージョン」と呼ばれるプロセスが採用されている。このAIによって支えられたセンサーフュージョンの技術が、こうしてクルマをもっと快適に、安全にしているということになる。

自動運転でいう「レヴェル4」を見据えて、Audiの技術は進化し続けている。AIを積極的に取り込み、それは人間に対する「共感」の力をもつレヴェルを目指しているのだという。以前の取材でAudiの自動運転開発責任者であるアレハンドロ・ウコティヒは、「共感とはクルマがドライヴァーのニーズやリアクション、思考を予測し、学習すること」と語っていた。

こうした次元に、すでにAudi A8は少しずつではあるが近づいている。いつしかクルマは進化したAIによって「知性」をもち、ドライヴァーに「寄り添う」ようになる。そんな世界の実現に向けた第一歩が、いまここから始まっているのだ。

AwardedInnovator

09

Energy

清水敦史

この日本をエネルギー大国に。
ぼくは、そのために生まれてきた。

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