わんにゃコラム

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【自分で飼育できない方向け】野良猫と出会った時にできる対策法とは?

ライター
古川諭香

道端で野良猫に出会っても自宅で飼育できないと、つい見過ごしてしまいそうになる方も多いのでは? しかし、おうちに迎え入れられなくても、命を救うためにできることはあります。

そこで今回は、『公益財団法人どうぶつ基金』の理事長・佐上邦久さんに、野良猫の発見時にはどんなことができるのか伺いました。

 

■自分で飼育できなくても野良猫の命は救える!

【自分で飼育できない方向け】野良猫と出会った時にできる対策法とは?
画像:公益財団法人どうぶつ基金

―自分で飼えない場合には、どんなことで野良猫の命を助けてあげられるのでしょうか。

・不妊手術をする(TNR)

・不妊手術をした猫に餌を与える(=マナーやルールを守った餌やり)

※ 飼い猫ではない猫を人間の管理下に繋ぎとめるためにも、餌やりは重要です。野良猫を発見したときはこうしたことを行えば、自身で飼育できなくても命を守っていけます。

また、下記のような様々な方法で、遠くにいる野良猫を助けるのもよいでしょう。

・周りの方々と(野良)猫の話をする(=動物愛護に興味をもってもらう)

・行政や議員さんに働きかける

・地元の保健所に連絡を取り、なにかお手伝いすることがないか相談してみる

・猫の愛護団体でボランティアをする

・猫の愛護団体に寄付をする

・保護猫カフェに行く

・保護猫に関するイベントに参加する

 

■野良猫の命を救える「TNR」とは?

【自分で飼育できない方向け】野良猫と出会った時にできる対策法とは?
出典:https://www.shutterstock.com

―TNRについて詳しく教えてください。

TNRは「Trap(トラップ)=捕獲すること」「Neuter(ニューター)=不妊手術のこと」「Return(リターン)= 猫を元の場所に戻す」という、“飼い主のいない猫”に関わる苦情や殺処分の減少に寄与する活動のことです。

不妊手術を施した猫はその印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットされ、地域の猫“さくらねこ”として一代限りの命を全うします。

―TNRは、保護団体に属していない私たちでも行えるものなのでしょうか。

可能です。どうぶつ基金の協働ボランティアさんも、平日お仕事をされているサラリーマンやOLさんなどといった一般の方々が多数登録しておられます。

 

■里親探しはどのように行う?

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出典:https://www.shutterstock.com

―里親を探す場合は、どのような方法を取っていけばよいでしょうか。

まずは、周りの人に声をかけてみましょう。そうすると、思いもよらない情報をもらうこともあるようです。そして、その際はインターネットの無料のひな型を活用して、かわいい紹介チラシなどを用意しておくとよいでしょう。最寄りの保健所へ、里親募集の情報を問合わせするのもよいです。

また、動物病院やストアなど、地元の方が目に付きやすい場所に里親募集のポスターを掲示してもらうのもおすすめです。ポスターは里親が見つかったら必ず引き上げましょう。

インターネットを活用する場合は「いつでも里親募集中」や「ペットのおうち」などといった里親募集サイトを利用してみてください(どうぶつ基金でも毎年、里親募集を兼ねた写真・動画コンテストを4月1日~8月末まで開催しています)。

―他にもなにか伝えたいことなどありましたら、教えてください。

2016年度の行政による猫の殺処分数は45,574頭でした。前年が67,091頭でしたから、殺処分数は2万頭以上減りました。10年前は約23万頭の猫が殺処分されていましたが、今では毎年約2万頭殺処分数が減り、このまま2万頭ずつ減れば2019年度は殺処分ゼロが達成できる勢いです。

猫の問題に関する抜本的解決にはTNRが最も有効です。そんな思いで活動を続けた結果、2017年度、どうぶつ基金のさくらねこ無料不妊手術は22,555頭におよび、殺処分ゼロがいよいよ現実になってきました。ゴールが見えてきた今だからこそ焦らず、どうぶつ基金では一つ一つの命を大切に、丁寧な活動で殺処分ゼロを実現したいと思います。

 

■命を見過ごさない勇気を持とう

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出典:https://www.shutterstock.com

現在の日本では、成猫よりも子猫が殺処分の対象になることが多いよう。環境省が発表した平成28年度の「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によれば、所有者不明で収容された成猫は15,736匹であったのに対し、子猫は45,827匹。そして、総殺処分数45,574匹のうち、子猫は29,654匹でした。

これは犬の総殺処分数10,424匹(その内子犬は1,943匹)を大きく上回る数であり、子猫や猫全体の殺処分数がいかに多いのかということが分かります。こうした現状を変えていくためには、飼育ができなくても野良猫の命を救うことはできるのだと、ひとりでも多くの人が気づく必要があります。命を見過ごさない勇気を持つことで、日本も動物に優しい国へと変わっていけるでしょう。

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【取材協力】

※ 公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上邦久氏

【参考】

平成28年度「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」-環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室

【画像】

※ 公益財団法人どうぶつ基金

※ dianewphoto, tjades, KDdesignphoto, Suzanne Tucker / Shutterstock

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