西郷隆盛は写真嫌いだったといわれる。そのため、その肖像写真は一枚も残っていない。また、最もよく知られている肖像画は、本人に会ったことのないイタリア人画家の手によるもので、隆盛の弟を参考にして描かれたという。
要するに、西郷さんの顔が実際どんなだったかはよくわからない。
そこで、大河ドラマで西郷どんが熱いいま、その顔を決めてみようと思う。
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これが「平均西郷どん」
どうやって決めたのかというと、巷にあふれる西郷さんの顔を集めて「平均顔」を作成した次第。冒頭の写真は収集した西郷さんたち。これらを「平均顔合成ツール Average Face PRO」というアプリで読み込んで作成した。その名の通り、複数の顔を取り込み、その「平均」を示してくれるソフトである。
ともあれ、とにかくその「平均西郷どん」の結果をご覧ください。以下です。
どことなく「きれいなジャイアン」を彷彿とさせる。あとタッチがクレーっぽい。
いわばこれは「イメージの中の西郷さん」の平均だ。もちろん本物の西郷さんの顔ではない。素材元はイラストだしね。
いや、だけど「本物の顔」とはなんだろうか。19世紀のパリで写真館を開き成功したナダールは彼の肖像写真館に来た客について「人は撮られた写真をはじめて見るとかならず失望する」と言っている。ほとんどが怒りに燃えて写真館を後にした、と。
また、驚くことに、他人の写真を自分のだと思って満足する客も少なくなかったという。たぶん、人は自分の顔がどんななのか、ほんとうはよく分かっていない。これは今でも同じだろう。
そもそも、表情はすぐ変わるし、年齢とともに相貌も変化し、メイクやファッションでいくらでも印象を変えることもできる。
おそらく「本物の顔」という考え方自体が最近つくられたものだ。肖像画家も、肖像写真家も、その重要な仕事は「修整」だった。つまり「盛られた」顔こそが「本物」の顔だ。だとすれば、イメージの中の西郷さんこそ「本物の西郷さん」なのではないだろうか。
鹿児島で西郷どん探した
なんて、それっぽいことを書いてみたが、そういうことはどうでもよくて、鹿児島に行ってみたら、そこは西郷どんだらけだった、ってことが言いたい。
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