入管法改正「なし崩し移民」の期待と不安

外国人「定住政策」の整備急げ

2018年10月26日(金)

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農業分野で働く外国人は「単純労働」それとも「特定技能」?(写真:PIXTA)

2つの在留資格を新設する

 2018年の臨時国会が10月24日開幕した。政府が最重要法案と位置付けるのは入国管理法改正案。新たな在留資格を作って外国人労働者の受け入れを拡大するのが狙いで、今国会中の成立を目指す。

 改正案には2つの在留資格の新設を盛り込む。「特定技能1号」という在留資格は、一定の知識・経験を要する業務に就く人材を対象に、日本語試験や簡単な技能試験に合格した外国人に、最長5年の在留を認める。もう1つの「特定技能2号」という在留資格は、熟練した技能が必要な業務に就く人材と認められた外国人に認め、在留期間の更新を可能にするというもの。後者については家族の帯同も認める。今国会で成立すれば、2019年4月から導入したい考えだ。

 安倍晋三首相は「いわゆる移民政策は採らない」と繰り返し表明しているが、今回導入される新資格はこれまでの方針を180度転換するものになると見られている。これまで日本は、いわゆる単純労働に当たると見られる業種については外国人の就労を認めてこなかった。

 技能実習生などの「便法」によって事実上、単純労働力を受け入れてきたが、実習生が失踪してより割の良い業種で不法就労するなど、問題が顕在化している。一方で、人手不足は一段と深刻化しており、外国人労働者「解禁」を求める声も強い。そんな中で、政府が打ち出したのが在留資格の新設だ。

 2018年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太の方針」では「新たな外国人材の受け入れ」として以下のような文章が書きこまれた。

 「従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある」

 「このため、真に必要な分野に着目し、移民政策とは異なるものとして、外国人材の受入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する」

 「また、外国人留学生の国内での就職を更に円滑化するなど、従来の専門的・技術的分野における外国人材受入れの取組を更に進めるほか、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む」

 当時の報道では、政府が検討している「真に必要な分野」は、「建設」、「造船」、「介護」、「農業」、「宿泊」の5分野とされていた。それでも、これまで単純労働とされてきた「農業」や「宿泊」が「特定技能」として認められるとなれば、政策の大転換である。

コメント4件コメント/レビュー

筆者も書かれているが、目的は安い賃金で働く労働者の確保であり、明らかに政官業の癒着による政策だと認識する。全く筆者の言うとおりで、賃金が安いから日本人が就労しない替わりに外国人が終了すると、日本人の失業率が高止まりする訳で、社会不安が増幅することになる。
決して簡単な問題ではないだろうが、賃金の底上げをしないと国そのものが衰退すると認識する。(2018/10/26 09:22)

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「入管法改正「なし崩し移民」の期待と不安」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

筆者も書かれているが、目的は安い賃金で働く労働者の確保であり、明らかに政官業の癒着による政策だと認識する。全く筆者の言うとおりで、賃金が安いから日本人が就労しない替わりに外国人が終了すると、日本人の失業率が高止まりする訳で、社会不安が増幅することになる。
決して簡単な問題ではないだろうが、賃金の底上げをしないと国そのものが衰退すると認識する。(2018/10/26 09:22)

日本は元々は、特定の能力の高い人達だけを移民として受け入れる制度を用意していた。ところが、対象となりうる様な人達は、日本に留学していた学生も含めて日本以外の国に流れてしまった。それらの国では日本以上の処遇が用意されているし、将来性も日本よりありそうな国々なのだから当たり前の選択をした結果だ。日本は未だに、年齢給から能力給への切り替え途上、或いは年齢給と能力給の混合型なので、年齢が同じ場合、能力の違いで大きな差が出ない。だから、能力が平均以下の人達にとっては『住み易く、処遇も良い』国であるが、高能力を有する人にとっては全く魅力のない国である。例えば、一人当たりGDPが日本の4分の1以下の中国ですら、高能力の大卒の給料は日本より高い。各国はそうやって人材の獲得競争をしているのに、日本は政府からしてそういう人材確保に本気ではなく、むしろ今の日本の給与レベルでも満足してくれる『安い労働力』を求めている。それが東南アジアからの『研修』生であり、定年延長による再雇用であり、『女性活躍』なのだ。多くの国が高い給料で人材を集める一方、RPAなどの積極導入で仕事の効率を上げることに躍起になっている。日本は国民一人当たりのGDPでは世界で25位であり、トップグループには含まれていない。少子化で人口がすでに減り始めた国をどの方向に導こうとしているのか、青写真も示されず行き当たりばったりの政治が延々と続いている。『決して世界のトップレベルは目指さない。そこそこ平和に暮らせる国を目指す。』でも良いが、目標を示すことと、それを実現するための法案を提案すべきだと思う。それと、移民を増やす積りなら、警察官の増員は必須であることは認識しなければいけないし、村社会も解消しないと将来大変な摩擦が生じることになる。(2018/10/26 07:49)

どの業種でも必ず派遣会社が絡んで来ます。ここはしっかり排除する仕組みを作らないと結局のところ外国人低所得者層という階層を増やすだけです。(2018/10/26 07:06)

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